14 天才か変態か!
「ほっ、本当なんだな。
すっ、凄すぎて、実感が、湧かんよ。マジで..
それにしても、若過ぎんか?
いつから書き始めたんだ!」
ヨッシーが興奮して矢継ぎ早に質問をした。
「中ーからですね。
パソコンを開けば漫画制作の
色々なツールがあるので
それらをフルに活用して制作しました。」
「アレを一人で描いていたのか?」
「そうですね。
ほぼほぼ…一人で描きあげていました。」
「そんな事が、実際、可能なのか?
描くだけじゃない。
編集とのやりとりとかも、あるだろう?」
「さすがに、お金の話とか
スケジュールの調整とか
学業に関わる問題など、難しいところは
両親に積極的に介入してもらいました。
でも、初めは、反対されていたんですよ。
学校との両立は、絶対無理だろうと…
逆にその両親を説得してくれたのが
編集の方だったんです。
いろんな人の助けがあって
なんとか最後まで連載を続ける事が出来ました。」
「しかし、連載からアニメまで
展開が早かったよな!」
「はい。連鎖中にアニメの制作は
決定していたのですけど…
実は、小学生の時までにラストまでのプロットは
ほぼ出来上がっていたんです。
ネームも出来上がっていました。
当時は、ノートに描いていたんですけど…
そのプロローグ的なものを
雑誌の賞に投稿したら入選して…
その後、本編を連載する事になったんです。
そんな訳でアニメに関しては
そのネームを頼りに制作が開始されたんです。
そして、僕も…
そのネームの通りに連載漫画を描いた。
つまり、そのネームを中心に
漫画とアニメの制作が同時に行われた訳です。」
「何か、やっぱり、すげーな。
こんな信じ難い事が
ご近所で、行われていたんだぞ!」
「それで、短亀ちゃんとの関係性だよ。
校区は、違ってたんだろ。
いつ知り合ったんだ?」
今度は七草が知りたい質問をした。
「俺は、隣町に住んでるんですけど…
両親と、よく「短亀うどん」に
食事に行ってたんですよ。
そのうち、たまに自転車で一人で行く様になって…
でも、変なヤツと思われてたかも知れないですね。
小学生でしたしね。
「お父さんかお母さんは、一緒じゃないの?」とか
初めは、聞かれてましたから…
短亀は、その頃は、もうバリバリお手伝いをしてて
切り盛りしてると言っても
差し支えないかも知れないくらいの
働きっぷりでした。
その内、話掛けてくれる様になって
漫画を描いてる事を話したら
原稿が見たいと言う話しになって…
それから、何故か…
「私も漫画に出して下さい!」と、言われて
何となく面白いかなと思って
登場人物の一人として描いたんです。」
「それって、相当ヤバくないかい!
本名を漫画に出すのって!
名前なんて個人情報の一番先頭にくるもんだろ!」
七草の興奮した言葉に短亀ちゃんが答えた。
「私もまさか、こんなに漫面がヒットするなんて
思わなかったですもん。
初めは、チョン君を励ますつもりで
「応援するから私も登場人物に入れてください。」
って、話しの流れで言ったんだす。
そしたら、本当に連載にのってしまって
私の名前が一人歩きし出して
事あるごとに
その事を聞かれる様になったんですけど…
とにかく偶然だと、言い続けてきました。」
「大変だったな。短亀ちゃんも…」
「それで、今ここでのんびりしていていいのか?
忙しいんだろ?」
「いえ!今は、もう漫画は、描いて無いんです。
大学受験が視野に入ってきましたから
それに正直、燃え尽き症候群と言うか
もう描けなくなってるんです。
あの作品で扱ったテーマが大き過ぎて
それを超える内容が浮かばないんですよ。
中途半端な作品は、世に出したくないですからね。
それに、時間移動の研究の方に
これからは、没頭したいんです」
「たまげたね。居ましたよ。こんな身近に…..
何て言うんだい?こう言う人を?」
「天才!」
「天才!」
「変態!」
「誰だ!一人変態って言ったぞ!」
ヨッシーが、名乗りを上げた。
「私だよ!もう、天才、超えてるよ。
こんなの変態レベルだよ。凄すぎだって…
もう先生って呼ばせてもらうよ!
チョン先生だよ!」
「ヨッシー!好きにしていいけど
チョン君は、短亀ちゃんが予約済みだからな
変な気は、起こすなよ!」
「わかってるよ。恐れ多いよ。
私にとっては、神みたいな存在だ!」
「ヨッシーさん。そんなの嫌ですよ。
普通に後輩として扱ってくださいよ。
もう、コイツでイイですから...」
「いや!先生は、先生だ。
それは、揺るぎない事実だ。
そうだ!取り敢えずサインくれ!
いや!ください!お願いします!」
「サイン何か書いた事ないですよ。
一度もメディアにも、出てないですからね。
サインも世に存在しません。
それで一度、偽のサインが出回った事があって
高値で取り引きされた事があったんです。
出版社の方で注意喚起は、したんですけどね」
「それ、逆に凄いじゃないか!私にも書いてくれ!」
急に、のっかってきた七草をヨッシーが咎めた。
「アンタどこまで意地汚いんだい!
それこそ、ネットで高く売ろうとしてるんだろ。
そんなの本入って証明が、出来ない限り
また、偽物だろうってなるのがオチだよ!」
「アンタが先に欲しがったんじゃないか!」
「私は、純粋に個人的趣味で欲しかっただけだ。
でも迷惑だったら諦めるよ…」
「めっ、迷惑なんかじゃないですよ。
俺なんかのサインでいいのかな?
って思っただけですよ。
でも、ただ名前を書くだけですよ。
カッコイイサインみたいなのは、ないですから…」
「イイよ。それで…ハイ!」
ヨッシーは、イラスト帳を開いて差し出した。チョン君は、普通に自分の名前を書いた。
「くっ...あっ、ありがとう…ございます…」
ヨッシーは、サインを見つめて下を向いている。
そこに、嬉し涙が、ポタリと落ちて
書いたばかりの字が、滲んだ。
「あっ!ヤベッ!滲んだ!申し訳ない!
もう一回書いて!」
「ハイハイ!こんなので、良かったら
いくらでも書きますよ。
そうだ!ちょとサインっぽく
崩して書いてみましょうか?」
チョン君は、サラサラ、クルクルペンを走らせた。
「何だこれ?訳わからんな?」
「やりすぎましたね!」
「ハハハハッ!最高だよ!」
「ハハハハッ!そーだな!」
続く




