酒の肴は恋愛話
僕は瑞浪響。25歳社会人。僕は毎週金曜日に、1人居酒屋で酒を飲むことが日課だ。大学生のくせに、何一丁前に居酒屋で酒飲んでんだ、と思われてもしょうがないと思うが、ハタチの頃にお酒を飲んだら、そこからどハマりしてしまったので、許して欲しい。
今日は金曜日!会社のクソうざい上司も、たくさんの仕事も、この日ならアルコールパワーで忘れられるんだ!ルンルンな気分でいつもの居酒屋に入り、いつも通り酒を飲んでいると、隣に同い年くらいの男がいた。僕が少し気にしていると、
「あの、すいません」
と隣の人に声をかけられた。気にしすぎたのがバレてしまったかと少しハラハラしていると、彼は続けてこう言った。
「響だよね?あの底羅辺中学校出身の」
なぜか向こうは僕の名前と出身中学校を知っている?なぜだ。知り合いか?僕は彼の顔をまじまじと目を凝らして見た。するとある人が思い浮かんだ。
「もしかして涼?」
「よかった覚えててくれた」
なんと中学の時の友達、羽島涼と再開したのである。高校は違う学校で、涼はスマホを持っていなかったため、連絡がつかなかった。だからとても会えたことが嬉しかった
「久しぶりだね!」
「そうだねぇ」
2人で再会の幸せを噛み締めていると、涼がある質問をしてきた。
「そういや、春さんとはどうなったの?」
春さんというのは僕の中学時代の彼女であり、今の妻である。
「ああ、春とは結婚したよ。もう子供もいる」
「え!冗談のつもりで言ったんだけど。お前ら小6の時から付き合ってんじゃねえの?」
「そうだよ。じゃあ僕も質問していい?なんか最近付き合う的なことあった?」
「惚気話のこと?」
「そうそれ」
「実はね。俺、蕨と付き合ったんだ」
「え!?あの蕨さんと!?」
僕は驚いた。涼と蕨さんは昔から仲が良く、一緒に登下校をしていたことが強く印象に残っている。
「僕、中学時代の時に、お前蕨さんのこと好きだろって詰めてたじゃん。そん時お前首を横に振ったやん」
「俺はお前が誰にも言いふらすことのない、義理堅いやつなのは知ってるけど、流石に隠したいじゃん?」
「いやそれにしてもすごくない?ちょっと聞かせてよ。いつ付き合ったとかさぁ〜」
「えぇ〜」
あんまし乗り気じゃないようだが、こういう話は酒が進むので、嫌だろうが関係ない!
「いや話して」
「えぇ。でも」
「まじで話して」
「わかったよ」
「あっ。お前ってこの店毎週来る?」
「うん行くよ」
「じゃあ毎週聞くことができるように、少しずつ話したいって」
「わかった」
「じゃあまずいつから付き合い始めたかだな。付き合ったのは1週間前」
「へっ!?一週間前!?」
びっくりしすぎて話を遮ってしまった。
「最後まで聞け。なぜ1週間前かというと、僕はある理由があって、違う場所に飛ばされることになった。その部署で見たことある人がいて、声をかけたらなんとそれが蕨だったんだよ」
「すげぇ!そんな出会いあるんだな!」
「だろ?俺は元々、蕨のことが好きだったんだけど、告白とかそういうのが苦手で、できなかったんだよ。ただ、同じ部署にいるのに何もしないのは、人生を一生悔やむことになるだろうなと思って、思い切って飲みに誘ったら、ついてきてくれたんだ。それを何度か繰り返して、結構仲良くなったくらいに、告白したらオッケーだったんだ」
「かっけぇ!よく声かけれたな」
「ああ、多分人生で1番緊張したよ。今日はこれでおしまい」
「えぇ〜。もっと聞きたかった」
「お前がちょっとずつ話せっていうからだろ」
「確かに。来週、期待しとくわ」
「妙に上から...。まあ、期待しとけ」
「あ、待って。連絡先交換しよ」
「おっす」
連絡先交換中
「涼、お前のアイコン蕨さんじゃねぇか」
「いいだろ別に」