78 チョン君は、ちゃんとイキます!
「でかい鳥居だな!」
「やっと来たな。」
「なんか気が引き締まるな。」
運転手さんにお礼を言うと駐車場に降り立った。
「以外と車…少ないな。」
七草の言葉に七海が答えた。
「みんな夜更かししただろうし
ゆっくり、お節料理頂いてるんじゃないか…
参拝は午後からがピークだろう。」
「オイ!ヨッシー!何やってんだ。
今から、お参りって時に…」
七草がヨッシーに手を振って声掛けすると
ヨッシーが小走りでやって来た。
「そこの茶店に寄ったんだよ。
しょうがねーだろ腹減ってんだから…」
「でも、まだ準備中だったろう?」
「ああ、でも、じっと見てたら
「焼きたてじゃないけど」
…って餅を一個くれたよ。」
「よっぽど物欲しそうにしてたんだな。」
七海が苦笑いしながらそう言ったが
七草はキツイ言葉を放った。
「迷惑だったんだろ!
デカい姉ーちゃんが店の前にボサーツて立ってたら
商売上がったりだろ!」
「うるせーよ!うっ!ううっ!」
「何やってんだっ!ホラッ!お茶、飲め!
餅くいながら喋んなよ。」
「ハーッ!死ぬかと思った。」
「ヨッシーさん。大丈夫ですか?
はい!では、お辞儀してまいりましょう。」
部長を先頭に太鼓橋を渡り手水舎に向かった。
「あっ、鯉です。庭園も綺麗ですね。」
ホラ!チョン君あそこにも…..」
短亀ちゃんがベッタリ、チョン君に寄り添っている。
「アンタら歩きにくくないかね。
そんなに引っ付いて…
昨日までと距離感が違い過ぎだろ。
昨夜、何かあったかと
勤繰られてもしょうがないよ!」
「エへヘッ!何もありませんよ。
じっくり語り合ったら
お互いの事をもっとわかり合えたんです。」
「短亀ちゃんの「エヘヘッ」と
部長の「うふふっ」が出たら、ご用心だ。
何か、企んでるに違いないからな。」
「腰で語り合ったのか?チョン君!」
「わっ!いきなり振らないで下さいよ。
それになっ、なんですか?
こっ、腰で語ったり出来ませんよ!」
「なに言ってんだ!
さっきから腰を擦り合わせて
摩擦熱で煙が出てたぞ!」
「ええっ!そんな嘘ですよ!」
「ハイハイ!その辺にして…お清めしますよ。」
「共同戦線だな。部長が助け舟出しやがった。」
手水舎に着き部長がお清めを作法通りやり
みんな見よう見真似した。
全員のお清目が終わると神門を抜け拝殿に向かった。
二礼二拍手一礼。お賽銭を投げ入れお参りした。
「では、まいりしょう!」
「えっ!本殿でお祓いして
もらうんじゃなかったか?」
七草が部長に聞いた。
「それは、後ほど…
私達にとって大事な場所に先に参りましょう。」
拝殿の角を曲がり相生の御神木を横目に進むと
150階段が見えた。
「え一っ⁉︎ これ登るのか?
私は下で待ってるよ。」
七草の毎度の駄々っ子が出たが部長が
すぐにエサで釣った。
「これを頑張って登り切ったら
ご褒美を差し上げますよ!」
「えっ!何?」
「帰りに茶店で何でも、ご馳走して差し上げます。」
「本当か⁉︎ OK!行くぞー!」
「まあ、げんきんですわね!あっ、走らない!
途中でバテますよ!ホラァ!
だから言ったでしょう!」
階段を登り切ると林の中に平場が見えた。
「ハァハァ、えっ⁉︎ 何だここ?
何にもないじゃん」
息を切らしながら七草が部長に疑問をぶつけた。
「いえ!ここでいいんです。間違いありません。
ここは私達の守護神様達が
降臨した神聖なる場所なんです。」
「ええーーっ⁉︎ 」
「マッ、マジかっ!?」
「真面です!この神聖なる場所に
あえて何も置かず祈りの場としているのです。
後、階段を降りると
本殿の裏手の第二宮と第三宮に
七草さんとヨッシーさんの守護神様が
御祀りされています。
そちらも後ほど、お参りしましょう。」
では、お祈り致しますしょう。」
皆、整列して手を合わせた。
さすがに七草も神妙な面持ちでお参りした。
「何だか、ゾワーッ!て、来るな。鳥肌出てきた。」
「確かに..感じるよな!その存在を....」
「ああ、見守られ感が半端ないな!」
「あのぉ、私も何か感じるんですけど
私は守護神さまとは無関係ですよね?」
「短亀ちゃん!そんな事ないよ。
本来、誰でも感じれる筈なんだ。
その感じ方は千差万別だと思うけど。
ただ、この場所は特別だ。
心を解放してしまえば確実に感じれる。
そんな場所なんだ。」
七草が、いつになく真剣な面持ちで応えた。
「あの~。俺、何にも、感じないんですけどぉ?」
「チョン君!気にすんな。
中には、そう言う感性の鈍い
不感症は存在するもんだ。」
「なっ、七草先輩!
不感症って何ですか!
そんな事無いですよ!
俺だってイク時はイキますよっ!」
「それこそ、何、イキってんだよ!」
「だって、言いがかりですよ!」
短亀ちゃんも参戦した。
「そうですよ!それは私が証言します。
証明してあげてもいいです。
チョン君は、ちゃんとイキます!
それは、この短亀摩姫が保証します。」
「アンタ、フルネームで
ショップチャンネルみたいに言い切ったね!
その保証期間は、何年だい?」
「ナ、ク、サ!話がズレてるよ。
もう、そのくらいにしときな!」
「短亀ありがとう!やはり持つべきものは友だ!」
「何が友だ!エロ友だろーが!
コイツら確真犯じゃねーか!アホらしっ!」
「だから、ナクサ!もう、やめろって!」
「そうですよ!神聖な場所で寸劇やらないの!」
「コントじゃねーわ!」
「そうだ!」
「そうです!」
続く




