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短亀摩姫ちゃんの神髄  作者: 桂虫夜穴


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20 ナナオ師匠と変なオジさん


放課後の部室。


ヨッシーが柔らかい身体で屈伸をしていると

短亀ちゃんが話しかけた。


「ヨッシー先輩って本当にスタイル良いですよね。 惚れ惚れしてしまいますよ。羨ましいです!」


「そっ、そんな事ないよ。短亀ちゃん!

照れるじゃん!」


「嘘、こけっ!自分でもそう思ってるくせに!」


七草が、二人の会話に水を差した。


「何⁉︎ アタシが自分のスタイルに

自惚れてるとでも言いたいのか!」


「そうだろうよ!私は、忘れないよ!

あの日の事を…..

アンタ中学の時…クラスの女子から

「菜々緒みたい!」

…って、言われた事があっただろ…

そしたら次の日から

急にモデル歩きをし始めたじゃないか!

私は、ビックリしたよ。

ああ、これは昨日、一晩必死で練習した

成果なんだなって...

鏡の前でウロチョロ、行ったり来たりしている

アンタの姿が眼に浮かんで

本当に恥ずかしくなったよ!」


「あーっ!うるさい!うるさい!聞きたくなーい!」


「ヨッシーって

意外とお伊達に乗るタイプなんだな。」


「アーッ!うるさい!だから七海!黙ってろ!

……って、イイじゃないか!

カッコイイ人に憧れて真似したって!

それをきっかけに自分を磨いたんだ。

私なりに!」


パチパチ!部長が真面目顔で拍手した。


「素敵ですよ!ヨッシーさん。

ヨッシーさんの美は、永遠です!」


「何かCMみたいだな!」


そう応えた七草にヨッシーが聞いた。


「でも、七草だって菜々緒さんのファンだろ?」


「私の場合は、アンタとは、方向性が違う。

私にとって菜々緒様は、お笑いの師匠なんだ!」


「えっ⁉︎ 何で?菜々緒と言えば

モデルからの女優だろ!

お笑いとは、掛け離れてるだろ?」


「これだから素人は、困るんだよ!」


「アンタは、いつからプロになった?」


「これから、なるんだよ!」


「アンタ、ー度もそんな事言った事ないよ!」


「それは、そうだろ今、決めたんだ」


「また気まぐれが始まった!」


「気まぐれって

アンタも、しっかりしてもらわんと困るよ!」


「オイオイ!私は、知らんぞ!

そこは、関わらんぞ!」


「何言ってんだい!

アンタがツッコミをしなくて誰がやるんだい。

私が何の為にボケるんだよ!」


「知るか!そんな事!勝手にやっとれ!」


「ヨッシー先輩!いいじゃないですか?

私、応援しますよ!」


短亀ちゃんの言葉をヨッシーが瞬速で否定した。


「応援なら誰でもできるんだよ!

お笑いなんか難しくて、できるかっ!」


「いつも通り、やればイイじゃないですか!」


「こんな日常会話が通用する程甘くねーだろ!」


すると七草が提案した。


「いーじゃないか!アレやってくれ!

菜々緒ポーズからの変なおじさん!」


「ハッ⁉︎ 何で今ソレやらなきゃいかん?

しかも一回も、やった事ないですけど!」


「だから初出しだ!これは、レアだぞ。」


「何でカメラセットした?絶対やらんぞ!」


「いいじゃないか!

私は、懐かし映像で

あの菜々緒様の勇姿を拝ませて頂いてから

もう菜々緒様にゾッコンになってしまったんだ。

あの美貌でアソコまでやるとは

只者じゃないと衝撃を受けたよ。

アレだよ。アレこそ、究極のお笑いの極意だよ。

意外性の中に笑いの美学は、存在するんだ。

私はあの瞬間、その事を実感したよ」


「そうですよ!菜々緒さん!

じゃなかったヨッシーさん!

絶対、素敵だと思いますよ。

これは、ヨッシーさんしか出来ない事ですよ。

いや!菜々緒さんとヨッシーさんしか

出来ない事ですよ!」


短亀ちゃんが、けしかけた。


「そっ、そっかなぁ!

いやっ!またまた、そうやってノセるんだから!

ダメダメ!」


ヨッシーは気持ちが揺れたが

やはり両手を振って拒否した。


「そんな事無いと思いますよ。

私も見てみたいです。

菜々緒さん…じゃ無かった。

ヨッシーさんの変なおじさん。

きっと素晴らしいと思いますよ!」


部長も調子に乗っておだてた。


「ほらぁ!みんな期待してるぞ!」


七草の言葉にヨッシーは

とうとう乗っかってしまった。


「そっ、そっかぁ!しょうがねーなぁ!

じゃあ、ちょっとだけだぞ!

えーと、始めは、どうやるんだ。」



「まずは、菜々緒様ポーズからだ。

脚をピーンと伸ばして

ハイ!何か拾ってる感じ」


七草の指示どおりにヨッシーは長くて綺麗な脚を惜しげもなく披露した。


「こっ、こんな感じか?」


「おっ!いいね。最高!

