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短亀摩姫ちゃんの神髄  作者: 桂虫夜穴


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81 みんな原石


「でも別に…

私が七海君を磨いた訳じゃありませんよ。 

そんな奢った考えは持ち合わせていません。

みんなで切磋琢磨した結果なんです。

それは七海君だけではありませんし

私も例外ではありません。

園芸部みんなで、お互い磨きあったんです。

辛い事、悲しい事、苦しい事、嬉しい事、楽しい事

面白い事を共有し、分かち合った結果なんです。

たまに喧嘩もする。議論もする。

その中で相手の事を思いやる気持ちを

育んできました。

皆さんが原石を磨いたんです。自身の原石。

そして仲間の原石を磨き上げたんです。」


部長の熱弁に七海も多いに共感した。


「そうか。そうかも知れんな。

みんなで力を合わせて助け合って

成長したって事だ。」


「そう言う事ですね。」


「しかし例外もいるもんだな。

全く成長の兆しを見せない。一人、原石のままだ。

岩石と言ってもいいかもな。(かたく)なだ。

一切変わろうとしない。」


七海の言葉にヨッシーも乗っかった。


「動かざる事、岩の如し。か?」


「それ、岩じゃなくて、山だ。」


「そうなんだ!」


「でも、それが七草さんの

魅力かも知れないですね。

岩どころか、あちこち飛び跳ねる

雨蛙みたいに自由奔放で誰にも縛られない。

縛る事なんて出来ない。

それがナクサさんなんです。

あら嫌だ。申し訳ありません。

ヨッシーさんの専売特許を…」


「いや!そろそろいいんじゃないか!

みんなナクサで!

そもそもアイツは初めから

みんなにナクサ解禁だって言ってたもんな。

初めて倉庫に集合して

「ここが今日から部室になります」って言って

片付けをした時だよ。」


「ああ、俺がヨッシーに

思いっきり飛び蹴りを入れられた時だな!」


「悪りぃ!七海…それは!もう、言いっこなしだ!

申し訳なかったよ。」


「はははっ!俺もナクサ…でいいのか。

何だか照れ臭いな。

でもアレもナクサの事を思ってやった事だもんな。

アイツの誇りをヨッシーが守り抜いたんだ。

凄い事だと思うぜ!カッコ良かったよ」


「そうか!七海!照れるなぁ…って!

わあっ!寄って来んなって言ってんだろーがっ!」


「まだ、ダメなのか!」


「ああ、当分ダメだ!無理だ!

尺八切ってから来いっ!」


「そんな事できるかっ!」


「ハハっ!そだな!」


「そうですよ!困りますよ!」


「部長が困るんかーいっ!」


「ウフフッ!そだよ!」 


「こっ、怖っ!」




「お待たせ一っ!あのお嬢さん。

少し気分、良くなったみたい。良かったわ。」


「ありがとうございます。

実は、あの方、ウチの部活の部長さんなんです。

急に体調が、すぐれなくなって

でもおかげで助かりました。」


「いいんですのよ。大した事してないわ。

それに、この通り、暇を持て余していますから…

元旦は…

やっぱり午後からの人出が多くなりますわね。

午前中は皆さん自宅で

お節やお雑煮を頂いているのでしょう。

皆さんは早くから、いらしたのね。」


「はい!

四国から合宿でこちらに来たものですから…

民宿で一泊して

朝食後、すぐに、こちらに参拝に来ました。」


「それは遠方から、ありがとうございました。

でも、あちらにも神社は、いろいろお有りでしょ。

こちらをわざわざ参拝に来られたのは

何か理由が、お有りなのですか?」


「はい!部の先輩達の守護神様が

ここの三女神様だそうで

いろいろ力添えして頂いているそうなんです。

今回は、そのお礼と感謝の気持ちを伝えたいと

参ったそうです。」


「まあ、それは素晴らしい。感謝とお礼ですか?

良い心掛けですね。神様達も張り合いがでますね!」


「えっ!神様も、そんな感じですか?」


「そうじゃないかしら。

私は神様じゃないから何とも言えないけど…

人から褒められたり感謝されるのって

嬉しいものでしょ。

私も先程あなたたちから

「ありがとうございます」って…

お礼を言われた時、凄く嬉しかったわ!

ところで、あなたの守護神様は

こちらに、いらっしゃらないの?」


「恐れ多いです。

私には、その様な崇高な神様などは

憑いておられません。

私は、ただの平凡な高校生です。

ただ、私が崇拝し信仰している

神様は居られますけど...」


「まあ、それは、どちらの神様かしら?

良かったら教えて下さらない?」


「それは...」


「それは?」


「乙姫様です!」


「ええっ⁉︎ 」


「わっ!豊玉様、大丈夫ですか!

いったいどうしたのです。

これじゃあ、

先程のお嬢さんと同じでは、ないですか!」


「少々クラッと致しました。

ああ。でも、もう大丈夫です。」


「おっ、あのう..…神主様…

先程、何とおっしゃいましたか?」


短亀ちゃんの問いに神主さんが応えた。


「えっ、ええと..先程のお嬢さんと同じ...と…」


「いえ!お名前の方です!」


「豊...玉様ですけど。それが何か?」


短亀ちゃんは驚いた。


「だっ、だって、豊玉って、豊玉様って…

乙姫様の本当の名前じゃないですかぁ〜!え~ん」


「あれっ!どうなされました?泣きだしちゃった!」


「お詳しいんですのね!」


「それは..ヒックッ!ウウッ...

私の名前は、鹿児島の竜宮神社に祀られた

豊玉姫様に、ちなんで名付けられたんです。

ですから、

その名前を聞いて動揺してしまいました。」


「そうだったのですね。

あっ…よろしかったら、あなたのお名前を

お聞かせ頂けるかしら?」


「はい!私は短亀…短亀摩姫と申します。

「摩」は薩摩の「摩」から

「姫」は、豊玉姫様の「姫」から頂いたのです。

両親が豊玉姫様の様に

身も心も美しい女性に育つ様にと

願い、付けてくれた名前なんです。」


「どうしましょう…

身も心も美しいですって!」


「その通りじゃないですか!

照れることはないでしょう。」


「ウフフッ!太郎さま!ありがとうございます!」


「えっ⁉︎ 太郎さま!太郎さまですか!ええっ⁉︎

もしかして、浦島た、ろ、う、さまですか?」


「ええ、そうですけど。私の名は浦島太郎です。」


「あ〜あ...」


短亀ちゃんは身体の力が抜けて

膝から崩れそうになった。


「えっ!短亀どうしたっ⁉︎ 」


丁度、通りかかったヨッシーが

短亀ちゃんを抱き抱えた。


「うっ、浦島太郎さんと

おと...乙姫さまが、こちらに..あぁ~」


 短亀ちゃんは二人の方に手の平を向けた直後

身体から完全に力が抜け

その場に崩れ落ちてしまった。


「おっ、おい、短亀ちゃん!しっかりしろ!

えっ!アンタ笑ってるのか?

いや、泣いてるのか?

いやいや、そのどっちもか!

泣き笑いしてる~!」


「あ〜ん!うれしいですぅ!感激ですぅ!

まるで竜宮城に来た様な気分です〜!」


「何を言ってるんだ?

それが嬉しさの最上級って事なのか?

確かに、浦島太郎と乙姫さまに

亀が出会った訳だからな。

嬉し過ぎるかぁ…」


「そうなんですよ〜。ああ〜!」


「短亀ちゃん!短亀ちゃん!

しっかりしろ!」」



続く

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