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 私の17歳の誕生日から二ヶ月後のある日、ミッドランド全土に衝撃的なニュースが流れた。それはあまりにも衝撃的過ぎてミッドランドはおろか周辺国までをも揺るがすニュースと言えた。

 王太子ヘンリーの廃嫡とミッドランドからの追放が何の前触れも無しに決まったからである。この追放には王妃であるマリージアも含まれた。次代の王が突然廃嫡となったニュースはミッドランドを揺るがした。それと見込んでヘンリーに取り入っていた連中も泡を食った騒ぎとなった。特に王妃の実家である公爵家の1つサマセット家はこれをよしとせず敢然と王家に対する反抗姿勢をとった。


 私には何がおきたか分からなかった。なぜこんなことが起きたのかも。何故ヘンリー殿下が追放処分になったのかも分からなかった。驚き慌てふためく私にコーネリアス殿下が優しく語りかけてきた。


「奴は偽王子だったのさ」

「どういうことですの?」

「奴の母親であるマリージアはある男と密通した。その子供がヘンリーさ。奴は王家の血をひかない偽王子だったというわけだ」

「ある男とは?」

「サー・メリオットだ。聞いた事はないだろうが王家の騎士だ。マリージアは王家に嫁いでからしばらく子を産まなかった。だが、ある日を境に王とお盛んになり子を産んだ……と、されていた。だが真実は違う。王妃は自分が妊娠し、それをカモフラージュするためエドワード王と寝たわけだ」

「誰がどうやってその事実を特定しましたの?」

「それは君の父親が…………。あ、いや。誰かはよく分からない。まぁ父上が……エドワード王が激怒しているから確かな情報なのだろう。いい気味だぜ」


 そう言ったきり、ロス殿と話しがある、と言ってコーネリアス殿下は私の部屋から出て行った。私は確信した。二ヶ月ほど前に聞いたコーネリアス殿下とお父様が密談をされていた話はこの話だったのだ……。あろうことか、二人はヘンリー王太子と王妃マリージア様を追放し、王位の簒奪を企んだのだ。王位継承の資格があるのは二人、ヘンリー殿下とコーネリアス殿下。ヘンリー殿下が消えれば残るのは唯一人、コーネリアス殿下だけ……。


「お父様はこの状況を望んだんだわ」


 最初からミッドランドを牛耳る事こそがお父様の望みだった。恐らく、この事件を知ってからコーネリアス殿下を太子の座にすえることが可能だと読んで殿下と組んだのだわ。そして、二人が組む為の接着剤の役割を果たしたのが……私……。


 私は、父ロス=フェレイラとコーネリアス殿下の二人に言い知れぬ嫌悪感を抱いた。


 結局騒動は、ヘンリーとマリージアの二人をサマセット家にて預かる事を王家とサマセット家が同意することで決着をみた。


 数週間後、ウルスラが王妃となり、コーネリアスは正式に王太子となった。


 ミッドランド王後継者コーネリアス王太子の誕生である。



 私と王太子コーネリアスの婚儀が目前に迫っていた。


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