よし!そこから変なオジさん行こうか!」


七草が動画撮影をしながらまくし立てた。


「変なおじさん♪だから、変なおじさん♪」


「何か、ぎこちないなぁ。

短亀ちゃん!一緒に頼むよ!」


「はい!承知しましたー!」


こっちは、ノリノリだ。

小気味よく手首を回転させてお尻を振っている。


「変なおーじさん♪だかぁら♪変なおーじさん♪」


短亀ちゃんの楽しそうなノリに

ヨッシーもアゲアゲになり

段々乗ってきて、二人でバトルが始まった。


「変なおーじさん♪だかーら♪変なおーじさん♪」


二人の呼吸が合ってきた。

同時に腕を振って、回し、腰を振って回転した。

ドンドン盛り上がって行く。

みんなも手拍子をした。

スピードアップして

最高潮に達し、クライマックスが近づいた。


「OK!ヨッシー!そこで決め台詞だ!」


「ダッフンダー!」


ヨッシーは、目を寄せて、馬鹿面(ばかづら)をした。

…が、短亀ちゃんは、一瞬先に脇に引っ込んでいた。


「え⁉︎ どうした?」


キョトンとしているヨッシーに七草が声を掛けた。


「ヨッシー!最高だったよ!

まさか、本当にやってくれるとは思わなかったよ!」


短亀ちゃんも嬉しそうだ。


「本当に、ありがとうございました。

コラボ出来て嬉しかったです。

でも、言ってみるもんですね。

心からお願いしたら

どんな恥ずかしい事でも、やってくれるんですね!」


部長も感動した様だ。


「ヨッシーさん本当にありがとうございました。

堪能させて頂きました。

私もダメ元でお願いしましたけど

素晴らしかったです。」


最後に七海が余計な一言を言った。


「やっぱりヨッシー!

おだてに乗るタイプだったんだな!

でも、凄く良かったよ」


「えっ⁉︎ そんな..

おだてって…

別に、やんなくても良かったのか?

ワーッ!」


ヨッシーは、恥ずかしさのあまり

テーブルに伏して泣いた。

彼女は、恥をかく事が、大嫌いなのだ。

そこへ、七草が声を掛けた。


「いや!やって正解だったよ。

だって、やりたかったんだろ!

いつか披露したかったんだろ!

途中からのノリは、半端なかったよ。

あの腰のフリと手首の回転は

ぶっつけ本番で

そう簡単に出来るもんじやないよ。 

アン夕、相当練習してたんだろ!

その成果をみんなに披露出来て

良かったじゃないか! 

血の滲むような努力が報われたじゃないか!」


「えっ⁉︎ そうなのか!良かったか!」


「ああ。ダンスで鍛えてただけあるよ。

あのヒップダンス、カラも、真っ青だよ!

よし!もう一度やろう!極めるぞ!」


「ヨッシャーッ!やったるぞーっ!それっ!

変なおーじさん♪だかーら♪変なおーじさん♪」


「よーし!そこで回って、回ってー!ハイ!

変なおーじさん♪お尻、お尻!もっと振ってぇ!」


「おっ、おい!大丈夫か?

何か、猿回しみたいになってないか?」


「あっ、正月に神社で見た事ありますよ。

あんな感じでした。」


しかも。さっきよりもキレが

半端無く鋭くなっていた。

高速ターンをするとヨッシーの汗が弾けた。


「これヤバイぞ!部長!やめさよう!」


「こんな時だけ部長って、ズルいですよ。

七海君が、やめさせて下さいよ。

私、何だか怖くなってきました。」


「俺も何だか、気味が悪くなってきたよ。

ホラッ!七草もおかしくなってるぞ!」


七草も一緒に、踊りだしていた。

二人並んで一心不乱に「変なおじさん♪ 」

…と何度も叫びながら狂乱の舞を踊り続けている。


「駄目だ!このままじゃ職員室まで聞こえるぞ!

何とか辞めさせよう。

でも、俺で大丈夫か?

また、吹っ飛ばされかねんぞ!」


七海が躊躇していると短亀ちゃんがサッと前に出た。そうして二人の背後にスッとはいると

首根っこを掴んだ。


「どう!どう!はいっ!ハウスッ!ハウスッ!」


そう叫ぶと二人の動きがピタッと止まった。

短亀ちゃんは

そのまま二人をゆっくり椅子に座らせた。


「はい!落ち着いて....

そう、大丈夫!大丈夫…

はい!もう大丈夫です。

何とか落ち着きました」


「何だったんだ。

狐でも憑いてたみたいだったぞ!」


「きっと亡くなった志村けんさんの事を思って

霊が憑依した様な錯覚か

自己暗示にかかったのかもしれませんね。

二人だけでしたけどコックリさんのような

集団ヒステリックが起きたのかも知れません。

それにしても二人の内なるパワーは

計り知れないものが、ありましたね。」


「短亀ちゃんも、それは、感じたのか?」


「多少は、武道を、たしなんでいる者としては

感覚を鋭く刺激されました。

危険なレベルまで達していたので

さすがに止めずには、いられませんでした。」


「ありがとう。短亀ちゃん!助かりました。

それにしても、お二人、大丈夫かしら?

魂が抜けた様になってるけど…」


「少し、このまま、休ませてたら

正気に戻るだろう。

あんな猛スピードで踊りまくったんだ。

おかしくもなるよ」


「そーですね!」



続く

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