堕天使の愛のはじめ
彼は、彼女へ、命がけの献身を誓い、実行した
彼女が堕天使になった理由が彼にあったから
それゆえ、彼と彼女の名は、永遠の中に閉じ込められた
救われることもない
責められることもない
もちろん祝福を受けることもない
ただ、漂う、永遠の二人の、二人だけの情念の繰り返しの時間の輪の中に
これこそが輪廻の最初のきっかけだった
それは、愛ではないはずだった
それゆえ、天は捨て置けるものではなかった
ただ、ここからビッグバンのように輪廻が始まってしまった
なぜそうなったのか......
ある日、堕天使は天界を追われた
地上に落とされたとき、彼女は虫けらとなったことを知った。
その姿を地上から見た虫けらがいた
その虫けらは天界の皆から愛されていた人間だった
彼は人間のひとりであった故に天に愛され
その中の選ばれし者であったがゆえに祝福されていた
彼は、その短い一生の中で、天界を追われ裸になった堕天使の姿を目にし
憐み、悩み、ついには彼女の手を取った
それが始まりだった
この時空における彼の生まれは、街中の少年
ある時は、親と共に戦に向かう若君
ある時は、白馬を駆る若き領主
ある時は、星間戦争に駆り出された若者
ある時は、解放運動に身を投じる奴隷の息子
そのいずれの時も、彼は必ず憐れな少女を見出し、手を伸ばす
かつて、堕天使が地に落とされて虫けらとなったときに
彼女に手を伸ばしたように
いや、彼女に手を伸ばしたゆえに、堕天使は彼を求め続け
彼女が唯一救いを見たその時を、永遠に思い続けるために
死に瀕したたびに彼を最初に戻した
そのような情念が、そのような繰り返しが
自己中心的な欲望、貪欲の始まりとなり
輪廻が始まった
こうして、彼は彼女によって最初に戻され
その度に彼は彼女との情念を繰り返す
いつも
いつまでも
そこにたとえ救いは無くても
彼と彼女はそれで構わなかった
愚かな二人はこうして救いの中から零れ落ちて行った
愛欲の繰り返しの中へと零れ落ちて行った




