4ページ これが聖女の力....
「おはようございます。パンドーラ嬢様」
「あっおはようございます....えーっと―――『ドレット』さん!」
僕に挨拶してきたのは....銀髪の黄色の瞳の男性。確か、『ドレット・フェンリル』さんでしたね。
「本日はどのようなことを?」
「あっ...えっと...城下町を見てみたいです!」
「.....城下町を?」
~~~~
「凄い賑わいだな....」
ここに来た時は疲れて、あんまり見てなかったけど....随分と発展してるんだなー....
「.....」サッ
「.....」サッ
でも、町中の人がビビって離れている.....前途多難だ.....
「流石にちょっと悲しい....」
(そりゃそうだろ.....にしても、何故今になって城下町を?護衛を担当することになったがまぁいい....多少は成長したと思うが、そうはいかんぞ....すぐさま悪魔のような化けの皮を剥いでやる...!)
.....なんだろう、なんかドレットさんの目線が怖くなったぞ....んっ?
「痛てて...腰が....」
あそこに荷物を大量に積んである所におじいさんが立っている。なんだか腰が痛めているようだ.....
「うう、今日にかぎって人がいないからな....誰か手を貸してくれる人はいないもんかね....」
「.....」トッ
「!....パンドーラ嬢様?」
僕は困っているおじいさんに声をかける。
「すみません、おじいさん」
「ん?....ヒィィッ!?ぱ、パンドーラ様!?」
(パンドーラのやつ一体何を!?)
「いっ...一体、このおいぼれに何の用ですか?」ガタガタ
「.....その荷物は貴方だけで運ぶんですか?」
「えっええ....何せ、今日は私しかいませんので」(なんだ、なんだ?ワシはただの果物屋さんだぞ!?何かパンドーラ様の癪にさわったのか!?)
「そうですか.....ならば、私も一緒に手伝ってもいいですか!」
「「.....えぇ?」」
....やっぱり、困ってる人を僕は見過ごすことはできない!
「この荷物を運ぶんですね?」
「えっ?ええそうですが....でも流石にこの量を一気に 「よいしょっと」 でき――えっ」
「...うん、結構軽いですね。えっとこの荷物はどこへ?」
「えっ、あっ、うん....隣の倉庫だが.....」(あれ?そのかごって一つで5kgぐらいあるはずなんじゃが...それを4つも持って行ったぞ....)
「わかりました!」セッセッ
(....なっ何なんだ、一体...あのパンドーラが、自分から進んで人々を手伝いを?)
僕はたった数分で、おじいさんの荷物を運び終えることができた。――やっぱり、あの時から(こけたアンナを受け止める時)うすうす感じていたけど.....女の子なのに、凄い怪力だぞ.....これも聖女の力なのかな?
「おじいさん、荷物を運びおえましたよ」
「あっ...ありがとうございます!こんなおいぼれの為に自ら汚れながら手伝うなんて....」
「大丈夫ですよおじいさん....ぼ――私は困っている人をほっとけないんです。もし、手を貸してほしい時はいつでも相談してください」ニコッ
僕はおじいさんに笑顔で語りかける。
「おっ...おぉぉぉ!まさしく聖女じゃぁぁぁ!あの悪魔より悪魔、魔王より魔王の噂が絶えないあの『パンドーラ・バルムンク』がたった今、聖女になっているぅぅぅ!!」ブワワワッ
「あっあはは....」
おじいさん、凄い涙を流している...
やばいな、パンドーラの悪行がここまで浸透しているなんて....これはもっと頑張らないといけないぞ....!
「.......っ」
そのあと、おじいさんからお礼におにぎりをもらって、ドレットさんと一緒に食べることとなりました。
「モグモグ....にしても、ここまで悪行が広まっていたなんて....」ブツブツ....
「モグモグ....」
(パンドーラ....本当に改心したのか?あの態度といい、あの行動といい、前のパンドーラとは明らかに違うぞ....)
「モッモッ....ん?」
すると、今度は小さい子供が、ベンチでうつむいて座っているのを発見した。
「.....子供?」
僕はその子に話を聞いてみようと、駆け寄った。
「.....」
「すみません、僕?」
「っ!」
「何かあったの?」
「....誰?」
け、警戒してる....まぁそりゃ初対面だし、驚くよな....
「ぼ――私は『パンドーラ・バルムンク』って言います。えっと...こう見えてバルムンクの娘です」
「パンドーラ?....もしかして、聖女の?」
おっ食いついてきた。
「はい、そうです」ニコッ
「.....」プルプル...
えっなんか泣きそうになっている!?
「お願い、聖女様!お母さんを.....お母さんの病気を治して!!」
「....えっ」
その子が泣いている瞳で僕を助けを求めた。
~~~~
「ハァ...ハァ....」
「うぅ...お母さん....」
今、僕は、この子――『ポトフ』君と一緒に部屋で寝ているお母さんの前に立っている。
.....ポトフ君は数日前に重い病で倒れ、医者がいうには聖女の力でもない限り、直すのが難しいと言われている...
