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短亀摩姫ちゃんの神髄  作者: 桂虫夜穴


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26 神がかりな箸さばき


一週間後の放課後の部室。


「あれから一週間か!

ヨッシー!七草は、何をやってるんだ?

部室に顔も出さないで。

次の日は、ケロッとして

落ち込んでる風でもなかったけどなぁ。」


七草が心配してヨッシーに聞いた。


「そうなんだよ!聞いても、

「秘密!楽しみにしてろよ!」って

何だか、意味深な事言ってたよ。」


「また、何か企んでるんですかね!」


「そうかもしれん!

また、とんでもない事を

しでかしてくれなければいいんだけどな。」


部長も七海も心配気だ。





ガラッ!突然扉が開いた。

七草が満面の笑みで立っている。


「やあ!諸君!待たせたな!」


「別に待ってないけど…

毎日どこに行ってたんだ。

部室に全然顔を出さないで..。」


七海の言葉に七草が答えた。


「まあ、百聞は、一見にしかずだ。

短亀ちゃん!そこの割り箸とってくれ!」


「はい!一膳でいいですか?」


七草は、したり顔で割り箸を割ると両手に構え

いきなりテーブルを小刻みに叩き出した。


カチカチカチカチカチカチカカカカ♪


小気味良いリズムが部室に響いた。


ドン ♪ タカタカタカ ♪ ダン ♪ タタタタタタ♪


そこから足でバスドラの様にリズムを刻みながら割り箸を超スピードで打ち鳴らして行く。


ドンタタドンタン♪ドンタタドンタン♪

タカタカタカタカ♪タカタカタカタカ♪


その姿は、まるで一流のドラマーの様だ。

みんな、その音とリズムと華麗な動きに

すっかり魅せられ手拍子を始めた。


「凄いな!いつのまにこんな事になったんだ?」


「神懸かってるよ!」


七海とヨッシーから感嘆の言葉が漏れた。



七草の動きが頂点を迎えていた。

髪を振り見出し一心不乱に箸を打ち鳴らしている。


ダーン!


最後は、テーブルを両手でぶっ叩き演奏を終えた。

まさに演奏と呼べるものだった。

割り箸で

テーブルを叩いていただけのはずなのに!


「ワオーッ!ブラボー!ブラボー!」


「最高です!凄いです!」


「感動しましたーっ!」


七草は、肩でハァハァ息をしている。

完全燃焼した様だ。

その姿を見てヨッシーが涙ぐんで声を掛けた。


「七草!アンタって奴は!

また、やらかしてくれたね!

とんでもない事を!」


七海も感動したが少し心配もあった。


「すっ、凄かったけど...

割り箸芸って事ないよな。

ずっと、それを練習してたのか?」


「ああ、こうして割り箸でやってたよ!」


「あちゃあ!そうなのか。

割り箸だけじゃなぁ!

本物のドラムは、叩けるかなぁ?」


ガラッ!扉があくと、今度は部長だ。


「おっ!部長!用事は、何だったんだ。」:


七海が部長に聞いた。


「それが軽音楽部の方で

七草さんを部員として欲しいと言う

申し出があったんですよ。

でも、私達にとって七草さんは大事な部員ですから

もちろん丁重にお断りしました。

それでも熱心にお願いされたものですから

時間の都合が合って七草さんの許可を得れば

我が部の方は、七草さんを

お貸ししても良いとお応えしておきました。 

勝手に決めて申し訳ありません。

でもこれは、あくまでも

七草さんの意志しだいですので悪しからず!」


「七草を入部させたいって

また急に、どう言う事だ?

