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6ページ 加護と魔物とスマッシュ

「待たせたね!」ドドンッ!


「.......???」


僕の目の前には、四角い土台の上に何かの水晶玉のようなものが出てきた。


「えっと....カロメさん、これは?」


「ふっふっふっ....これは、聖女の力を正確に測る魔道具さ!」


「魔道具....」


確か、この世界には聖女の力以外に『魔力』っていう不思議な力があるって言っていたな!うんうん、やっぱファンタジーってこういうのがあるのがいいんだよな....


「君が本当に『天能』を授かっているか、この装置で確認できるのだよ!」フフーンッ


「な...なんだって!!」


ま、まずいぞ!これじゃあさっきのは嘘って完全にバレてしまう!どどどどうしよう....


(ふふふ....慌ててるな?僕を罠にかけようとしたって無駄だからな....さぁ見せてくれよ、君の化けの皮がはがれる瞬間を....!)


「ほらほら?早く手を翳してこの魔道具に力をこめてごらん?」


「はっ...はい!」スッ


ええい、もうどうにでもなれぇぇ!!


僕は、カロメさんの言う通り、手を翳し、聖女の力を使う.....


(ふっふっふっ.....君が『天能』が授かっているのなら、その魔道具は()()()()()はず....まぁあのパンドーラが『天能』を授かってるわけはないが....)


「っ!――わっわぁぁぁぁ!?」


「あっ?」


バッサ!バッサ!


なんだ!?急にオレンジ色に光ったと思ったら、急に翼が!?


「カッ.....」ピタッ


「パンドーラ嬢様!?」


「こ...これは一体.....カロメさん!これは!?」


「あ....ありえない、まさか本当に....本当に『天能』を授かっているというのか!?」


「これが『天能』なんですか!?」


めっちゃ羽ばたいてますけどぉぉ!?





「....間違いない、この魔道具の通り、君に『天能』が授かっている...」


「そ、そうなんですね!」


ちょっと気になるな....一体、どんな力なんだろう....


「ほらこれだ」スッ


「わわっ!」


カロメさんからあの魔道具の土台から出てきたカードを受け取る....名前や年齢、ステータスとかも載っているな.....あっ、あった左下の項目に!


「....『加護(エンチャント)』?」


「パンドーラ嬢様、その下の項目に効果が載っています」


「どれどれ....」



加護(エンチャント)

~自分や相手、武器などに力、速度、守り、魔力などのステータスをあげる。その上げる効果に限界はない~



「....これだけ?」


えっ、いまいちパっとしない説明何ですけど。


「まぁまぁ、『天能』は元を辿れば、聖女が持つ()()()()()()()()()()ですから.....きっと、一般的な加護よりも物凄い効力があるはずです!」


「そ...そうですかね?」


「......何でだよ」


「?....どうしましたか?」


「....別に」


「?」


な、なんか気分が下がっていらっしゃる....そ、そうだ!


「あ、あの、カロメさん!これ!」


「?」


僕は、取っていたカスタードパイの一切れの皿をカロメさんに見せる。


「えっと、さっき取り置きしていたパイ何ですが....カロメさん一口も食べてないと思って取っておいたんです。よかったら食べませんか?」


「――....ッ!」


パシィィンッ!


「!」


ベチャッ


あぁ!カスタードパイがっ!カロメさんが弾き飛ばして落ちちゃった!?


「....なんだよ、君は僕を馬鹿にしているのか!」


「えっ?」


「どうせ君は、『天能』を授かったことを良い事に、僕のことを笑いに来たんだろ!!」


「ち...ちが...」


「もういい!今日は帰ってくれ....」クルッ


訂正しようとしたけど、カロメさんが怒って帰って行ってしまった....な、なんでだ?


「うぅ...どうしよう、ドレットさん」


「....仕方ありません、そもそも以前のパンドーラ嬢様はあまり、カロメ嬢様のお茶会に積極的じゃありませんからね....それにカロメ嬢様自身は結構な()()()()()()()()()で有名ですし....」


「そうなんですね....」


だからドレットさん、行く前の時に悩んでいた間があったんですね....


