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あおとみどり
「何してんの」
公園のベンチに座り、煩く響き渡るセミの鳴き声を、うっすらとした意識で聞きながら、僕は目の前の滑り台の階段部分を凝視していた。
階段部分に何か思ったわけではなかったが、滑り台の階段がずっと見ているには心地よかったのだ。
入り口右側に設置されているトイレのすぐそばに時計がある。
ちょうど時計は太陽の光が反射しており、僕の角度からは何時かわからない。
そんな一瞬。
声をかけられた。
それは、高校時代の友人だった。
「よぅ、ちい、何してんの」
いや特には何もしてない
っというか、隣に座るな
と思いつつ、無言で相手を見る。
中の上くらいの顔に、肩くらいまでのサラサラな黒髪。
黒い細身のズボンに黒のTシャツ。
そして、白いスニーカーを履いていた。
「久し振り、葵
僕はラジオ体操に来たんだ」
「は?」
少し眉間にシワがよる。
「ラジオ体操してねぇじゃん
もう終わったの?」
「まぁそんなところ」
「そういえば、翠が朝ラジオ体操しに出掛けてた。な、千鳥くん」
にやっと笑う葵。
あー、そういえば、こいつ父親が違う双子の姉がいるんだったな。