5ページ アスカロンと聖女と天能
『聖女』....それは、令嬢の少女が持っている神から与えられし力、その力には様々な種類がある。その力は主に相手をどうしたいか、どうなりたいかなどの『思いの力』である。
『天能』.....神が認めた聖女に一つ、更なる力を与えた物...『癒し』、『成長』、『加護』etc.....人によってその力が特化した物がある。
それで魔物から守ったり、人々に幸福にしたりなどしている。まさに神の使いと相応しいものである。
「....『思いの力』か」
この体に入って早1週間....僕は聖女についてよく分かる本を見ていた.....文字は分かんないと思っていたが、この体の持ち主の記憶があってか、そんなに苦労はなかった....
(あの時、僕は『ポトフ君のお母さんを治したい!』って思ったから、それが作用して、できたのかな?....なんにせよ、これはまだまだ特訓しないとな....)
一つため息がでると、アンナがお茶と食事を持ってくる。
「パンドーラ嬢様、どうぞ、お昼の食事です」コトッ
「ありがとうアンナ....おぉ、『サンドイッチ』ですか!」
「はい!中身はバッファーのローストビーフをふんだんに使ったサンドイッチです!」
「どれどれ...」パクリッ
ん――!!美味しい!!ビーフの甘みと野菜のうまみが合わさって、よりおいしさを引き立たせている....
「うぅ....美味しい。こんなのが毎日でてくるなんて....なんて幸せなんだろう....」
「ふふっ....大袈裟ですね」
「パンドーラ嬢様!」ガチャッ
んっ?ドレットが急いで入って来たぞ?どうしたんだ一体....
「どうしたんですか、ドレットさん?」
「実は....『カロメ嬢様』からお茶会の招待状が....」
「カロメ....?」
「パンドーラ嬢様...まさか!悪魔に取り付きすぎて記憶を...!」
「えぇ!!そうなんですか!?」
「えっ....えぇそうね....チョットキオクガアイマイニナッテ.....」ギクシャク
うぅ...色々とめんどくさくなるからその設定で行くか....
「それではご説明しましょう....カロメ嬢様は名門『バルムンク家』と同じ地位の名門『アスカロン家』の一人娘です」
「アスカロン....」
「はい、カロメ嬢様は高い治癒能力や自然の力を借りた能力を扱えます.....正直に言いますと、カロメ嬢様の方がパンドーラ嬢様より聖女の力が上かと....」
「そ、そうなんだ....あはは」
まぁそれは仕方ないもん!こっち聖女の力に対して初見だから!
「それでどういたしましょうか?お茶会に参加は?」
っ!そうだ、同じ聖女だから力の使い方とかのコツとか行けるんじゃないのか?
「もちろん!行きますよ!」
「.....そうですか」
あれ?なんで悩んだ間があったんだ?
「分かりました。ではこちらで準備を進めておきますのでパンドーラ嬢様は荷物の準備を」
「は、はい!分かりました!」
ちょっと気になったけど...まぁいいか、ついてから考えよう....
『馬車の中』
(やっぱ、改めて見ると....本当、中世って感じだな....)
「どうかしましたか?」
「あっいえ、久しぶりに町の外に出て見てちょっと興奮してるだけです!.....えっとところで、なんでドレットさんが?」
べつにドレットさんが乗る理由はないんですが....
「ああ、それはパンドーラ嬢様の護衛です。いくらパンドーラ嬢様といえど、命を狙う輩は少なくありません.....ただえさえあの噂がたっていますから」
あああぁ(察し).....やっぱあれか(元の体の悪行のこと)....くそっ....ここまで来るともはや『呪い』だよもう....
「そ...そうですか....」
そんな会話を楽しんでいると.....目的の場所へ着いたのでした。
『アスカロン公爵邸』
そこは、僕とほぼおなじくらいな豪華な白い屋敷が建っていた。
「ここがアスカロン公爵邸....やっぱ名門だけあって大きいな.....ん?」
すると、僕の目に映ったのは、ここの使用人らしき人物と緑髪のウルフカットの本を持つ少女が立っていた。
「やぁ、よく来たね....歓迎するよ『パンドーラ・バルムンク』」
「そういうあなたは、『カロメ・アスカロン』さんですね」
この子がカロメさんか....か、可愛いかも。
僕とカロメさんはここの庭のガーデニングテーブルでお茶会をすることとなった....わぁ...パイのいい匂いがする。
「ど...どうぞ、カスタードパイです」カタカタ
カロメの使用人が震えながらパイを置いてきた...あの反応、パンドーラの前のことを知ってるみたいだな...
