表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/9

【主の間】の管理人。

 さて、私がまず最初に話を聞くことにしたのは事件が起きた宿の主である、福岡美奈子さん。


 私はその福岡美奈子さんを自分が泊っていた部屋である【柊の間】に呼び出して、私が嫌いである面倒な無駄話を省きつつ、早速本題から話を進めることにした。











 ―――――●―――――○―――――●―――――











私「では、いくつかの質問をしていきますね?」


美奈子「はい・・・」


私「あなたはここの宿主で、色々と管理もされてるんですよね?」


美奈子「はい・・・」


私「では、今日と昨日で何か変わったところとかはありましたか?」


美奈子「別に・・・?」「特に変わったところとかはなかったですけど・・・」


私「そうですか・・・」「では、ここに泊っていた客の中に、“顔見知り”といいますか“常連”といいますか、とにかくそういった客って誰かいましたかね?」


美奈子「誰もいませんでした・・・」「大体のお客様のお顔は覚えているんですが、今回は見知った顔はありませんでしたねぇ・・・」


私「そうですか・・・」「では、この宿には何か特別な手掛かりになりそうなものはありますかね?」


美奈子「さぁ?」「私は警察でも探偵でもないので、そう言ったのは・・・」


私「そうですか・・・」「あっ、でも待ってください?」「確か、この宿には“ラッキーセブン”という話以外にも客がよく来るという理由(はなし)があったんでしたよね?」


美奈子「はい、そうですが・・・?」


私「それは、〈深夜12時の鐘〉というものでしたよね?」


美奈子「ええ、確かにそういったものです」


私「なんだか聞いた話によりますと、深夜12時にある特定(・・)の部屋にだけ鳴る鐘の音を聞くと“幸せ”になれるだとか?」


美奈子「ええ、その通りですよ?」「っと言いましても、それは実のところ『この宿が流行るようにするには、どうすればいいのかな?』と考えたところ、〈深夜の12時に特定の部屋でしか聞こえない鐘を聞くと、幸せになれる〉ということを思い浮かびまして、それを宣伝したところ・・・」「なんと!? その鐘が鳴った部屋に泊ったというお客様に、たまたま幸せが訪れるということがありましてですね??それから、そんな風な噂が勝手に広まってくれまして・・・」「それで、この宿は運営を続けることが―――って、あっ!」「この話、お客様には絶対内緒ですよ?」「じゃないと、また運営が危うくなりますからね!?」


私「はぁ・・・」「まぁ、詐欺は私の専門外ですからね・・・」「詳しい話は、聞かなかったことにしておきましょうか?」


美奈子「ありがとうございます!」


私「さて、そんなことよりもですね・・・」「“特定の部屋にだけ鐘を鳴らす”というのはどういう仕掛けでやるんです?」


美奈子「あぁ!それは単純な話ですよ!!」「簡単に仕掛けを説明しますと、そもそも始めから全ての部屋の中にはスピーカーが設置してありましてね?」「そして、適当に気分で決めた1部屋だけに、時間を見計らって鐘の音を流がせばいいんですよ!!」「そうすれば、あら不思議!?」「中の客は大喜び―――って、この話も聞かなかったことにしておいてくださいよ?」「宿主がこんな性格の悪い人だと知れたら、運営にまた響きますから!!」


私「運営の話はもういいですよ!」「そんな釘刺さなくても誰にも言いませんから!!」「ところで昨日の晩と言いますか、被害者が亡くなった日はどの部屋に鐘の音を?」


美奈子「あぁ、その話ですか・・・」「それは・・・その・・・とても言いにくいんですけどね?」「実は、その被害者さんの部屋なんですよ・・・」「これじゃあ、“幸せ”じゃなく“死”をもたらしてしまう鐘ということになって・・・」「はぁ、探偵さんにバラされなくたって今後の運営が怪しくなってるんですけどね・・・」


私「そうですか!」「それは本当のことですか!?」


美奈子「はい? それというのは??」


私「だから、「被害者の部屋に鐘の音を鳴らした」という話ですよ!!」


美奈子「あぁ、本当のことですよ?」


私「これはこれは・・・ありがとうございます!」「これは大きな手掛かりになりますよ!!」「で、ちなみに聞きますが、あなたは犯人らしき人を見ませんでしたか?」


美奈子「見てませんよ!」「っというか、見てたら最初に話をしますし・・・」


私「確かにそうですよね」「では、ご協力ありがとうございました」「部屋から出て行っていいですよ!!」











 ―――――●―――――○―――――●―――――











 そうして、私は宿主である福岡美奈子さんとの話を終えた。


 さて、次は泊っていた客の話を順に聞くことにしましょうか―――。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