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短亀摩姫ちゃんの神髄  作者: 桂虫夜穴


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53 おかっぱ頭のカッパ


(何だ!これ!コイツらこんな事

いつもやってんのか!

これじゃぁ、私と七星のやってたことは

子供のお遊びだ。)


七草は、植木尊定用の脚立を持ってきて

塀の上から浴室を覗き盗撮していた。


(やっぱり変態だよ。この二人は…

筋金入りの超変態だ。

こんなもんネットにアップしたら

私がお縄になっちまうよ。クワバラクワバラ。

って言うか、何か気持ち悪くなってきたよ。

ヨッシーなら

また胃の中空っぽになるまで吐いてるよ。

あー、もう寝よ!

付き合ってられないよ。)


"パチッ!"


(あーあ、蚊に刺されたよ。

こんなに蚊がいっぱいじゃ

虫除けスプレーもきかないな。)


脚立を降りて、蚊に刺された腕を掻いていると

"ザバッ!"いきなりお湯が降ってきた。


「七草さん!アナタでしょ!

そこで、覗いてたでしょ!」


蚊に刺されて思わずパチッと腕を叩いた音が

部長に聞かれたのだ。


(ヤベッ!)


七草は、ビショ濡れのまま部屋に戻った。




「おはよう!」


「おはようございます!」


「おっ!今朝は、みんなスッキリした顔してるな!」


七草の声かけに七海が応えた。


「いや!たったひとり不機嫌なのがいるよ!」


「チョン君。

何で頭に包帯なんか巻いてるの?」


ヨッシーが、尋ねたが

チョン君は不貞編れて黙りこくっている。

代わりに部長が、それに応えた。


「七草さんが耳掃除をして

あげたらしいのですけど…

耳かきが奥まで入ったらしくて

今朝も、まだ痛いので包帯をしてくれと

頼まれましたので、この様な状態に..」


「それにしても巻き過ぎだろ。

これじゃあ、ミイラ男だ。」


「私も、やり過ぎかなぁと思ったのですけど

チョン君が「もっともっと巻いてください」と

お願いしてくるので、つい…」


「また、部長の「つい」が出た。」


「しかし、包帯をいくら巻いても

耳の痛みは、治らんだろ。

耳鼻科で診て貰った方がいいんじゃないのか?」


「嫌がらせだな。これは!」


七草が鼻くそをほじくりながら言った。


「ナクサ!アンタが、ちゃんと謝らんからだろ!

元々、わざとやったわけじゃないんだ。

誠心誠意謝れば、チョン君も許してくれるし

機嫌も直る。

そうだろ!」


「わかったよ。チョン君。ごめんなさい。」


そう言いながら七草は

椅子に座っているチョン君の真横に立った。

チョン君が七草の方を向くと

いきなりチョン君の、頬っぺを両手で挟むと

ブチュウと濃厚なキスをお見舞いしてやった。

それには、チョン君本人も

それを見ていた一同も、驚かされたが

短亀ちゃんが一番に反応した。


「七草先輩!

私のチョン君に何て事してくれるんですかっ!」


「こんなものは、早いもん勝ちだ!

それにアンタは、ヨッシーにゾッコンなんだろ!

よそ見何かしてるから

こう言う事態に陥るんだよ!

なぁ、チョン君、悪かったな。詫びるよ!

これは、心尽くしだ。」


そう言いながら

今度はタコの様に両手足を

チョン君の身体に巻き付けて唇に吸いついた。

みんなが引き離すまで

七草は、しつこくチョン君の唇と口内を

舌で縦横無尽に暴れ回った。

やっと引き離した時には、二人とも口の回りは

唾液とチョン君の涙と鼻水で

ベチョベチョドロドロになっていた。


「何か汚ねぇーな!

神聖なるキスとは、ほど遠いな。」





「チョン君!チョン君、大丈夫か?

こりゃダメだな。もぬけの殻だ。

チョン君の魂は、今ここに存在していない。

これは、抜け殻だ。」


チョン君は椅子の背もたれに寄りかかり

天井を見上げている。

目の玉は、ほぼ白眼になっている。

包帯は、解けて何本か頭と顔を縦断して

クロスしている。

そして、唾液だらけの口元は

何故か薄笑いを浮かべている。

あのイケメンの姿は

そこに一片すら存在していなかった。


「何か気味が悪いな。

これは、耳鼻科より心療内科じゃないか!」


「もう!ナクサ!何て事してくれてんだよ!

チョン君、おかしくなっちまったじゃないか!」


「申し訳ない。つい…」


「...ついは、部長の専売特許だろうが!

アン夕の場合は、常に計画性を持った悪巧みだろ!

ずっとチャンスを伺ってたはずだ!

アンタ!クローンと本家を両天秤にかけて

どうするつもりだい。

七星に申し訳ないと思わんのか!」


「わーっ!だって、だって

みんな好き勝手にイチャイチャしてるじゃないか!

私だってイチャイチャしたいよ一っ!」


「あっ!いかん幼児がえりだ!

赤ちゃんまで行かんように、この辺で手を打とう!」


「わかった。わかった。俺達も悪かったよ。」


「ナクサ。寂しかったのか?

ごめんな。悪かったよ。

でも、もう少し我慢してたら

今夜あたり短亀ちゃんのラブアタック攻撃が

あったかもしれんのにな!」


「えっ!私ですか!

それは、ないですよ。

だって七草先輩からは

セックスアピールを全然感じないんですもの。

ツルッとして胸も無くて幼児体型でしょ。

それに湯船に浸かってる姿は

河童にしか見えませんでしたよ。」


「かっ、河童っ⁉︎ 」


七草は突然、思いもしなかった事を言われて

呆然とした。


「はい!そうです。河童です。

おかっぱ頭でタオルを頭に乗せてるの

何かお皿をのせてるみたいでした。

まんま河童にしかみえませんでした。

河童は、さすがに恋愛対象には、なりませんよね。」


ゴーン!


季節外れの除夜の鐘が七草の頭の中で鳴り響いた。

七草も白眼を剥いている。

そのままチョン君の膝上に腰を下ろすと

チョン君に、もたれかかった。


「ちょっと、このまま

そっとしといた方が良さそうだな。」


「そうですね。」



続く

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