「....では、行きます!」
スッ
僕はポトフ君のお母さんに手を翳し、集中する。
「.......」
(....あのパンドーラが聖女の力を使えるのか?そもそもあんな性格で聖女の力がさずかっているのか?)
うう...な、何だろう、ドレットさんから疑いの目が刺さる....くっ、やっぱり聖女の力の本質が分からないから、どうやって聖女の力を出すのか分かんない...!
「お母さん....やだよ....いなくなるなんて....お母さん」
「!」
ポトフ君が泣いている....そうだ、僕は今、腐っても聖女なんだ!この子を悲しませてどうする!こんなとき、正義のヒーローは皆、こう言うだろうな....
「『最後まで....絶対、諦めない』!」パアァァァッ
「っ!」
ポトフ君のお母さんを....絶対に救うんだぁぁぁぁぁ!!
「はぁぁぁぁぁぁっ!!」パアァァァッ!!
「こっ、この光は....まさかっ!」
「まっ眩しい!?」
僕の思いにこたえたのか、僕の体が輝きだし、部屋が優しい光に包まれる....
「......」スゥゥゥゥッ...
「....収まった?」
「お...お母さん?」
ど、どうだ?無事にお母さんを治せたのか?
「....んっ、んん?」パチッ
っ!お母さんが目を覚ました!!やった!成功したんだ!!
「こ..こは....私は...」
「お母さん!!」ダキッ
「キャッ!?ぽ...ポトフ!?」
ポトフ君、お母さんが目が覚めたことで泣きながら抱き着いていった...そうだもんな、あれだけ心配してたからな....
「よかった....目が覚めたんですね」
「えっええ....貴方は?」
「私は、パンドーラと言います。貴方の子供がお母さんが病気だと知り、こうして駆け付けて治療しました」
「ぱっ...パンドーラ様が!?」
「うん、そうだよ!すごいよ!なんかパァーってやって、お母さんを治したんだよ!」
「え....ええ?あのパンドーラ様が?」
あー....これは混乱しているな....仕方ないもん元があれだから...
「えっと...すみませんわざわざ来ていただいて、私を治療していただいて....」
「いえいえ、気にしないでください。貴方の子供の必死に伝えてきたから来たんですから...良かったね、ポトフ君」
「うん!ありがとう、聖女さん!」
「ふふっ...」ヨシヨシ
あー...可愛いな....癒される。
「......」
(これが、パンドーラの聖女の力....なんて、なんて慈悲深いんだ!あの輝きこそ正しく聖女....今までの悪魔のような悪魔ができる訳が――そっそうか!今までのあれは悪魔がとりついていたんだ!!でなきゃ、あんな極悪なことが起きるはずがない!!)※すみません、元のアレはそういう性格です
「――パンドーラ嬢様!」
「ハヒュッ!?」ビクッ
ビックリしたぁっ!?突然大声で呼ぶから身構えちゃうよ!!
「ど....どうしましたか?」
「今までの活躍、『ドレット・フェンリル』....この目でしかと受け取りました。」スタッ
えぇっ!?なんかドレットさん、急にヒザを落として敬礼してきたぞ!?
「今までの貴方は嘘のように消え去り、皆の傷を癒す立派な聖女になられて....私はいま猛烈に貴方のことを感服しています!」
「えっえっ?」
「この『ドレット・フェンリル』....『パンドーラ・バルムンク』の忠実な僕として、全身全霊で身を尽くします!!
えぇぇぇぇぇっ!!なんでそうなるのぉぉぉぉ!?
こうしてパンドーラは忠実な僕、ドレットの信頼を得ことができました....
後日....
「パンドーラ嬢様はこの前、店の荷物をいとも簡単に持ち運び、数分で完了して、それだけでなく、街の人たちと交流を――」ペラペラ
「お....おうわかった...分かったよ。つまり、今のパンドーラ嬢様はすごいってことだろ?」
「そういうことだ」キリッ
(あ、あの人一倍警戒心が強いドレットがパンドーラ嬢様をべた褒めしとる....)
『アスカロン公爵邸』
「...なんだって?それは本当かい?」
「はい....あのパンドーラ嬢様が....」
「......そう」パタンッ
すると、読んでいたであろう本を閉じる....
「あのパンドーラが、改心したって?....絶対に裏があるよな」
と、緑髪のウルフカットの本を持つ少女が疑いのある目で呟いていた。
ドレット・フェンリル 男
銀髪、短髪の黄色の瞳をしている執事
元々、パンドーラの悪行は見たので警戒していたが、聖女の力を目の当たりにして、今までは悪魔がとりついていたんだと解釈し、いまでは忠実な僕として働いている。