「...こうなってしまってはカロメ嬢様の気持ちが落ち着いてからにしましょう」


「そうしましょう....私から言っても逆効果ですし――」


僕がそう言いながら馬車へ戻ろうとした時―――怪しげな魔法陣がアスカロン公爵邸を包む。


「えっ?な...なんだこれ?」


「これは....()()()()()()


「えっ?召喚....魔法?」



『グゥォォォォォォォォォッ!!』



うっうわぁぁっ!?地面から口がある余裕で100m以上ある巨大なミミズのようなバケモンが出てきた!?


「何ですかドレットさんあれ!?」


「まさか.....『ドラゴンワーム』!?なんてデカさなんだ!?」



バキッ! ドコッ! ドスンッ!



あぁ!?あのドラゴンワームっていう魔物が暴れて、カロメさんの庭や建物が壊れていく!


「....くくく、さぁやれ、ドラゴンワームよ....聖女二人を殺しつくすのだ!」




「や、やばい...逃げないと!」


「パンドーラ嬢様!こっちです!」


「は、はい!」


ドレットさんの避難誘導で、一刻も早く逃げ出さないと....


「あっ!?」


「えっ....」


声がした方に振り向くと....そこには帰ったはずのカロメさんがドラゴンワームによって破壊された瓦礫に足を挟まっている場面だった。


「....クソッ足が....」


「.......」


それを見た僕はふと、あることを思い出す―――それは、父さんがよく怪我をするときだった....





~~~~


『父さん、どうしたのその怪我?』


『ん?ああ、これは、ひったくり犯をたまたま見かけて逮捕した時についた怪我さ....いやー油断したよ、まさか犯人がナイフを隠し持っていたなんてな....まっギリギリでかすり傷になったがな』


『....怖くないの?』


『そりゃぁ....怖いさ、痛いのは誰だっていやさ』


『....じゃあなんで、飛び出すの?痛いのは嫌なんでしょ?』


『うーん....そうだなぁ、父さんは誰かが助けを求めたら、飛び出しちゃうんだよ―――まぁ要は、()()()()()()()()()()()()()()()


『.....』


『お前が大きくなったら、いずれわかるさ―――大切な物を守るときに直面した時に....な?』


そう言い父さんは僕の頭を撫でる.....



~~~~


「パンドーラ嬢様、早くこちらへ『ドンッ!』...えぇ!?」


僕は一目散に、ドラゴンワームの方へ向かっていった。


「っ!」ダダダダッ!


「!.....パンドーラ、何故こっちに?」


「何をする気だ?」


まだ『加護(エンチャント)』という力はどんなものか分からないけど.....ここで逃げたら、僕は絶対後悔する。

だって―――


グッ.....ピィィィィっ――


カロメさんの顔が....


ドォォォンッ!!



助けを求めていたからっ!!



「うおっ!?なんだこの風圧!?」ブォォォォッ!!


「うそっ....」


「なっ!?」


「.....っ!」


僕は一気に、足に力を入れると──ドラゴンワームの顔のところまで()()()()()

なんだ、足が凄く熱いものを感じる.....もしかして、これが『加護』の力!!―――なら!


ピィィィィ――ビリビリっ!!


「っ!なんだあの光!?しかもパンドーラ嬢様の袖がやぶれて....」


僕が好きな漫画で、パンチを打つ時、言っていた言葉!


『グゥォォォォォォォォォッ!!』



ケツの穴ギュッと引き締めて、心の中でこう叫べ!


「『スマッシュ!!!』」



バコォォォォォォォンッ!!



『グゥォォォォォォォォォッ!?』


ドスゥゥゥゥンッ!!


「「「  」」」


僕の渾身の一撃は、ドラゴンワームの顔面にぶち当たり、倒れる。


「フゥー...フゥー...」オォォォ....


