49 不純同性交友⁉︎
「ハーッ!」
部長が大きくため息をついた後、湯船に身体を伸ばし星空を見上げた。
(あぁ..。厄介な事に手を出してしまったわ。
自分で自分の首を絞める事になりかねない。
禁断の不確実な果実...イブとイブね。
でも私には、アダムがいる。
そろそろお出ましかな。)
"カチャッ!"
ドアがタイミング良く開いた!
部長は、"ザバッ!"と
湯船から勢いよく立ち上がった。
「七海君!...えっ⁉︎ 」
その後は、言葉に詰まった。
そこに立っていたのは、短亀ちゃんだった。
素っ裸で部長の姿を強い眼差しで見詰めている。
部長は、慌てて湯船に座り込んだ。
「短亀ちゃん!どうしたの?
あなた、もうお風呂入ったでしょう?」
「はい!でも部長さん、お疲れだと思って
お背中流してあげようかなって思ったんです。」
そう言いながら浴室に入り湯船に向かってきた。
「部長さん。今、そこに七海先輩がいましたよ。
覗きにでも来たのですかね!
いくら、お付き合いされてると言っても
部活で、それは、ないですよね!
だから追い返してやりました。
何か歯ブラシを忘れたから取りに来たとか
言ってましたけど…
そんなのありませんでしたよね。
苦しい言い訳なんかして
何か、やましい事でも企んでいたんですかね?」
「企むって…短亀ちゃん!
それは、七海君にあまりにも失礼な言い方ですよ!
歯ブラシは、私が気がついて預かっています。
変な言いがかりは、やめなさい。
許しませんよ!」
そう言うと部長は、湯船から上がり
浴室を出ようとした。
それを短亀ちゃんが後ろから抱きついた。
いつになく厳しい口調だった部長の言葉に
短亀ちゃんは、驚いて本音を口にした。
「ワーッ!ごめんなさい!
だって.....だって部長さんが急に冷たくするから....
今から七海先輩と
ここで落ち合うはずだったんでしょう。
私、ヤキモチ焼いてるんですよ。
だから、七海先輩を阻止したんです。
意地悪な事、言ってしまったんです。エーン!」
短亀ちゃんは、部長に抱きついたまま泣き出した。
小ぶりだが形のいい胸が部長の背中を圧迫している。
「行かないで下さい!
七海先輩のところに行くんでしょう。
やめて下さい!それだけは、駄目です!
叔父様との約束。破ってはいけません!
異性との行為は厳禁ですよ!
でも、私なら同性です。
異性じゃありません。
だから私と...」
「そんな事、屁理屈だわ。
不純なら変わりないわ!男も女もない!」
「それなら尚更、私と!」
さらに短亀ちゃんが強く抱きしめ密着感が増した。
…と、その時、洗面所でバタバタと物音がした。
二人がそちらを振り向くと
すぐに"バーン!"とドアが勢いよく開き
壁にぶつかった。
「はーい!そこまで!短亀ちゃん!
現行犯逮捕だ。
不純同性交友違反の罪だ!」
七草が素っ裸で仁王立ちして
短亀ちゃんの方を真っ直ぐ指差した。
ヨッシーは、ジャージとTシャツ姿で
ドアが壊れてないか確認している。
「なっ、何なんですか?七草先輩!
いきなりビックリするじゃないですか?
それに不純同性交友なんて聞いた事ありませんよ!」
「聞かんでもわかるだろ!何だその体制は?
野生の交尾か!」
部長が逃げようとして
バランスを崩し床に手をついていた。
それを短亀ちゃんが必死で捕まえていたので
最後は、下半身だけが密着していた。
あられもない姿に、二人は慌てて離れて
湯船に飛び込んだ。
「やってくれちゃうね。お二人さん。
特に部長!
アンタ。立場、わかってるよねぇ!
七海が知ったら、どんだけ落ち込むか?
アイツは、怒ったりせんけどな。
叔父様とご両親。嘆き悲しむよ。
何で次から次に問題を起こすんだ。
私も、やらかすけどアンタのは、根が深すぎるよ。
こじれてる。
どうやったら解きほぐせるのかね。
全く...」
「違うんです!私が…私が、全部悪いんです。」
短亀ちゃんが泣きながら訴えた。
「私!部長さんの事が、好きなんです。
どうしょうもなく好きになってしまったんです」
「アララ。チョン君は、どうなったんだい?」
七草が問いただした。
「チョン君の事は、取り敢えず置いといて...」
「置いとけないよ。大事なとこだよ!
アンタ、そんなコロコロ好きな人、変えてたら
ロクな大人になんないよ!」
「大人でも心変わりはするでしょ!」
「だからぁ、そんな軽率な大人にならん為に
今から健全な人間関係を築いていかねばならんと
言っておるんだ!」
「そんな理屈ばかり言われても
好きになったものは、どうしようもないです!
私は、頭で考えて
人を好きになったりしないですから…
好きになった後に色々考えるんです。」
「確かにそうかもしれんな。」
「ヨッシー!
何、納得してんだよ!」
「あっ、ああ、そうだったな!」
続く