謎だらけだ!」


ヨッシーが不思議がった。


「それが七草さん。

一週間、毎日軽音楽部に通ってそうなんです。

見学したいと言って来たので

許可したそうなんですけど。

初日は、ずっと眺めてただけらしいんですけど…

二日目から割り箸を持って

ドラムの真似を始めたそうなんです。

初めは、ぎこちなくて

みんな、笑ったりしてたそうなんですけど

七草さんは、そんな事お構いなしで

お箸を振り続けたそうです。」


「来たな!あれだ。

万年道場の一件と同じだ。」


「ええ!そうなんですよ。

三日目から足のリズムを刻み始めて

そのうちドラムの方と

完全にシンクロし出したそうなんです。

四日目になると髪を振り乱して

熱演が始まったそうです。

みんな七草さんの方に見惚れてしまって

練習にならないので部長さんが

試しにドラムを叩いてみないかと薦めたそうです。

そしたら、始めは

やっぱりぎこちなかったそうです。

生まれて初めてドラムに向かったのですから

さすがに緊張してしまったようです。

まあ、これは、いつもの七草さんですけど。

でも、すぐに慣れて凄い演奏が、始まったそうです。みんな、それを見てビックリしたそうです。

これが、たった今まで割り箸で練習していた者の

スティックさばきかと、驚いたそうです。

十何年も、ドラムを叩いていたプロの様な演奏に

言葉を失くして聞き入ったそうです。

最後は、皆さん

自身の楽器の演奏が止まってしまって

七草さんのドラマソロを堪能したそうです。

その後、五日目、六日目と

ドラムを一心不乱に叩き続け

七日目の今日、部長さんと部員の方々に

深々と頭を下げ、お礼を言って立ち去ったそうです。

それで軽音楽部の部員の方達から

七草さんを入部させて欲しいと言う

熱烈な要望が出たそうなんです。

それで部長さんが私の方に

その話を伝えに来て下さったのです。」


「スゲーな!」

「カッコイイです!」

「やってくれたな!」


みんな感心して七草に声をかけた。

当の七草は、したり顔で

ヨッシーの肩に手を掛け言った。


「さあ、どうするんだ!

ボーカルのヨッシーさん?」


「えっ!ええ⁉︎ 私がボーカルゥ?」


ヨッシーは、戸惑って見せたが

内心やる気満々の様だ。


「だってアンタ!楽器出来ないだろ!

アンタの楽器は、その美声を放つ喉のみだ!

アンタしかいないよ!

ナクサバンドのボーカルは!」


「えっ!もうバンドの名前決まってるのか!

何の話し合いもしてないぞ!

しかも七草のヨッシー限定のあだ名が

バンド名なのか!」


「七海!まぁまぁ、いいじゃないか!

ナクサが言い出した事だ。」


ヨッシーは、ボーカルに指名されて

上機嫌でそれを承諾した。

部長は、ニコニコ、ワクワクだ。


「まぁ…と言う事は

今年も学園祭に出演すると言う事ですね!」


「文化祭な!」


「ええ。その文化祭みたいな学園祭。」


「いや!学園祭みたいな文化祭だ!」 


「もう、どっちでもえーわっ!」


「七海君、チョン君、短亀ちゃん。

学園祭の参加OKですか?」


部長が満面の笑みで、みんなに声を掛けた。


「はい!やりましょう。

面白そうですす。」


「やりたいですぅ!」


「よーし!やったるかぁ!」


「満場一致で出演決定です。

後は、曲ですよね。

何か自作の曲を作った事ある人は、いますか?」


「はい」

「ハイ!」

「はい」


チョン君、短亀ちゃん、七海が手を上げた。


「えっ!七海!アンタ曲なんかつくるのか?

どんな顔して作ってるんだ?

千晴、愛してる!とか歌ってるのか?」


「七草さん!!」


部長の方が七草を睨みつけた。


「すっ、すいませーん!」


「ギターとか楽器をやってたら

何となく曲を作りたくなるものですよ。

自然な事です。」


部長の言葉に七草の瞳が輝いた。


「そうか!そんなものか!

じゃあ、私も参加する。

作詞作曲バトルだ。

みんなで自作曲を持ち寄って

投票で演奏曲を決めよう!」


「なっ何か、本格的になってきたな!

うちの部って園芸部だったよな!

なんか、ますます演藝団寄りになってないか?」


「七海君!

この際、かたい事は言いっこなしですよ。」


「おう!そうだな!」



続く

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