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短亀摩姫ちゃんの神髄  作者: 桂虫夜穴


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61 短亀ちゃんの真髄


「さすがだね。」

「サプライズだね。」

「驚きましたね。」

「こんなに気が合うなんてね。」


ハロウィンと言うのにみんな和服の装いだ。

何を着るかは、その日のお楽しみとしていたのだが

ズラリと並んだその姿は、独自性は有りながらも

あたかも関係性を緻密に練られた様に

ピタリと統一していた。

しかし実際は

皆それぞれ自分で考えコスチュームを選び

手を加え、この日に備えたのだ。

それがまるで

一緒に同じ空間で制作した様な出来栄えに

みんな感動したのだ。

これは、ただの偶然とは、みんな思えなかった。

これが不思議な力の根源なんだとそう思えた。

部長とヨッシーと七草の装いは

あの宗像神社の三女神。彼女達の守護神だ。

部長は豪華絢爛やり過ぎ感満載。

また、お婆様からの借り物の着物でお出ましだ。

そこへ早速、七草がツッコミを入れた。


「部長!今回は何百万するんだ。その着物?

また染みをつけるなよ!

みんな、それを心配して気が気じゃないんだ!」


「今年は大丈夫ですよ。」


「そう言いながら

ついとか言って、やらかすんだからな…」


「じゃあ、今年こそは…です。」


「まあ、いっか!それにしても女神のはずだろ?

なのに…

どこか去年の花魁の雰囲気がするのは何故だ…

そうか!

その異様な高さの、ぼっくり下駄と

バカでかい大量のかんざしだ!

何故それを履いた?

髪に刺して来た?

女神と花魁のコラボって何なんだ?大丈夫か?

バチ当たりにならんか?」


「これ、去年、買ったんですよ。

でも、こんなの他で使えないじゃないですか。

もったいないので

今年もアイテムに加えました。」


「買う前に、もったなくならんかどうか

考えてから買えよな。」


「でも、これらが無かったら

花魁は成立しませんでしたよ。」


「あの時は、なっ!

花魁ありきで男二人も演出に加えたんだからな。

七海も七星も恥ずかしさのあまり

むせび泣いてたけどな…」


「そんな事も、ありましたかね。

あれも良い思い出ですね!フフフッ!」


「アンタにとっては、なっ!」


「それはそうと七草さん。

そのミジカメいいですね。」


「短亀なら向こうだ。」


「違いますよ。その着物の丈の短さですよ。

凄くカワイイです。

帯の大きなリボン結びもキュートですし

天女の様な羽衣も透け感があっていいですよ。

最高です!」


「おいおい部長!嬉しい事言ってくれるじゃん!

りんご飴、おごっちゃうよ!」


「ダメだ!やめとけ!

飴のかけらでも着物についたらえらい事になるぞ。」


ヨッシーの的確な判断だ。


「そっか、ならやめとこう....って、何だ!

ヨッシー!アンタの、その着物!

着崩し過ぎだろ。

下は水着か?下着か?

そっ、それは、どっちでもいいか!

それにしても、エロ過ぎだろう!」


「そうか?私の魅力を最大限に引き出したら

こうなってしまったんだよ。

なにしろ美神だからな。」


「相変わらず、自己頭示欲の強い女だな!」


「アンタこそ、猜疑心の権化だな!」


「まぁまぁ、お二人共その辺で…」


「そだな!」





「短亀ちゃん!カワイイ!凄く似合ってる。

キュートですよ。」


部長は、そう言いながら

両手の指でハートを作って見せた。

溢れる様な笑顔で、そう言った本人も相当可愛い。

思わず見惚れた通行人達が

勝手にスマホで撮影している。

今日の、この場所は、それも無礼講だ。

何故なら、ここはハロウィン祭り。

仮装大賞の会場なのだから!イェーイ!


今年は商店街若手経営者達が中心となって

企画運営し、ハロウィンを盛り上げようと

奮闘している。

渋谷など都市部のハロウィンでの

バカ騒ぎによる暴徒化などが社会問題化し

折角の楽しい子供の為のお祭りが台無しだと

街の有志達が立ち上がったのだ。

秩序あるイベントとして一定の管理を託せば

みんなが快適で安全に楽しむ事ができるだろうと

色々な企画を立ち上げた。

その一つが仮想大会だ。

バラバラでブラブラと意味も無く歩き回るより

統一して、皆さんに披露し鑑賞し合い

和んで頂こうと言う趣向だ。

さらに賞などを儲けたので

張り合いも出ると言うものだ。

それこそ、ヨッシーの腕の見せ所と言うわけだ。

実は、みんな独自に制作し当日にその衣装を発表

披露すると言う取り決めをしていたのだが

結局みんなヨッシーに銘々相談

アドバイスを受けると言う事を繰り返していた為

この様な統一性が生まれたのだ。

羽衣などは淡い色の透けた柔らかい生地を筒状にし

その中にヘリウムガスを注入した

ラテックス製の生地と同色の風船を数個忍ばせ

フワフワと浮かせると言う凝りようだ。

まさに天女の衣と言った様相で

みんな不思議そうにそれを見ている。


「緊張しますね。」


短亀ちゃんの頬がピンクに染まっている。


「心配すんな!短亀ちゃん。

緊張ってのは、ああ言うのを言うんだぞ。」


ヨッシーが七草の方を指差した。

顔が真っ赤っかだ。

全身が震え、両足も揺れて

膝が連続で何度もダダダと強打している。


「ナクサ!アンタ。膝、痛くないのかい?

そんなに何度もぶつけて…」


「緊張で震えが止まらんのだ。

何とかしてくれ!」


すると短亀ちゃんがいきなり七草にハグした。

七草は突然の事に眼をまん丸にしている。


「大丈夫、大丈夫…七草さんは強い子です。

飛び切り可愛くて、とっても強い娘です。

大丈夫、大丈夫…」


頬が触れる程密着し

耳元でウィスパーボイスで囁いた。

すると七草の全身の緊張は、ほぐれ

震えも止まり気分も落ち着いた。


「短亀ちゃん。ありがとな!」


七草は小さく照れ笑いをした。


「どういたしまして!」


短亀ちゃんは両手を揃え小さくお辞儀をした。

その頭上で淡い桃色の羽衣がフワフワ

ゆらゆら揺れている。


「いつも鮮やかだな。

行動が早いし、機転が効く、思いやりもあるし…」


「そうですね。それが短亀ちゃんの真髄。ですね。」



続く

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