17 えっ⁉︎ チョコピン?
「短亀ちゃん!
ところで、チョン君は、どうした?」
七草の問いに短亀ちゃんが答えた。
「今日は、何か用事が、あるそうで…
先輩達に、よろしくとの事です。」
その言葉に七海が気遣った。
「そうか…
彼も今は漫画を描いてないとは言っても
今だに本は売れ続け
アニメの配信数も上がり続けている。
出版社とのやりとりは
依然続いているそうだからな。
色々忙しいだろうよ。」
「いえ!最近、ワンちゃんを
散歩に連れて行ってなかったみたいで
それで今日は
ワンちゃん孝行するからって言ってました。」
短亀ちゃんの以外な応えに
七海は、ガクッとなってしまった。
「あらら、そうなのか?
割と自由人だな。
でも、そのスタンスが
売れっ子漫画家にありがちな
過度のストレスから
解放してくれてるのかもしれないな。」
七海は、ニコニコしながらそう言った。
「最近は、昭和の漫画家と違って顔出しNG
の作家さんが多いんだろ?」
七草の質問に七海が答えた。
「殆どだよ。
昔は作品と漫画家の顔が一致してたらしい。
漫画家は、尊敬の対象でしかなかったんだ。
それが携帯電話が復旧し始めてから
おかしくなり始めたんだ。
読者が気軽にコメント出来るようになっただろ。
今までは出版社が、選んで載せていた批評が
垂れ流しになる様になった。
おかげで高評価もあったが
逆に精神が苛まれるような
酷いコメントもあったんだ。
それによって漫画の連載を
休止せざるおえなくなった漫画家も多数
存在するんだ。
それで今は、殆どの作家が顔出しNG。
個人情報NG。と、なっている。
チョン君も、そこは、同じだ。
彼の場合は、中学生でもあったしな…
それだけでも騒がれる対象になる。
学校など、通えなくなっただろうよ。
こうして、のんびり犬の散歩でも出来るのは
個人情報を明かさなかったからだな。」
ガラッ!突然、扉が、開いた。
「ワッ!誰だ!」
長身の、少年が、笑顔で立っている。
「何だ!チョン君か!
ビックリさせるなよ。
今日は、こんなんばっかりだ。
もう帰ったはずじゃなかったか?」
ヨッシーが、尋ねた。
「ええ。そうなんですけど…
うちのチョコピンを散歩させてたら
ここまで来てしまって...」
そう言うと、小型犬のパグが
ジャケットの間から顔を覗かせた。
「ワーッ!カワイイ!」
「ちょっと抱かせてくれ!」
ヨッシーがチョコピンを抱いて頬ずりした。
「チョコピンってなんだ。
大谷さんの「デコピンの」パクリか?」
七草の質問にチョン君が答えた。
「ええ。少し真似してみました。
以前は、太郎って名前だったんですけど…
大谷選手の活躍を見て、あやかろうかなと思って..」
「勝手に、名前を変えるなよ!
ワンちゃんも、イイ迷惑だぞ!」
七草ツッコミ!にチョン君が応えた。
「そうでしょうね。
改名して、しばらくは
名前を呼んでも、応えてくれませんでした。」
「そらそうだろうよ。気の毒にな」
「でも、根気よく呼び続けたら
段々、応えてくれる様になりました!」
「根負けしたんだな。その執念に…
やっぱり自由人だな。チョン君は….」
「そうですか?」
「そだよ!」
チョコピンが短亀ちゃんと仲良く遊んでいる。
すっかり意気投合したようだ。
学校でペットと、じゃれるのも、おかしな話だが
園芸部ならでは、と言えるかもしれない。
チョン君は、部長のスペシャルコーヒーを
ご馳走になって至福の時を過ごしている。
この為に入部したと言っても過言ではないのだ。
その気分を七草が切り裂いた。
「チョン君!そう言えば
印税とか原稿料とかどうなってるんだ?」
「いきなり、そこですか?」
「ナクサ!だから
そう言うのやめとけって言ってんだろ!
恥ずいからやめてくれ!」
「そうか!興味ないのか?」
「いや、まあ、それは…
無い事は、無いけど…」
「あるって事だな!
チョン君そう言う事だ。
話せる範囲で教えてくれ!」
「殆ど話せませんけどね。金額とか、諸々…
ただ、これからの研究課題に対する費用を
自費でも、かなり賄える金額では、あります。
コミックの売上は、もちろん。アニメの原作費。
フィギュアなど、多数のグッズの著作権量。
出版社との権利関係の分配率もありますけど…
それを差し引いてもかなりの額が
自分のところに入ってきています。
それは、今後もしばらく続きそうです。」
「ああ!
私は、つくづく良い後輩を持ったと思ってるよ。
チョン君!」
「ナクサッ!何、チョン君から
恩恵を預かろうとしてるんだい。
相変わらず、厚かましいにも程が、あるよ!」
「ああ、それでしたら
レアグッズなんか手に入る範囲でしたら
ヨッシーさんなら、差し上げますよ。」
「えっ!マジッ⁉︎
… で、でも、そんなの、悪いよ!
ファンとして、失格でしょ。
他の読者に申し訳ないよ!」
「それなら、私にくれっ!
ヨッシーだけ、ずるいぞ!」
「アンタは、すぐ横流しするつもりだろ!
それがわかってるから
チョン君もアンタには渡したくないんだよ。」
「はい!七草先輩には
危倶するところが多いです。
自分の個人情報も…
ここ以外に
絶対に流さないように、お願いしますよ。
くれぐれもよろしくお願いします。」
「わかったよ。
私達もしっかり監視してるからな!」
「何だ!私は、凶悪犯か!
それに、そんなお喋りじゃないぞ!」
「部長と七海の関係も
短亀ちゃんに、すっぱ抜いただろうが!」
「あれは、リップサービスだ。
せっかく入部してくれたんだからな。
それに部内だけの話だ。別にいいだろ!
知ってもらってた方が
二人もイチャイチャしやすいだろ!」
「そんな事、もう、しません!
ちゃんと、わきまえています!」
「ホラ!ナクサ!部長が、ご立腹だ。
本人の承諾なしで、エッジの効いた話は
するなっていってんだよ!」
「何だ!そのエッジが、効いた詰って?」
「角が立つ話しは、辞めろっていってるんだ!」
「ヨッシー!酒落た言い方だな!」
「そーだろぉ!」
続く




