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7 チョン君と短亀ちゃんの攻防


 放課後の教室で、短亀ちゃんとチョン君が雑談をしている。


「どうだ。調子は?楽しいのか?

その園芸部とやらは?」


「メチャクチャ楽しいですよ!

先輩達のやりとりがホントに面白いんです。

コントか漫才かってくらいで…

いつもお腹抱えて笑ってますよ!

それも突然始まるんですよ。何の前触れも無く。

もうバトルですね。ガチで喧嘩してるのかって

ヒヤヒヤする時もあるんですけど

ボケとツッコミがもう絶妙で

最後は綺麗に落としてくれるからワーッ!…って

ある意味感動さえ覚えてしまうんです。」


「何だエンゲーブって言うから、植物関係の方だと思ってたよ。芸人とかの演芸の方だったんだな。」


「そこなんですよ!

私も初め、そう思って入部希望したんですけど

実は違ってたんですよ。

植物関係の園芸で正解なんです。

なのにあの面白さですよ。もうビックリして!

あちらからは「演劇部に行った方が

いいんじゃないですか?」って

気遣いして頂いたんですけど。

その心配りも何だか嬉しくて好感が持ててて

即決したんです。今すぐ入部させて下さい!って。」


「何か熱量が凄いな!そんなに気に入ってるんだ。

園芸部の事。」


「はい!何がイイって!

先輩達のキャラが最高なんですよ!

一人づつキャラが立ってるって言うか!

あーっ!言葉で言っても全然伝えられてる自信

ないです。

実際、会って貰ったら1番良くわかるんですけどね!

今からどうですか?」


「今からどうですか?とは、何だ?

俺を部室に連行するつもりか?」


「ええ!そんな連行だなんて

チラッと覗く程度ですよ。」


「チラッとで、いくら何でも

そこの面白さは伝わらんだろう?

会話が面白いんだろう?

多少の時間は、必要だろう?」


「まあ、それは、そうですね!

でも、ほんの少しの時間で大丈夫だと思いますよ!

すぐ始まりますから言葉の掛け合いが!」


「いや!今日は遠慮しとくよ。

何か、取り込まれてしまいそうだ。」


「ハハハッ!大丈夫ですよ。

そんな宗教の勧誘じゃないんですから。

部長さんが、ここは自由の聖地だって言ってました。 部に入る事も入らない事も本人が決める事だから

束縛も強制もしないとおっしゃってました。」


「何か、怖いな。逆に宗教に思えてきた。

短亀!洗脳...されてないよな!」


「ハハハッ!まさかですよ!

私は自分で選んだんです。

自分で入部を決めたんです。」


「それならいいがな。

何か、あったら言ってこいよ!」


「だ、か、ら、一緒に来て下さい!」


「オーッと!それは無理だ!

取り敢えず今日は、無理だ。

どうも突然行ける場所じゃなさそうだ。

下準備をしていかんと気が付いたら

入部していたと言う事になりかねん。

俺はあくまで帰宅部を貫くつもりだからな!」


「ヘーッ!チョン君って

意外とビビリだったんですね。」


「えっ!?どした?突然!」


「いえ!少し、ガッカリしたかなって。

瞬発力って大事じゃないですか!

何か問題があった時に瞬時に解決してくれるのって

女性の立場からしたら

凄く頼もしい存在に思えるんです。

それが明日だ。後日だって言われたら

やっぱりガッカリですよ。」


「ちょ、ちょっと待ってくれ!

今、俺、難問を突き付けられてるよな!

何で、そんな事になった? 

俺が帰宅部を変えるつもりはないと言う

前提の話だよな。

その上でただ面白い先輩を紹介したいと言う

ただそれだけの話だよな。

俺を入部させようなんて魂胆は

一欠片も無いって事だよな。」


「はい!その通りですけど!」


「じゃあ、今日じゃ無くても、いいだろ。」


「だから、それがビビってるって言ってるんですよ! 日にちを伸ばして明日からの断る言い訳の

算段をしようとしてるんですよね。

私はチョン君の事を

この学校で唯一の友達だと思ってるんです。

先輩達に、この素晴らしき友人を紹介したい。

それが本音なんです。

それなのに先輩達を、恐れて逃げようとしている。

あ~!悲しいです。」


「お、おい。短亀。

そこまで待ち上げられても困るんだよ。

俺も、もちろん短亀の事、友達だと思ってるけどな。

物事にはタイミングってものが、あるだろ。

こっちの都合ばかりじゃな。

こう言う事は事前に伝えてから、お伺いするもんだ。 突然と言うのは、なあ。やっぱり失礼だろう!」


「..はい!あ、そうですか!ありがとうございます。では、今すぐ、一緒にそちらに向かいます!」


「コラァ!短亀!俺がまだ話し終わってないのに電話しただろ!

勝手に決めたらいかんだろ!」


「先輩達の都合を心配したんでしょ。

OKが出ました。もう何も問題は、ありませんよ。

さあ、行きましょう!」


短亀ちゃんはチョン君の腕を掴んだ。


「ええ⁉︎ 待てぇ!短亀!心の準備が...あっ痛っ!

ちょっと待てっ!痛いぞ、そこっ!

関節!ああー!何でこうなるんだ〜!」


「フフフッ!」



続く

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