学校初日
入学式の日まで僕は部屋で平穏に暮らしていた。自分以外は女の子という状況は嬉しい反面、自分も女の子として過ごさないといけないという難易度の高い生活を送らないといけない。そのため、ボロが出ないように引きこもっているのである。
そんなことしていると入学式の日になった。
「うーん…」
僕は鏡の前で唸っていた。目の前にはセーラー服姿の自分の姿が映っている。やっぱり女の子の服着るのは慣れない。これから先大丈夫かなぁと不安になっていた。
そんなこと考えると、学校へ行く時間になった。入学式から遅刻するわけにもいかず、僕は学校へ向かった。
学校の入り口近くに新入生の名前とクラスが書いてある紙が貼り出されており、その周りは生徒で埋まっていた。僕は内心びくびくしながらそこへ向かった。
「あ、姫川さん!」
聞き覚えのある声の方へ顔を向けると、坂口さんがいた。
「人が多いかなって思って姫川さんのクラスも探したんだけど、私と同じクラスだよ」
「そうなんだ…。あ、僕のクラス見つけてくれてありがとう」
なんて優しい子なんだろうか。ぼくは深々と感謝をしながら一緒にクラスへ向かった。これから楽しみだねって言われたけど、ぼくは楽しみ以上に不安で消え入りそうな声でそうだねということしかできなかった。
「1-2」と書かれた教室に入ると空席が目立つ。まだ来ていない人が多いようだ。黒板に座席表が貼ってあったのでそれを見てそれぞれの席に着くことにした。よくある席が隣同士なんてことはなかった。
しばらくすると、他の生徒が来始めて席が埋まり始めた。そして先生と思われる人が教壇の前に現れた。席が埋まった頃、はい静かにと言った後先生の自己紹介が始まった。
「初めまして。私は今日から1年間このクラスの担任をします。前中志保と言います。担当教科は社会です。よろしくお願いします」
自己紹介が終わった後はおきまりの拍手。そして先生は入学式では静かにしてください見たいなおきまりの注意を言って体育館に移動するよう指示した。いよいよ入学式だ。
入学式で校長や理事長の挨拶、生徒会長の挨拶などのイベントを終え教室へ戻った。
教室へ戻り先生がプリントを配り始めた。明日は学校のオリエンテーションがあるらしい。あと、自己紹介シートなるものが配られた。自己紹介することを今日まとめてこいとのこと。
そんなこんなで初日を無事に過ごした。しかし僕は自分の身を脅かす"とある可能性"について全く考えついてもいなかった。