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短亀摩姫ちゃんの神髄  作者: 桂虫夜穴


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72 大晦日の語り


「千晴!悪かった。本当に申し訳ない!」


七海が必死で謝っているが

部長は七海と目を合わさずバスの時刻表を見ている。


「もーいいですよ!反省してるのであれば…

それにしても楽しそうですわね。

七草さんと漫才してる時…..」


「だから、アレは漫才とかじゃなくて

いつも七草が訳のわからん事ばかり言うから

それを正しているだけであって….」


「アラそうですの?

それで私の話も聞けないくらい

夢中になってる訳ですか!

あーそうですか?そーですか!

はい!わかりました。

七海くんは私と話すより

七草さんと話す方を優先しちゃうんだ。

あーそーなんだ!私の方が、優先順位が下なんだ。

私は下の下..…なんだ…」


時刻表を見つめる部長の瞳から

涙が洪水のように流れだした。

決壊したダムのように一気に溢れだした。

そんな部長を七海はガバッと背後から抱き締めた。


「ちっ、千春!そんな事、一言も言ってないだろ!

俺にとって千晴は何より一番の存在だ。

オマエだけが俺の全てだ。

千晴なしで生きて行くことなんてできない。

それほど大切な存在なんだ。

下の下は七草の方だよ!」


「最後は余計だ。何で私がゲゲゲのゲーなんだよ。

鬼太郎かっ!このバカタレッ!」


七草のプチギレの後ヨッシーが抱きついたままの

七海と部長に声をかけた。


「あっ、バス来たぞ。

二人共それくらいにしとけ!

置いてくぞ!」


「立場変わっとるやないか!」


七草の言葉に短亀ちゃんも同調した。


「本当早くして欲しいです。

いい加減、宿に着いて足を伸ばしたいですよ。

寒いし疲れました。」


ヨッシーも同じ思いのようだ。


「同感!色々あり過ぎて精神的に疲れたよな。」


「お風呂であったまりたいです!」


「そだな!」


 



「あっ、温泉じゃん!効能とか書いてるよ。」


部長と七海がフロントで受付をしている間に

売店のお土産などをみんな見て回っている。

さすがに高級旅館やホテルとはいかない。

民宿っぽい宿にした。

ポイが、気になるだろうが

民宿より少し規模が大きくて

しかし料金は、リーズナブルと言う

学生さんにとって非常にありがたい宿だ。

正月料金なるものがあって若干割高だが

それでも他の宿に比べればお安い方だ。

有難き事この上ない。


食事の前に風呂を頂く事にした。

しかし、この食事付と言うのがポイントなのだ。

素泊まりで「外食」と言う手もあるが

何せ大盛日だ。

外食系は、個人店などは早めに閉店してしまう。

チェーン店が無ければ、コンビニ

それも無ければ餓死という状況に陥る。

現地に行かなければ

飲食店の予定などつかめないのだ。 

みんな大晦日くらい早くあがりたいってもんだ。

開いてる店をゲット出来なければ

悲像な事この上ない。

その点、食事付きなら温泉であったまって

さっぱりした後に即お食事だ。

最高だ。これは天国だ。

しかも、あくる朝の食事は正月仕様ときてる。

雑煮付きだから正月気分満載だ。


「ありがとう!お父上!母上さま!

感謝いたします。」


そう言いながら手を合わせ

みんな食事を美味しく頂いた。





「何してんだ?」


「目覚ましをセットしてるんだ。

明日は初日の出だ。

ちゃんと拝んで色々お願いするんだ。」


「ナクサ!アンタいつもそれだね。

いつぞやの流星群観測もアレもコレって

たくさんお願い事をしようとするから

結局、流星がすぐ消えて

何も願い事出来なかっただろ!欲張るなよ。

取って置きなのを一つにしとけよ。」


「でも、日の出はゆっくりだからな

100個でも、いけるんじゃないか?」


「アンター人で100個もお願いしてだよ。

同じように世界中の人が100個づつお願いしたら

お天とう様は、いったいどれだけの願いを

叶えてやらんといかんのだ。

それこそ、天文学的数字になるぞ。」


「ゲッ!そっ、そうか、それはまずいな。

いくらお天とう様といえども

天文学的数字はいかんな。

お天とう様が寝込んでしまうな。」


「い、いや!

お天とう様が寝込む事は無いと思うが

とにかく一つにしとけ、一番のヤツだけ!」


「そだな!そうするよ。」




「ナクサ!もう寝るのか?紅白始まるぞ!」


「明日、寝坊したらいかんからな!

私ゃ、もう寝るよ。

今日は、いっぱい走らされて

体力を、消耗したからな。充電せんとな。

あっ、スマホも..じゃ、おやすみヨッスイ!」


「アンタが勝手に走り回ったんだろ!

あとヨッシーだろが変な発音すんな。

ネイティブか!ガッゼーラか!」


「えっ!何だ?ガッザーラって

ラ・ザーニアみたいだな。

シャイゼリアの新メニューか?」


「ラ・ザーニアと区切ったり伸ばしたりはせん!

ラザニアだ。

ガッゼーラはゴジラのネイティブ発音だ。

シンゴジラの劇中で登場人物で

日系アメリカ人女性が

ゴジラの事をガッゼーラと発音し倒すんだ。

これが耳障りでたまらんかったのよ。

私は上映で6回程観たが

この部分だけは耳をふさいでいたよ。

DVDになる際は

どうかカットして下さいと神様にお願いしたが

その願いは、ついに叶えられなかったがな。」


「神様にどうやってお願いしたんだ?」


「えっ!何だ? 心の中でだよ!」


「あーっ、もうっ!」


そう言いながら七草は身を起こしあぐらをかいた。


「それこそアンター世一代じゃ無いか!

是一だよ。取って置きの一個だよ!

それをお願いしなよ!

プライムビデオのシンゴジラの、そのシーンを

カットしてくれるように

お天とう様に、明日の朝、お願いするんだよ!」


「ええっ⁉︎ そっ、そんな事

Amazonに問い合わせる案件じゃないのか?」


「アホかっ!Amazonは配信しとるだけだ。

そんなカットする権限なんかあるか!」


「じゃあ、東宝とか?」


「映画会社が自社の作品を

一個人のクレームでカットなんかする訳ねーだろ!」


「しかし..お天とう様ってのは、どうもな!」


「このバチ当たりがっ!

お天とう様をあなどるなかれ!

お天とう様は万能だ。

どんな願いでも叶えてくれる。

まっとうな願いならな!」


「これって、まっとうな願いなんか?」


「バカモーン!胸を張れよ!

そのデカい乳を張れよ!

ヨッシーが切に願った事だ。

きっと世界中のゴジラマニアが

そう思っていたに違いない!

アンタは、その代表だ。その役目を担うんだよ!

世界で唯一の存在になるんだよ!

アンタ自身が取って置きの一人になるんだよ!

ヨッシー!...じゃあな。おやすみ」


「ナッ、ナクサ....ちょっと待てよ。

ああ、もう…..寝たのか?

私...なんか…頭真っ白になっちまったよ。

でも、わかったよ…やるよ私!

明日お願いするよ。

お天とう様にゴジラはガッゼーラじゃない。

ゴ・ジ・ラ..ですって!

カットお願いしますって!」


「う~ん.....そだにゃ...」


「えっ⁉︎ 寝言か?

おやすみ。ナクサ。」




続く




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