表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
短亀摩姫ちゃんの神髄  作者: 桂虫夜穴


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

37/83

37 短亀ちゃんの正義感


終業式の放課後。短亀うどんの奥座敷。


「いいねぇ!

たっぷりの大根おろしと冷たいうどん。 

この、あっつい夏に、さっぱりしっくりくるよ!

それに、この麺の喉越しの良さ。

私なんざぁ噛まずに丸呑みしちゃうよ!ホレ!

ズルッ!うっ!グギギッ!ウガッ!」


うどんが喉に詰まって

七草の顔がみるみる真っ青になっていく。


「ナクサ!バカッ!

本当に丸呑みするヤツがあるかっ!」


ヨッシーが背中をバンバン叩いた。


「プハーッ!悪りぃ!死ぬかと思った!」


「アンタ!ほんーとにバカだね。

底なしのバ力だ。

毎年正月に、どんだけの年寄りが

餅を喉に詰まらせて亡くなってると

思ってるんだい。

うどんでも何でも同じだよ!

噛まずに食ったら

詰まるのなんて当たり前の事だろ。」


「面目無い...。あんまり美味かったもんだから

つい調子に乗ってしまっただよ!」


「どこの方形だい!そんな事は、どうでもイイか! こっちもついツッコんでしまったよ!

うっかりが多いね!私達は!」


「そだね!」




「部長!ところで例のアレ…

どうなったんだ?」


「アレって、何ですか?」


「わ一っ!また、しらばっくれて!

アレって、アレだよ!

夏休みの最大イベント!

皆様お楽しみの!」


「何でしょうか?」


「だからぁ…..」


「夏合宿だろ!

何、まどろっこしい、やり取りしてんだよ!」


「あーあ。また、ヨッシーがぁ!

せっかく部長と言葉遊びしてたのに

すぐ、ぶっ潰すんだからな!

面倒臭がりなんだよ!

アンタは!遊び心が全く無い!」


「みんなそう言う情報は、早く欲しいんだっよっ!

こっちも楽しみにしてんだ。」


「そうですよね。すいません。

じゃ、早速お伝えします。

もちろん叔父様の別荘の

合宿による使用許可は出ました。

但し男女が集う部活という事で

くれぐれも学生としての立場と本分をわきまえて

喫煙飲酒不純異性交遊などの不正を

絶対起こなわない様にとの事です。

その事を踏まえて

常識ある行動をしてくれるのであれば

大いに利用して楽しい合宿を行なって下さい。

…との事です。」


「オーッ!」


パチパチパチ!みんな拍手して喜んだ。


「ちょっと、厳しい言い方の様だが

至極常識的な条件だ。

普通の高校生の在り方で過ごせは

何の問題もないだろう!なぁ、みんな!」


七海がうまくまとめた。つもりだったが...


「七海!アンタと部長が一番ヤバいのは

みんなわかってるからな!

今度の合宿でタガが、外れないように

ヨッシーが、ずーっと見張ってるから…いいな!」


「えっ!ええっ⁉︎ 私なの!私が見張り役なの!

ヤダよ!そんなの!

自由にヤラせて...じゃ無かった。

自由に行動させてやればいいじゃないか!

せっかくのバカンスなのに!」


「またでたよ!ヨッシーのバカンス発言!

これは、部活における部の合宿だからな!

単なる遊びではなーーい!

心身共に鍛え上げ鍛錬し精進するのだ。」


「それ、やり過ぎだろ!

修行僧みたいになってるぞ!

それに監視なら私に押し付けないで

アンタがやったらいいだろ。

24時間ビッシリ引っ付いてろよ。」


「私は、アンタ何かよりズーッと忙しいんだよ。」


「何が忙しいんだ?」


「まあ、それは、追々見付けるとして….」


「未定かーい!何も決まっとらんで忙しがるなっ!」


「もういいですか?

そんなに心配して頂かなくて結構ですよ。

ちゃんとその辺は、七海君と話し合ってますから…

秩序ある行動をしようと誓い合っています。

その上で、この夏の合宿を提案したのですから…

皆さんに、ご迷惑をお掛けする様な事は

絶対起こさ無い様に務めますから

どうぞ温かく見守っていて下さい。」


「何だか結婚式の挨拶みたいになってたな。」


「えっ!うそ!本当ですか?やだ!恥ずかしい!」


部長が頬を真っ赤に染めて恥ずかしがった。


「..で、その結婚式は、どこでやるんだ!」


「合宿ですよ!夏合宿!」


「そうだった。どこでやるんだ!」


「去年は、海で大いに、はしゃぎましたけど

今回は、山です。」


「ヤマか...」


突然、七草のテンションが、下がった。


「えっ!嫌いですか?

山は、海とは、また違った楽しみが、ありますよ!」


「アレだよ。虫がいっぱい出るだろ。

苦手なんだよ。虫類。

しかも蚊に刺されたら最悪だよ。

ヤブ蚊なんて最強だろ!

刺されたら痒くて生き地獄だよ。

私は、パスかな!」


「まったー!ナクサ!

アンタ上げてから落とす様な真似すんなよ!

あんなに楽しみにしといて急にやめたなんて

部長の気持ちを考えろって、いつも言ってるだろ!

叔父様に、まで話しを通してくれてるんだぞ!

私達は、いつも美味しいとこばっかり

部長から頂いてるだけだ!

せめて部長がセッティングしてくれた事に

みんなで乗っかって盛り上げようって思わんのか!」


「あっ、ああ!ヨッシーさん。

いつもありがとうございます。

でも、嫌な物を、無理強いするのもねぇ。

どうなのかしら....」


部長は、その後は言葉にならず

うつむいてしまった。

重い沈黙が座敷を覆ったが

その静寂を破ったのは短亀ちゃんだった。


「七草先輩!」


横に座っていた短亀ちゃんが七草の名を呼んだ。


「ハイ?」


七草が短亀ちゃんの方を向いた瞬間だった。


"パシッ!"


大きな音が、座敷に響いた。

七草が座敷の畳に倒れ込んだ。

それ程の勢いだった。

短亀ちゃんが、七草の頬を平手打ちしたのだ。

部員一同、一瞬何が起きたのかわからなかった。


「眼を覚まして下さい。師匠。

弟子に、こんな事させないで...下さい。ワーッ!」


短亀ちゃんは、泣きながら

厨房の方に走って行ってしまった。

七草は、頬を手の平で押さえて呆然としている。

何が起きたのか一番理解出来てなかったのは

平手打ちされた七草本人だった。


「大丈夫ですか?」


部長が七草に寄り添った。

七草は、部長の膝に顔をうつ伏せた。


「部長…ごめん!ごめん!」


「わかってますよ!いつもの言葉遊びでしょ!

短亀ちゃんは、まだ、よくわかってないから…

居ても立ってもいられなかったんでしょうね。

でも、あの正義感。頼もしいです。

立派でしたよ。

次の部長は、短亀ちゃんで決まりですね。」


「うん!そだな!」



続く

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