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短亀摩姫ちゃんの神髄  作者: 桂虫夜穴


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28 ゴチャ混ぜカレー


日曜日の部長のお家のキッチンに

部員全員が集合した。


「結構、色々買って来たな!

カレのルーは今回はやっぱりバーモントカレーだな。

りんごと蜂蜜♪ 胃に優しそうだ。」


七草の言葉の後に七海が不安を口にした。


「しかし短亀ちゃんの好きな物を

全部カレーに入れると言う

その安易な方法で大丈夫なのか?」


「そんな事、誰にもわからんよ!

ただ、思いついた事を取り敢えずやってみる。

それしかないだろ!

その中で予想外の結果をもたらすものが

あるかもしれんだろ!」


「まあ、そうだけどな!

危険な物は、入れないように気をつけないとな!

その一品で全てをぶち壊す可能性もある訳だから。」


「しかし、そのマンゴーも入れるのか?

七海が持ってきた。高級なヤツ!

そのまま食わせろよ!」


「みんなで食べたら入れる分がなくなるだろ!」


「じゃあ私だけ、味見させろ!」


「よく、そんな白状な事、平気で言えるな!

短亀ちゃんを助けてあげよう!

みたいな事言うかと思えば、これだ!

そのアンバランスさが恐いよ!」


「でも、それ高かったんでしょう。

私、その分のお金払います。」


「短亀ちゃん!気にしないでいいよ!

七海のうちは、果樹園をしてるから…

そこからパクって来た品だから!」


「気にするなって、七草!オマエが言うな!

それにパクったりなどしていない。

これは、ちゃんとバイト代から

天引きして貰っている由緒正しきマンゴーだ!」


「ハイハイ!二人共!揉めないの!

一切れづつですけど、味見してみましょう!

残りは、全部カレーに入れました。」


部長がフリルで、ふんだんに飾った

真っ白な割烹着をきて皿を運んできた。


「ええー!千晴!それ…..」


「えっ!何か文句でも?」


部長が大きくて猗麗な瞳でジロっと七海を睨んだ。


「いや。特には….ありません!」


白いお皿にマンゴーが六つ。

爪楊枝が刺さって置かれている。

見るからにジューシーで美味しそうだ。


「さあ、どうぞ!召し上がれ!」


みんなマンゴーに手を伸ばし小さな一切れを

ゆっくり味わって食べた。


「甘ーい!」


「美味しいですぅ!」


「うまーい!さすが高級品!」


「七海!アンタんちの果樹園は

美味しさの宝庫だね!

私は、嫁になってあげてもいいよ!」


「七草さん!」


部長が今度は、七草をジロっと睨みつけた。


「じょ、冗談だよ…

部長アンタの目力

強すぎて怖え一からやめとくれ!」


「冗談にも程があります。度を過ぎています。」


「ナクサ!ここは部室じゃないぞ!

揉め事の種をばらまくな!」


「ヘーーイ!」


「初めにマンゴーの美味しさを口に含む事で

舌に記憶させ、それを入れたカレーを

食べたいと言う願望に導く訳です。

その為にも大事な味見ですよ。」


「そうか!さすが部長だ!」


七海が折角、部長の気分をアゲようとしたのに

七草が、ぶち壊した。


「本当か?部長がマンゴーを

食いたかっただけじゃないのか!」


七草の言葉に部長は戸惑った。


「えっ!ちっ、違いますよ!

そんな浅ましい事考えていません。」


部長は、心の内を読まれ焦った。


「何、動揺してるんだよ!」


「だって、七草さんが

言いがかりをおっしゃるから...」


「それくらいにしとけ

まだ入れる物があるんだろ!」


ヨッシーの指摘で部長は料理を再開した。


「そうでした。

玉ねぎ、じゃがいもニンジンは炒めた後

更に煮込んでます。

後は、納豆とカスピ海ヨーグルトと

カッパえびせんとファミチキとスルメと干し芋。

…ですね。」


「何か、脈絡がないな。

私はカッパえびせんより

ポテトチップスの方がいいな。

それと私は納豆を入れた時点でもう食えんぞ!

納豆は、味も匂いも苦手だ。」


「ナクサの好みはいらん!

今回は、短亀ちゃんの為のカレーだ。

七草が食えなくても問題ない。」


「イヤだー!食いたいよー!

マンゴー入りカレー!」


「食いたかったら、鼻詰まんで食っとれ!」 


「しかし、全部入れて大丈夫か?」


七海の心配にヨッシーが、答えた。


「どれを引けばいいのかなんて

わからないんだし全部入れるしかないだろ!


「そっか!そりゃ、そーだな!」


「じゃあ、行きますよ!」


全部の材料が鍋に入れられた。

弱火でさらにグツグツ煮込んでいく。


「はい!後は、煮込み終わるまで待つだけです。

お皿とスプーンを用意しましょう。」


「ハイ!」


短亀ちゃんが部長の隣でお皿を受け取った。


「私の為に

こんなにして頂いて申し訳ありません。」


「謝らなくていいわよ。

こちらがお節介をやいてるだけなんですし

こうやっていろいろ理由を付けて

イベントにしたいんです。

今年から色々なコンクールや大会に

参加したいと思ってるんですけど

まだ未定なものですから…

こうした事でもなければ、校外で会う機会なんて

ないですものね。」


「それなら良かったですけど…

本当にありがとうございます。」


「おっ!いい感じだぞ!カレーの香りしかしない。

納豆の匂いは、消えてる!」


「オイ!ナクサ!香りだけにしとけよ。

すぐつまみ食いするんだから。」


「つまみ食い程うまいものは、ないぞ!」


「それは、自宅でやっとれ!

ここでは。ひかえろよ!」


「もう、待てないようですね。

さあ!どうでしょうかね?

もう煮えたかな?」


部長が鍋の蓋を開けて杓子で

下から丁寧に混ぜている。

その背中をじっと見つめていた短亀ちゃんが

急に後ろから抱きついた。


「ママ…ママ...。」


みんなその様子に驚いた。


「短亀ちゃん!その人は、ママじゃないぞ。

部長だぞ!残念ながら....」


「七草さん!残念は、余計です。」


部長が振り向いて何も言わず

短亀ちゃんを抱き締めて上げた。

短亀ちゃんのつぶらな瞳からポロリと涙が落ちた。

その後は、堰を切ったように涙が溢れ出した。

短亀ちゃんは、部長にしがみつき

声を上げて泣きだした。


「エーン!エーンー!ママー!ママー!

ごめんなさい!

ママの作ってくれたカレー

食べれなくなってごめんなさい!エーン!」


「これか!」


「そのようだな」




続く

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