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隣人
管理人さんからお風呂に誘われ全力で断るということがある以外は平穏に過ごしていた。あと少しで夢の中学生生活が始まるはずだったのに…。これからのことを考えると気が重い。
そんなことを考えていると扉がノックされた。誰だろう。夜なら僕以外の人がお風呂にはいたことを管理人さんが教えてくれるんだけど、今は午前11時。頭に疑問符を浮かべながら扉へ向かった。
「はい…」
「こんにちは!」
目の前に女の子が立っていた。背は僕と同じくらいで髪はセミロングくらいの可愛い女の子。
「わたし隣の部屋の坂口美佳です。よろしくね!」
「あ、…えーっと、姫川優希です。よろしく…」
坂口さんは挨拶だけ済ませると荷物の整理があるからと自分の部屋に戻っていった。久しぶりに同年代の女の子と話したのか、坂口さんが可愛かったのかわからないけどドキドキしている。こんな感じは初めてだ。
入学式まであと三日。僕の新生活が本格的に始まる。