68 クリスマスの和解
「メリークリスマース!」
「ジングルベール!」
「ところでジングルベルって、どう言う意味だ?」
七草の問いにチョン君が応えた。
「鈴の音らしいですよ。
多分、馬車などに付けられた
大きな鈴の音だと思いますけどね。
日本じゃ鈴の音って言ったらリンリンですけどね。」
「国によって擬音の表現が全然ちがうんだよな。
このチキンなんか、日本じゃコケコッコ一だろ。
英語だと「クックドゥードゥルドゥー」だ」
七草のウンチクにヨッシーも乗っかった。
「それってあれだろ。
コケコッコーは、朝の雄叫びだ。
おっはよ一っ!的な。
クックドゥードゥルドゥーは腹減った。
朝飯くわせろ〜」みたいな。
チョイスが違うから比べようがないな。」
「そうだな。胸肉と腿肉くらい違うよ。
見た目から、こんなだ!」
そう言いながら
七草がフライドチキンに、かぶりつき
コーラをガブ飲みした。
「クーッ!うめーっ!
やっぱりチキンにはコーラだな。
最高だよ。」
「オマエまだ早いだろ!千晴に怒られるぞ。」
七海が言ったが意に返さず応えた。
「でも七海良かったな。母ちゃんと和解できて!」
「和解はしていたさ!
ただな…俺がバツが悪くて
一歩踏み出さないで、いただけだから…
しかし、いつまでもそうはしてられないもんな。
千晴の事
ちゃんと母ちゃんにに認めて貰わないと
千晴が可哀想だもんな。」
そこへ母ちゃんと部長が現れた。
大皿に料理を抱えている。
それをヨッシーと短亀ちゃんが受け取り
デッカいテーブルに配膳した。
「あら!もうチキンのつまみ食いですか?
みんな揃ってからにしてください。」
部長が小言を言っているのを
母ちゃんが微笑ましく見ている。
「千晴ちゃんはしっかりしてるんだね。
さすが部長さんだ。」
「あっ!お恥ずかしい。そんな事…
とんでもありません」
部長は恥ずかしそう顔を赤らめた。
「料理も手際が良くて驚いたよ。
気立ても良くて
親御さんに大事に育てられたんだね。
ウチの子で良かったのかね。
なんか釣り合いが取れない気がするけど…」
「そんな事ありませんよ。
いざとなったら助けてくれるのは
いつも七海くんなんです。
いつも後ろから見守ってくれてるんです。
頼もしい人です。」
「そんな風に言ってくれるのかい。
ありがたいねぇ。
これからも七海の事よろしくお願いしますね!」
お母ちゃんは涙ぐみながら
そう言うと自宅の方へ戻って行った。
「何だ部長!もう、たらし込んだのか!」
「七草さん!
人聞きの悪い事を言わないでください。
昨年の失態を謝罪して
七海君と私のお付き合いの事を
腹を割って話しただけです。
それでお母様も理解してくださったんです。」
「何一っ!合宿の夜の事も話したのかっ!」
「まっ、まさか。それは、さすがに…..」
「それじゃあ、腹を割ってとは、言えないな。」
「だって、そんな事...」
部長が戸惑っていると七海が割って入った。
「七草!そのくらいにしとけ!
折角みんなで集まって楽しくやろうって時に…
それに、そんな話したら
俺は、この家から追い出されかねんぞ。
ウチじゃあ、この手の話は
問答無用で、みんな男が悪者になるんだ。
男の責任になるんだよ。
なっ!そう言う事だから。この話は終了。
楽しくやろうぜ!」
「そうだな。チキン食いて一しな!」
「そこなんかーい。」
「そだよ!」
「正月の旅行が楽しみだな。
クリスマスも、こうして集合できたし最高だよ!」
「合宿ですけどね。
でも今年は私のせいで
何もかも台無しにしてしまって
申し訳ありませんでした。
来年こそですね。」
「部長!気にすんなっ。アレは不可抗力だ。」
「ちょっと待て!今日は大丈夫だろうな。
去年は念には念をとか言って
やらかしたんだからな。」
「大丈夫だよ。コーラにお茶にジュース。
ノンアル系は無しだ。
怪しげなヤツは全て排除したから安心しろ。」
「そっかあ。面白くねーなぁ。」
「七草!何を期待してるんだ!」
「へへへっ!ハプニングだよ。」
「変な事を期待すんな。」
「そうですよ!」
続く




