11ページ 二人の秘密
前回のあらすじ...メモリーにパンドーラの秘密がバレてしまった!?
「なっ...何を言って...」
不味い不味い不味いっ!?どこでバレたんだ!?本名はまだ誰にも言ってないのに!?
「あぁ、ごめん。混乱させてしまったね...実は私が持つ聖女の力とは別の能力で知ったんだよ」
「...えっ?の、能力...ですか?」
「そう、僕の能力、というか『異能』かな?生まれもった魔力が別の新しい力へと変えた能力なんだけどね」
異能...そんな力があるんですね....
「私の異能は『記録』....相手の体を触れれば今まで自分が見た、知った、聞いた過去の記憶が私に見える能力なんだ....」
「相手の体?.....あっ!」
そうだ思いだした!あの時、メモリーが握手を求められたとき、僕が手を繋いだんだ!その時に僕の過去を見たんだな....
「彼女、パンドーラが別人に変わったって聞いたからね....何か理由があるんだろうと思ってみたら....まさか、別の人の魂が入っていたなんてね.....しかも、男の子とは....」
「あっ、あはは.....」
うう....そこはあんまり触れないでほしかったな....
「....うん、これで私の秘密も君は知った....これでお相子だね」
「えっ?」
「ここには私と君しかいない....君だけ秘密を暴露されるのは嫌だろう?」
「メモリー....」
メモリー、結構のんびり屋さんなイメージでしたけど...意外と気配りもいい人だ....
「それに、君のこと案外好きかもしれないんだ」
「フェ!?」
「ふふっ....顔真っ赤」
すすす好きって!?そんなに!?
「前のパンドーラより、今のパンドーラなら愛嬌はあるさ」
「で、でもいいのかな?何か騙して悪いような...」
「良いんじゃない?というか、そうした方が平和になると思うけど?」
「そ、そんなに!?」
パンドーラ、メモリーにも嫌われすぎでしょ!?
「.....ん?」
「あれって...」
ふと、どこからか、パタパタと多くの羽ばたいた音が聞こえて、上を見上げると...そこには果物をくちばしで持ってくる大量の鳥たちだった。
「す、すごい数ですよメモリー!」
「...ははっ、これはすごいねぇ....」
切り株に鳥たちが持ってきた果物を置いて、助けた小鳥が僕の指に停まる。
「もしかして助けた時のお礼?....ありがとう!」
『っ!』
お礼を受け取ると、そのまま小鳥たちは去って行ってしまった。
「うわー....美味しそうな果実だ...メモリーも一緒に食べましょう!」
「いいのかい?じゃあお言葉に甘えて....」
パクッ――
「「っ!」」
んー!みずみずしくて美味しい!これ、フレンチさんに持って帰ってお菓子を作ってもらいたいな...
「...これはいけそうだな」
「どうしました?」
すると、一粒食べたメモリーが何か閃く。
「前に言ってた、『とある村での作物の病気について』だけど...あの村の作物は育てられない所まで腐っているんだ」
「なっ、何だって!」
「うん、そこでこの果物を私に研究させてくれないか?もし、この果物がとある村で育てられることができれば、飢えをしのげられるはずだよ。どうかな?」
と、メモリーがお願いしてきた...そんなの決まってる!
「...はい!村の人達の為にもお願いします!」
「うん、いい返事。やっぱり君のこと、結構好きだよ」
「ちょっ!?だ、だからそんな簡単に言わないでくださいよぉ!!///」
と、僕はトマトのように顔真っ赤にして恥ずかしく言う...そういえば、あの黒フードはどうしたんだろう?
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『???』
どこかの建物...そこは禍々しい雰囲気を放たれる場所に、七人のフードを被った人物が鎮座していた。その時、ボロボロの黒フードの人物が帰ってきた。
「たっ...只今、戻りました」
「そのボロボロの状態でわかるわ」
と、1人の人物がその惨劇の姿を突っ込まれる。
「.....また、失敗したのか?これで何回目だ?何時になったら学習するのか?お前のその頭はもう錆び付いているのか?」
と、もう1人の人物がネチネチと失態を言う。
「まっ...待ってください!やつの...パンドーラの力についてわかったことがあります!──やつは『天能』を持っています!」
「「「「「「「!!」」」」」」」
その言葉に鎮座していた七人は驚く。
「....まさか、あの女が目覚めていたのか...てっきり、『グラム家』の聖女だと思っていたが....」
「へへはは!おもしれぇ!!」バンッ!
1人の人物が何か考えて込んでいると、その内の1人が楽しそうに立ち上がる。
「なっ...ちょっと!何処行くきよ!」
「まさかとは思うが....」
「なぁーに...ちょっとあの女の『天能』に興味があるだけさ....」
そう言うと、ボロボロの黒フードを通り、外へ出ていった。
「.....」
「取り敢えず、貴公はそのボロボロの状態を直せ。次に支障が出る」
「は...はい」
「ハァー...ワクワクすんなぁー一体、どんな血で流れてくるのかよぉ...」
どこかへ向かっている時にら、チラッとそのフードから見えたのは、赤髪の短髪で右目に獣に引っ掛かれた傷が恐ろしくも見えた。