11 短亀ちゃんの本意
「あら!今日は、チョン君は?」
部長が、気になって短亀ちゃんに尋ねた。
「今日は、出禁にしました!」
「えっ⁉︎ それは、また、どうして?」
「余りにも園芸部の先輩達に
甘え過ぎではないかと、一言申し上げました。
先輩達の寛大さに、どっぷりと甘えて
毎回コーヒーをねだるのは
どのようなものかと、そう意見したんです。
その上で早急に入部の可否を迫りました。」
憤慨している短亀ちゃんを七海が心配した。
「短亀ちゃん!
それは、確かに早急過ぎたのじゃないかい!
元々入部する意志のないものに
入部を迫っても、拒否されるのが落ちだ。」
「私は、別に入部して欲しい訳では、ありません。
ただ、チョン君に私の友達であるなら
先輩達に、それ相応の態度を示して欲しいんです。
今は、まるで、お客様みたいにしてるでしょ。
もっと、謙虚な気持ちでいて欲しいんです。
頂くだけじゃなくて
チョン君からも何かを差し出すとか…
一方通行なのが何か腹立たしくて!」
「えっ!短亀ちゃんって、そう言うキャラなの?」
意外だとヨッシーは、思った。
「はい?私はズルい事と礼儀知らずは大嫌いです。
このままだと、チョン君の事を
嫌いになりそうなんです。
だから、改めて欲しくて…
敢えて、キツイ言い方をしました。
あ~、でも、どーしよう!せんぱーい!
本当は、あんな事、言うつもりなかったのに~!
え〜ん!チョン君、もう絶対おこってます。
あー!きっと、もう口も、聞いてくれないですよ。
どうしよう?どうしよう!あ~っ!」
「ハハハハッ!
…で、短亀ちやんの本意は、どこにあるんだい?」
七草がいきなり確信を突いた質問をした。
「えっ⁉︎ 本意とは?」
「短亀ちゃんがチョン君をどう思っているか!
その本心だよ。
まぁ、取り敢えず…
放課後、チョン君と、どんな話をしたんだい?」
七草は、優しくうながした。
「すいません。
実は、夏樹先輩と部長さんが
付き合ってると言う事を話してしまいました。」
申し訳なさそうにした短亀ちゃんを部長は気遣った。
「それは、別に隠してる事ではないので
構わないですけど…
それから、どう話が、展開したのですか?」
「それが、あーっ、もう!聞いて下さい。
チョン君が、いきなり恋愛論をぶち上げたんです。
感心して聞いていたら…
実は、恋愛経験ゼロって言うじゃないですか!
それで呆れてしまって…
でも、それだけなら聞き流せたんですけど
友達関係も恋愛と同じだとか言いだして…
育んで、いくものだって、そう言うんです。
私は、チョン君に言ったんです。
「私のチョン君に対する友達感情は
一目惚惚れで、片思いだ」と…
彼の恋愛論に当てはめたらそうなるんです。
でも、私が、そこまで言って
彼から返って来た言葉は「単なる友達」です。
本当の片思いなんですよ。
他に何か言い方が、なかったのでしょうか?
単なる友達なんて
友達の中でも最低ランクでしょう。
私は、親友だと思っていると伝えたのに...
それで何か、意地悪してやりたくなって
あんな事を口走ってしまったんです。
あんな嫌われるような事を言ってしまったんです。 どうしよう?あー!どうしよう?
取り返しのつかない事をしてしまった。」
「そうか。つまりは…短亀ちゃんは…
チョン君の事が好きなんだな。
大好きなんだな。LOVEなんだな!」
優しい笑顔で七草が、言った。
「えっ⁉︎ そっ、それは…
まだ、自分でも、よくわかっ...」
「わかってるよな!
チョン君の事考えたら
胸が、ドキドキして、切なくなるんだろ。
今は、こんな事になってしまって
胸が、張り裂けそうだ。
もう、死んでしまいたいくらいなんだろ?」
「はっ、はい!その通りです!」
「それが...恋だよ。
正真正銘アンタは、恋の病いにかかってるよ。
しかも、重症だ。
この病いの特効薬はチョン君しか持ってないよ。
さあ、早く行っといで
今から追いかけたらまだ間に合うだろ!」
七草は、はっぱをかけて短亀ちゃんの背中を押した。
すると短亀ちゃんの瞳がキラッと輝いた。
「はっ、はい!行ってきます!」
ガラッ!ヨッシーが、勢いよく扉を開けてあげた。
「あっ!...チョン...くん…」
そこには、ポケットに手を突っ込んで
歯に噛んでいる。
チョン君の姿が、あった。
「短亀。俺、園芸部…入るよ。
放課後も、オマエと、一緒にいたいんだ。」
「チョン君!」
短亀ちゃんがチョン君に飛び付いた。
「オイ!普通…校庭で、抱きつくかね。
短亀ちゃん。やっぱり、ただモンじゃねーぞ!」
「それにしても
アンタも恋愛未熟者の癖に、よくあんな…
ご立派な恋愛相談が、出来るもんだね!」
「それに関しちゃ、ヨッシー!
アンタの恋愛未経験よりは一歩前にいってるよ!」
「悔しいけど、そだな!」
続く




