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短亀摩姫ちゃんの神髄  作者: 桂虫夜穴


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80 新たな出会い


「あの...そちらのお嬢さん。大丈夫でしょうか?」


誰かが声を掛けて来たので、そちらを見ると

袴を履いたイケメンの神主さんが立っていた。

七海は慌てて姿勢を整えて応えた。


「あっ、はい!もう、大丈夫なようです。

先程は、ちょっと、きつかったみたいですけど...

もう少し、ゆっくりすれば、もう歩けるかと…」


「そうですか?それは良かった。

向こうから様子が見えていたものですから

気になってしまって

つい、お節介をやいてしまいました。」


「いえ、お節介だなんて!

心遣い。ありがとうございます。

でも、もう本当に大丈夫ですので

ご心配なさらずに…」


「わかりました。」


「太郎さん!はい!お節介ついでですよ!

温かいお茶をお持ちしました。

身体が、あったまれば

もう少し、元気になれるのじゃないかしら!」


後ろから美貌の巫女さんが現れた。

二人は何だか似ている。

ご姉弟かと七海は思った。


「おう!これは、かたじけない!

いつも通り、お気のつく事で..

さぁ、どうぞ!あったかい内に...」


「ありがとうございます!」


「じゃあ、私は戻ります。

あちらにも、可愛いお嬢さんが見えてるのよ。

お話が、盛り上がっちゃて

ちょっと待って頂いてるの?

では、失礼致します」


「ありがとうございました。

大分、落ち着いたようです。

本当に、お忙しいのに申し訳ありませんでした。」


七海は立ち上がり丁寧にお礼を言った。


「いえいえ、私共は本当に

それ程、忙しい訳では無いのですよ。

この境内の片隅に間借りしている身ですから…」


「えっ?間借りと言いますと…

どう言う事でしょうか?」


「まあ、そうですね。

今風に言いますと…

シェア…とでも申すのですかね。

一番角の一画をお借りして

私共の神様を

お祀りさせて頂いているのでございます。」


「それは、そちらの神社が

火事や災害に、あわれたとか…

そう言う事ですか?」


「あっ、これは失礼しました。

無用な心配をお掛けしましたな。

その様な事は一切ないのですよ。

実は私共は他の地に

神社を構えておるのでございます。

そこは今、若いスタッフの方達に任せて

私共はこちらで

祭り事を執り行っている次第でございます。


その地は沖津宮が鎮座します、あの沖の島よりも

更に沖に位置する孤島なのです。

そこで私共が、長年神社を守り祀って参りましたが

なにぶん僻地故、参拝者の方々には

大変不便な思いをして頂いておるのです。


観光がてら来られる身軽な方は良いのですが

信心深い、ご老人や身体の不自由な方には

大変申し訳なく思っていた次第で

内地で、お神札などの授与が出来ればと

思案しておりましたところ

こちらとの、ご縁も、ありました故

無理な、お願いと承知の上で

間借りをお願い致したのです。

こちらでは心よく受け入れて頂きましたので

今ここで、こうしておられるのです。」


「そうですか。素晴らしいですね。

自分も将来的には何か人の役に立つ仕事を

やりたいと思っているんです。

ウチは農園と果樹園を営んでいるんです。

幼い頃から手伝いをしていて土に触れ育ちました。


でも今の日本の食料自給率や自給力を思うと

将来を憂いてしまうんです。

このままじゃ日本は、絶対破綻する。

そう思ってしまうんです。

俺は、食事をしてる時が

生きてる中で一番大好きな時間なんです。

大好きな人と大好きな食事をするって

最高じゃないですか!


でも、その日本の食文化が今崩壊しつつある。

俺は、それを食い止めたいんです。

守りたいんです。

俺一人じゃ、そんな大それた事

出来ないかも知れないけど

でも仲間がいるんです。

きっと将来何かを一緒に成し遂げる事が出来る

仲間達がいるんです!」


「いやぁ!感服いたしました。

こちらこそ素晴らしいと思いましたよ。」


「あっ!いや、これはお恥ずかしい。

初めてお会いした方に

こんなに熱く語ってしまうなんて…」


「いえ!感心致しました。

私も、その、お仲間に

是非加えて頂きたいものです。

そうだ!名刺をお渡ししておきます。

何か、あったらご連絡下さい。

お待ちしております。

長々とお引き止め致して申し訳ありませんでした。

では私は、この辺で、おいとま致します。

失礼します!」


部長がゆっくりと立ち上がり深々と頭を下げた。


「いえ、こちらこそありがとうございました。

お世話になりました。失礼します。」


「失礼します!」


二人は、またベンチに腰掛けた。


「良い人がいるもんだな。」


「そうですね。おかげで元気になりました。」


「女性の方は凄い美人だったな。

なんだか千晴に雰囲気が似てたな。

胸も大きかったし…」


「七海君!あなたは、またっ!

女性を外見で判断するのですか!

美人とか可愛いとか、それ以外…

胸が大きいか、それ以外と

そんな大ざっぱな判断基準しか

持ち合わせてないのですか!

女性の、もっと内面を見て下さい。

それで判断して下さい。

優しいとか思いやりがあるとか、芯が強いとか!」


「そう言う部長も

七海の馬並みに惚れたんじゃないのか?」


「なっ、七草さん!戻ってらしたの!

でも、それは誤解です。

まあ、それも魅力の一つではありますけど…」


「やっぱ魅了されとんのかーいっ!

鼻の穴膨らませて言うな。

もう、発情してるのか!」


「そっ、そんな事ありませんよ。

七海君の良いところは

それだけじゃないんです。」


「外しは、しないんだ!」


「も一っ!茶化さないでください!

とにかく七海君はとっても素晴らしい人なんです。

入学した当初は

頼りないなと思うところもありましたけど

思いやりは、人一倍だと思いました。

園芸部の活動も、ずっと陰で支えてくれています。

そこが憎いところなんですよ。

女心をくすぐるんです。

部長である私をあくまで立ててくれて...」


「それで、お返しに七海の馬並みを

立ててやってるのか?」


「ナクサッ!うるせーっ!黙ってろ!

部長が為になる話してくれてるってのに!」


「ヨッシーさん!ありがとうございます。

…で、その馬並みは…ちっ、違う、間違えました。

七海君は原石だったんですよ。

磨かれて磨かれて

今こうして燦然と輝いてるんです。」


「アンタが磨いて黒光りさせたんだね!」


「ナクサさま!お願いします!後生ですから

二度と口をお開けにならないで下さいまし!

出来たら息もせんで下さい!アーメン!」


「神社でアーメンって何だ!」


「いいから黙っとけっ!」


「千晴!褒め過ぎだよ。何か、むず痒いよ!」


「本当の事ですよ!胸を張って下さい!」


「アンタは乳が張っとる!」


「ナークサッ!!」


「わー一っ!」


七草は一目散にどこぞへ逃げた。



続く

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