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少年A  作者: 水谷遼
7/10

5/21 (日)

5/21 (日)


この一週間、

自分が他人と違うところはどこか、

他の奴らよりも優れているところは何かを

ずっと考えていました。



どんな些細なことでもいい。

自分はこれなら勝てるというものを見つけたい。







答えが分かりました。














ないんです。











クラスというたった50人の世界でも、

自分が他の奴らより優れているところなんかないんです。






ショックでした。

今まで俺は何となく自分のことを周りとは違う、特別な存在と見てきました。

確かに、自分にとってはそうなのでしょう。



でも、それは自分だけのものだったんです。

自分以外の人、たとえ親から見ても、自分は普通の中学生なんです。

俺より勉強もスポーツも出来る修二がいるのなら、

僕の存在に価値なんかないでしょう。







でも、当たり前といえば当たり前のことなのかもしれません。

日本だけでも人の数は1億5000万人、全世界では60億人です。

その中で一人の人間の存在なんて、所詮小さなものなのです。




そう、俺はそんな平凡な人間。

取るに足らない普通の中学生。













今までそんなことさえ気付かなかったのです。












小学校時代、俺は明らかに目立った存在でした。

人一倍リーダーシップがあり、勉強も出来ました。

俺は自分の存在をそこに見ていたのです。

他の奴らには代わりが出来ない、優れた存在だと。



だが、自分が平凡な人間、他の奴らと特別な違いがない人間だと知った今、

俺に一体何の意味があるのでしょうか。












話は変わりますが、明後日から中間考査です。

親に15番内に入るように言われました。

冗談じゃないって。

そんなこといちいち指図されたくないわ。


でも、一番悲しいのは、

修二には10番内って言ったことなんです。


修二にとってはラクに超えられるラインなんです。

なのに俺はそれより低いラインにも届かないんです。

弟より低い評価を受ける自分が情けなく、何より腹立たしい。
















何か一つでいい。

誰よりも優れているものが欲しい。

他の奴らとは違う自分が欲しい。








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