わたしと悪魔
初投稿です。至らないところが多々あるとは思います。よければ読んでやってください。
マニュキュアを塗っていたら、悪魔に取り憑かれた。
「やぁ、僕は悪魔、君の魂くれない?」
AM7:30分、リビングでのことだった。
今日の気分は赤。ムラのないようにマニュキュアを塗っていく。この出来で1日の気分が決まる。慎重にもなる。
「いいね、僕、赤好きだよ。」
後ろから悪魔が覗き込む。ふわふわの髪の毛が頬に当たって少しこそばゆかった。マニュキュアの出来はなかなかいい。触らないように気をつけながら乾くのを待つ。赤くキラキラ光ってきれいだと思った。
「うん、きれい」
悪魔がふわりと笑う。大きな目が少し垂れて、昔飼ってた子犬を思い出した。
「君は驚かないんだね、僕、悪魔なのに。」
わたしの隣に座って悪魔が面白そうに笑う。わたしはただ、マニュキュアがきれいにぬれて満足だった。
チン、とトースターが軽快になる。
わたしはマニュキュアが乾いたのを確認してキッチンに向かった。悪魔は後ろをついてくる。
トーストを取り出すと香ばしい匂いが鼻をくすぐって、お腹がぐぅとなった。手早くトーストを白いお皿にのせてテーブルにつく。テーブルに置いてるジャムの瓶をとってあけて、赤いイチゴジャムをたっぷり塗る。贅沢にジャムを塗ったトーストをほおばる。おいしい。トーストを頬張りながら赤いイチゴジャムは赤いマニュキュアとよく似合うと思った。
「ねぇ、おいしい?」
向かいの席に座った悪魔が問いかける。頬杖をついて微笑んでいる。
「おいしいよ。」
焼きたてのトーストも、イチゴジャムもおいしいと思う。
「僕も味見。」
悪魔の細い指先が瓶からジャムをすくう。 白い指と赤いジャムがきれいだなと思った。
白い指先を舐めて悪魔は少し眉を寄せた。
「甘いね。」
「悪魔は物を食べないと思ってた。」
悪魔は小首を傾げる。
「君に好き嫌いはある?」
「あるよ。」
「一緒だよ。僕はなんでも食べられるけど、きにいったものしか口に入れたくないんだ。」
「イチゴジャムはすきなの?」
「初めて食べたけど、そんなに。」
悪魔は肩をすくめる。
「ふーん。」
トーストをかじる。おいしいのにもったいないな、とおもった。
「魂はおいしいよ。」
微笑みながら悪魔が言う。
「どんな味?」
「甘いんだ。」
何が面白いのか悪魔はくつくつ笑う。イチゴジャムより甘いのだろうか。わたしはトーストの最後のひとかけらを口に放り込んだ。
「指。」
「なに?」
「ジャムついてるよ。」
指先にジャムが付いていた。舐めようとしたら、腕を掴まれて悪魔に指先をぺろりとなめられる。
「そんなに美味しくなかったんじゃなかったの。」
「うん。」
「意味わかんない。」
呆れるわたしをふふっと悪魔が笑った。
「早く君がたべたいなぁ。」
なめられた指先のマニュキュアは剥がれていた。