「これがパンドーラ嬢様の『天能』....『加護(エンチャント)』の力.....想像以上に()()()すきる....」


「....すごい」


「ちっ....なんだあの力は!?パンドーラにあんな力があるなんてきいてないぞ!?」スゥゥゥっ....


黒いローブの人物は恨み言を呟きながらその場から消え去った.....


「よ...よし、ぶっつけ本番だったけど、なんとかなっ――痛ってぇ!....ファッ!?」


突然痛みが来たから右手を見てみると....右腕が、青肌になって、血が出ていた。


えぇぇぇぇっ!?う、腕が壊れたぁぁぁぁっ!?もしかして、さっきの力が強すぎたせいで!?どどどどどどうしよう!()()のこと全然考えてなかったぁぁぁ!?うわぁぁぁぁ!?


「助けてぇぇぇぇ!?」ヒュゥゥゥ.....


「パンドーラ嬢様!?」


ヤバい、もう地面だ!?も、もう一回左手で落下の勢いを消すか!?


「風の力よ....僕に貸してくれ.....はぁっ!」ブォォォォッ!!


「うおっ!?」フワワ....


な、なんだ?優しい風がしたから吹いて、落下の勢いがきえた...


「ハァ...ハァ....間一髪....」


か...カロメさん!もしかして、カロメさんの力で助かったんだ!


「か...カロメさん....ありがとうございます...それより、怪我は...?」


「馬鹿ッ!それはこっちのセリフだよ!こんなにボロボロになって!」


「パンドーラ嬢様....!もう満身創痍じゃないですかパンドーラ嬢様!?」


うごごご....めっちゃ痛い....腕だけじゃなくて()()も....


「っ...しょうがないなぁ!」パァァ


カロメさんが手を翳して、光始めると...『加護』によってぶっ壊れた腕と両足がみるみると治っていく。


「....ぷはぁ!?こ、これが限界....想像以上に怪我がひどい」


「す、凄い...痛みが引いてきた....あ、ありがとうございます、カロメさん」


ドレッドさんが言っていた通り、治療能力は凄い....


「まだ完全には治ってないよ。ひとまず、数日安静にしとけば怪我は完全には治るだろうね──それと....」


「?」


「その....さっきはごめん...君の善意を、はね除けてしまって...君なりに元気付けようとしたのに」


「大丈夫ですよ、カロメさん...私の方こそごめんなさい。貴方の気持ちを尊重することが出来なくて....」


「っ!.....」


あっカロメさんがうつむいてる...


「あのさぁ....」


「?」


「その...僕らは対等なんだし、別に呼び捨てでも構わないよ...というか寧ろ、以前の君は呼び捨てだっただろう?」


「はっはい!カロメさ──カロメ!」


あはは...いつもの癖でさん付けで呼んでたなぁ....


(君の体より、僕の怪我の心配するなんて...本当に変わったんだな....クソッ、悔しいけど──認めるよ)


....それにしても、召喚魔法って言ってましたが、一体誰が呼んだんだ?





数時間後...


「今日は楽しかったです、カロメ。またお茶会に呼んでもらってもいいですか?」


「ふっふん!まぁ、君がもっと聖女らしくしたら呼んでなくはないけど?」


「あはは....」


うん、本当に頑張ろう。噂が消えるまで....


「じゃあまた!」


「....元気でな」


こうして僕は馬車に乗り、自分の城へ帰ることになりました。


「いつつ...まだ『加護』の副作用が痛むな...」


「取り敢えず、数日は城で待機ですね」


うぅ...善行もそうだけど、この力もコントロールしなきゃなぁ...

『魔力』 聖女の力とは別のベクトルにあたる力である。それにより、火や水、風など幅広い力が使える。魔物や魔法使いなどによく宿っている。


天能 『加護(エンチャント)

自分や相手、武器などに力、速度、守り、魔力などのステータスをあげる

その効果は限界はない。

だがだからといってステータスを上げすぎると()が耐えられなくなり崩壊する危険性もある。

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