9 チョン君は、園芸部カフェの特別会員です!
ある日の放課後の部室。
「何だ⁉︎ 君は?入部せんのだろ!」
七草が、戒心を露わに言った。
「はい!そのつもりですけど
短亀に連れられて、つい...。」
チョン君は、バツが悪そうに言い訳した。
「ついって、それ程、強制された訳じゃなさそうだな。」
短亀ちゃんがそれに応えた。
「はい!何だか、部長さんに
ご馳走になったコーヒーが忘れられないって
何度も言うものですから
だったら着いて来ればって、事に...。
全然、強制してないですよ。
無理強いは嫌ですもんね。
それにコーヒー目当てなんて失礼かなと思ったんですけど。連いて来ちゃいました。」
短亀ちゃんは、連れない言い方をした。
「どう言う事?さすがに部員でもないのに
毎回、コーヒーサービスは、出来んぞ!
そんなに、厚かましいヤツには見えんかったがぁ!」
七草がさらにチョン君を追い詰めた。
「酷い言われようですね!
何だか癖になる何かがあるような
気がしたんですけど。
部長さんのコーヒー。」
「そんなに美味かったか?」
ヨッシーが、少し食いついた。
「もちろん、美味しかったです。
その前提の先に何かあるような気がしたんですけど。何か中毒性を感じました。」
「オイ!何だそれっ⁉︎ そんな訳ないだろ!
そもそも、そんなコーヒー豆が存在せんだろ!」
ヨッシーの言葉に七海が説明をはじめた。
「いや!コーヒーに含まれるカフェインには
中毒性や依存性がある事は、常識だ。
コーヒーも飲み過ぎは良くない。
まあ、どんな物でも程々に。
適量ってものがあるもんだ」
「もちろん、カフェインの事は、知っていますよ。
だから、その先の何かと言ったんです。」
チョン君は収まりがつかなかったようなのでヨッシーが部長に振った。
「だってさ。部長の見解は?」
「凄く嬉しいです!それって最高のめ言葉ですよ。
何度も何度も呑みたくなるって事でしょ。
身体が欲しがってるって事ですよね。
中毒性かあ。凄いな。チョン君!ありがとう!
いつでもコーヒー、呑みに来て下さいね。
部に入らなくても全然、OKですよ!
特別会員として認めます。」
「オイオイ!部長!それは、ないだろう。
先生でもコーヒー目当ての輩は門前払いして来たのに。」
七草は、不満そうだが部長は、押し通した。
「だ、か、ら、チョン君は特別ですよ。
短亀ちゃんの唯一の友達でもあるらしいので、
その権利を有しています。」
「まあ、いいんじゃねーのか!
毎日来る訳じゃないだろ。」
七草は部長に同調したヨッシーに、耳打ちした。
「ヨッシー!私が昨日、言った事、忘れたのか!」
「部長がイイって言ってるんだ。
私はそれを敢えて反対する気は、無いよ。」
「そうか!知らんよ。私は、何が起きても。
後で泣き言、言うなよ!部長もる、部長だ!
中毒だ、依存症だって、あんなに苦しんだのに喉元過ぎればってヤツか!先が思いやられるよ。」
「いや!それを敢えて口にする事で
完全に克服した事を伝えたいんじゃないのか?」
「それならいいけどな。
カモフラージュで、なければイイけどな!」
「どう言う意味だ。」
「中々抜け出せ無いって事だ。依存症は….。
心。いや、脳の病いだ。複雑な経過を示す。
完治なんてのは、カルテの上だけの話だ。
何かのきっかけで、いつ再発するかわからない。
本人だけでは、避けきれない突発的な事象は
いつ起きるかわからないんだ。
頼みは周囲の見守りだ。
なるべくそう言った環境に入れない。戻さない。
それが、一つの鍵になる。」
「そうだな。それに関しては、気を付けないとだな。」
「家庭の方は、しっかり母上が監視されている。
前回も母上のファインプレイだ。
日頃から、ちゃんと親子のコミュニケーションが取れている証拠だ。
後は私達の真価が問われるぞ。
二度とあんな失態を、犯しては、ならない。
最低限、うちの部からそんな人間を出しては、いけないんだ。
それは、私達自にも、言える事だがな。」
「ありがとうございます。
お二人の心根、本当に感謝しかありません。
今後も弱い自分に負けない様に
誘惑に負けないように
精進していくつもりですので
どうぞよろしくお願いします。」
「聞こえてたのかよ。悪りぃ!
気に触ったところは、勘弁してくれ!
心配なんだよ。まだな。」
「私自身も正直なところ不安は
やはり、まだ抱えています。
でも、前向きに進むしかないと思っています。
後退りは、したくないんですから。」
「そうだな!」
続く