46 ニックネームと欧米スタイル
七草とヨッシーは、部屋に戻り秘密会議をしていた。
「七海が気の毒だったな。
途中から可哀想になったよ。」
「部長にコテンパンにやられたからな。
まっ、でもアレも彼らのプレイの一環だからな。
自分達だけじゃ飽き足らなくなったんだ。
ああして、みんなの前で虐げて
さらに快感をアップさせているんだろう。
露出プレイの変則版だよ。」
「そんな高度なところまで行ってるのか?」
「部長の物事を極める事に対する探究心は
変態レベルだからな。
七海は、直ぐ根を上げる様だが
そこからが部長の腕の見せ所だ。
締めて締めて締め上げて悲鳴も出ないくらいまで
締めあげたところで解放してやるんだ。
まさに解放だよ!
心も身体も毛穴レベルで解放してやるんだ。
そして思いっ切り抱き締めてやる。
そうすれば、目の前の存在を
神とまで思ってしまうんだ。
強烈な洗脳だよ。
これは、一生解く事が出来ない程の
究極の愛に繋がる。
七海は、もう手遅れな程、部長に洗脳されてるよ。
まあ、七海だけじゃない。
部員は、みんな、その危機にさらされている。
ヨッシーアンタもだよ。
もちろん私も、その例外じゃないけどね!」
「ナクサ!それヤバイよ。ヤバイ!
警察。警察!」
「ヨッシー!落ち着け!
部長は、何にも犯罪を犯したりしてないぞ!
だから頭脳戦だ。
心理戦だって言ってるんだ。」
「七海は、いち早く敗れたって事だ。
アイツの場合は、色欲戦だったがな。
心理作戦など何もいらなかった。
オッパイ攻撃ですぐに沈没したからな。」
「だけど、アレは結局何だったんだ。
それこそ、さっきから言ってる。
心理戦とやらは…
昨日は、早くから
グースカいびきかいて寝てるし…
私が呼んでも全然起きないでさぁ…
果し状無き決闘は、夢の中で、やってたのかい?」
「それがな、突然睡魔に襲われてな。
夢の中に引きずり込まれてしまったのだよ。
私は、必死で、もがいたのだがな。
そのスイマーは元オリンピック選手だったそうな。
そんな相手じゃ私に勝ち目は、ないよ。」
「アンタ途中から睡魔がスイマーに変わっとるよ!
そんなおふざけは、いいから…
おかげで私と七海は、
アンタに振り回されたって事じゃないか!
腹立たしいね!」
「まあ、その心理戦も
短亀うどんから始まっていた訳だからな。
監視だ。見張りだと忠告する事で
その言葉がアイツらに対しての
抑止力になったんだ。
その点では、私らの勝利と言えなくは、ないが
あの部長のしたたかさときたら筋金入りだね。
七海の様子だと昨日の時点では
部長が仕掛けてくる事は、間違いなかった。
それが何故か突然予定変更したんだ。
その鍵は、どうも短亀ちゃんが握ってそうだね。
あの子も見た目と違ってかなりのモンだよ。
油断してたら足元すくわれるよ。
気をつけなよ。ヨッシー!」
「そっ、そんな事ないだろ!
短亀ちゃんに限って!」
「ホラッ!もう、たらし込まれてる!
甘えられて気分良くなってんだろ!」
「それは、まあ、悪い気は、しないよ。
カワイイ妹分みたいで!」
「アンタ、あの子の何なのさ⁉︎ 」
「部活の先輩だけど!」
「それがわかってりゃ。問題ないけどね。
その事を忘れんようにな。
あの子も部長に負けず劣らずって事だよ!」
「そっ、そうなのか?」
「そーだよ!」
「も一時期…
短亀ちゃんの真髄が拝めるかもしれないな。
下手すると神の方の神髄に化けかねん。
末恐ろしい娘だよ。」
「ナクサ!それって
アンタの敵になるって事なのか⁉︎ 」
「さあな....それは、私にも今は、まだわからない。」
「そうなのか....」
「そうなのだ!
「さあ、今日から練習を始めますよ。
昨日は、初日と言う事で鮎釣りや川遊びと
レジャーを充分満喫できたと思いますけど
今日から3日間、みっちりバンドの練習をしますよ。
まだオリジナル曲が出来てないので
好きなアーティストさんの曲の
コピーから始めましょうね。
各自、何曲か候補曲は
練習して来たと思いますけど…
まずは、チームワーク。
気持ちを合わせる事を心がけましょう。」
合宿と言っても
園芸に関する活動に繋がらない夏の別荘では
ただ遊んで宿題をしてと言う
時間の浪費だけに繋がる事は、眼に見えていたので
この機会にバンドの練習をする事にした。
楽器は、各自持ち寄り
お父上の高級車で運んで貰う事となった。
この別荘のガレージは、エアコン完備ときてるので
涼しい快適練習が出来ることは、約束されていた。
「七草!あくまでメインは
ヨッシーのボーカルだからな。
オマエの天才的ドラムテクニックは、認めるが
バンドは、バランスが大切だ。
ドラムとベースはバンドを支える要だからな。
短亀ちゃんと息を合わせて
しっかりリズムを刻んでくれ!」
「OK!ナナミン!
それはヨッシー共、話してるよ。
今回は縁の下の力持ちに徹するって
約束してるんだ!」
「何だ!ナナミンって!
それは、やめてくれ!
何か、薬みたいで嫌だよ!」
「アンタだけ、あだ名がないから
この際バンド結成と共に
ニックネームを付けてやろうと言う
親心を無にするつもりか!」
「嬉しくない。喜べない親心だ。
それに千晴だってあだ名、無いぞ!」
「バカ者!部長には、部長一っ!
と言う立派な、あだ名があるでは、ないか!」
「えっ⁉︎ そうだったんですか?
あだ名だったんですか?部長って…」
「ホラッ!本人が自覚してないじゃないか!
それに短亀ちゃんだって無いぞ!」
「七海!アンタバカ者だけかと思ったら
患か者も追加せんといかんようだね!
アンタ今あだ名で呼んだじゃないか!
短亀を短亀ちゃんと呼んだろ。
ちゃんがついた時点であだ名なんだよ!
加藤と志村けんじゃ硬すぎるだろ。
カトちゃんケンちゃんで親しみと愛着が湧くんだ」
短亀ちゃんがウンウンと何度もうなずいた。
「短亀ちゃん!納得しとるんかーい!」
「だって私以前は、亀とかノロとかマンネンとか
亀尽くしでしか呼ばれ無かったんですよ。
それで終いに亀自体が嫌いになりそうでした。
でも、ここに来てちゃん付けで呼ばれて
凄く嬉しかったんです。
可愛がって頂いてる気がしたんです。」
「その通りですよ。
私達は、短ちゃんもチョン君も
可愛くて仕方ないんですよ。」
「ワーッ!うれしいですぅ!」
短亀ちゃんが部長にハグした。
「おい!何か近過ぎてないかい?
頬っぺたスリスリしてるぞ!」
「あれは、欧米スタイルだ。
日本じゃ幼子か恋人にしかしないヤツだ!」
「どっちかね?」
「さあね!どっちだろうね?」
続く