「ありがとうございます」ニコッ
「....」
なっなんだろう...カロメさん、こっちをじっと見ている....な、何かしたのかな?
「えっ、えっと...カロメさん?本日はなぜお茶会に誘ったのですか?」
「...ふーん、いやちょっとね?」
「?」
「じゃあこっちから単刀直入に言うよ?...何を企んでるの?」
「っ!!」
カロメさんがかなり鋭い目付きに変わった!?こわっ!?
「た....企んでいるというのは?」
「誤魔化しても無駄よ....以前の君と今の君じゃ全然態度が違うのよ?どういう風の吹き回し?」
「えとえとえと....」アワワワ
や、やばい!なんとか話を合わせないと....
「せ....聖女の修行が効いてきたんですよきっと!」
「ふーん....」
うわぁー....すっごい疑いの目で見られてる.....
「聖女で思い出したんだけど....あのパンドーラが『聖女の力で人々を癒した』って噂が絶えているんだけど....ほんとかなぁ?」
「あっそれってポトフ君のお母さんですか?」
「なっ!?」
たまに城下町に降りて、一緒に遊ぶぐらいに仲良くなったもんな~
「ふ、ふんっ!そ、そんな見え透いた嘘で僕を騙そうたって....そうはいかないよ!」
「いいえ、それはございません」
あっドレットさんが入って来た。
「パンドーラ嬢様は聖女の修行に帰られた後以前と比べ物ならない慈悲深い人物になっていました。今では、城下町に降りて自ら住民たちの手伝いをするまで至ります」
「なっなにぃぃぃっ!?」ガビーンッ
カロメさんが凄い驚いた表情を.....いやほんとにどんだけの悪行を積んできたんだこの人!!
(ばっ....ばかな!以前の君は僕が『聖女らしくしろ!』と口酸っぱく言ってきたのに対し君は鼻で笑ったくせに.....今じゃ僕をさん付けで呼んで、自ら住民たちの手伝いを!?あり得ない....一体なんで急に変わったんだ....まっまさか!)
「パンドーラ!君はもしかして『天能』を授かったっていうのか!」
「て....『天能』!?えっ...ええ、そ、そうですよ?」
天能!?なにそれ!?――と、とりあえず話を合わせないと!
「い...『今までの悪行を....悔い改め、反省し、私利私欲のために使うのではなく....街の人々のために....その身を削って、使いなさい』....と女神さまが言っていたような気がします!!」
(言っていたような?)
うう....なんか強引な話になったけど、大丈夫か?
「.....」プルプル
あれ?カロメさん、なんかめっちゃ震えている?
「女神が....女神の御言葉を君にそう言っていたのかい?」
「え、えぇ...多分....(たった今思い付いた言い訳ですけど...)」
「『天能』っていうのは、女神が認めた人のみが与えられる唯一の力だぞ!その力で迷える人々を導くと言われる『女神の使い』の称号を与えられる聖女になるんだぞ!」
あぁぁぁ!!そういえば、聖女のことがよくわかる本に書いてあったじゃん!!馬鹿か僕は!?あの時否定しとけばよかった!....けどもう後戻りもできないしぃ....うぅ....
「.....はぁ....アタマイタイ.....ちょっと僕は少し席を外すからそこで待っててくれ....」
「あっ...あの、カスタードパイは?」
「好きにしてくれ....」
「.....」モグモグ....
カロメさん....なんだか、元気がなくなっていたな....な、なんかまずかったのかなぁ?
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「あのパンドーラが『天能』を....?――クソッ!」
ガンッ!!
僕はあのパンドーラが『天能』を授かったことにイラつき壁を蹴った....
認めるはずがない...!僕だって、毎日祈りを捧げたり、重症を負った人々を癒したりもした....なのに!なのに、あのパンドーラが『天能』を授かったんだ!あんなに自慢げに話して!
「....ん?」
僕はふと、気づいた....そうか、あれはパンドーラの嘘だ....あんなデタラメな嘘で踊らせて、僕を馬鹿にしているんだ!
「危なかった....危うく、パンドーラの作戦にはまるところだった....ふふっ見ていろパンドーラめ、すぐその偽りの仮面をひっぱたいてやるんだから....待っていろよ!」
そう思った僕はすぐさまあの魔道具を取りに行くため駆け足で向かっていくのだった....
「....ちょうどいい、パンドーラもついでにあの聖女もまとめてやっておくか....」
黒いフードの人物がそう呟くと、その手には紫の玉が握られていた。
カロメ・アスカロン 女
努力家で負けず嫌い。
僕っ子、ツンデレ?ようそあり
治療能力と自然の力による能力は毎日努力しているので質が強い




