10ページ 黒フードの対決
『ワッフル山脈』
「ふぅ....結構歩いたな」
僕は今、ここの結界の調査と補充をするために、山を登っている最中だ。
....やっと山の中腹まできたな。ちょっと小腹が空いたし、弁当を食べようかな。
「もぐっ....んんっ!美味しい!」
パンにバッファーのハンバーグやフレッシュな野菜が一緒に挟んである『ハンバーガー』を僕は味を噛みしめ、お昼を楽しんだ。
やっぱりフレンチさんの料理は美味しいな!
「~♪.....ん?」
ご飯を食べている途中、ふと見つけた先には、小鳥が怪我をしていて、地面に倒れていました。
「っ!――ゴクッ、大変だ....急いで治療しないと....」
僕はご飯をバックに直して、急いで小鳥の所へ行き、手に取る。
「....うん、まだ傷は浅い。これなら...!」
パァァァ.....
僕は小鳥に治癒能力で、小鳥を癒す.....どうか元気になってくれ....
『....!』
すると小鳥は怪我が治ったのか、パタパタと翼を広げ、飛んだ。
――やった!成功したぞ!
その小鳥は、仲間の鳥と合流して、仲良く飛んでいくのを僕は見送っていた。
「...よし、僕もそろそろ行こうかな」
その後、僕はこの山の山頂にある結界の所まで歩き始めた。
(それにしても今のところは大丈夫みたいだ....前にカロメが襲われた時も、結界だったし、用心したことに超したことはないな)
あの黒いフードの男のことを考えながらも、数時間かけて、結界がある山頂まで着いた!
「やっと着いたな.....っ!」
ついて早々、結界の建物の近くに荷物を置くと、僕は大声を上げる。
「...そこにいるのは分かっているぞ!出てこい!」
シーン...と静寂の音が聞こえそうな感じを醸し出すが....誰かが舌打ちした音を聞くと同時に現れた――その人物は、カロメを襲い、パンドーラを殺した場面にいたあの黒いフードの人だった。
「バレていたか....」
「そうですね、前にカロメが襲われていたので警戒してましたよ」(本当は、警戒するブラフだったんだけどね....)
「ちっ...勘のいい奴め....」
「カロメや僕を襲って....貴方は一体何が目的なんですか...!」
「ふんっ....今から殺す相手にそんなことを言うか?」
ズズズッ.....
「!」
黒いフードの人が火花が散りつつも魔法陣が現れ、そこから紫色のゼリーのような体に赤い一個の核らしきものが入った人型のようなスライムだった。
『グププ....』
「これは...スライム!」
「ククク...やれ!」
黒いフードの人が指示を出すと、動き出し、襲い掛かって来る。
「『加護50%』....!」
なんだ、この嫌な感じ....このスライムなんか変だ!
僕は急いでパンチをやめ、スライムの攻撃を回避する。
ペチャッ....
「...!」
うわっ!少ないけどスライムの破片がついたぞ....っ!なんだこの感じ、肌にピリピリと痺れる感覚は....まさか!
「毒!?」
「ほう...微量でも木を腐らせる毒なのに、その程度で済むということは....貴様、『天能』を授かっているな?だったらあの超パワーも説明がつく」
「っ!....それがどうしたんですか」
「クククっ....ならば手間が省けた!貴様は絶対にここで倒すのだ!」
この黒フードの人の目的は『天能』の授かった人なのか!?だが、なんの理由で....
「見たところ、貴様は接近戦が主体のようだな....ならばこの『ポイズンスライム』は貴様にとって相性が悪いな!物理は効きづらく、触れれば毒による死....魔法でも使わない限り、貴様に勝ち目はない!」
「.....」
この人は、油断している....僕がまだ、遠距離の攻撃手段を持っていることに、まだ知らない!
僕はその辺に落ちている小石を拾い、構える。
「?....なんだその手、あれは――デコピンか?」
いまこそ――特訓の成果を!
「『加護50%』......」ピィィィィ.....
「っ!まさか――」
中指に、加護の力を集中させて――放つ!
「『アスカロンショット』!!」
ビュゥゥゥゥンッ――――パァァァァンッ!
『!!!』
「なっ...!」
よし、スライムに風穴を開けたぞ!如何やら、効果的だな。
「くっ!でたらめなぁ....やれ!」
『っ!』
黒いフードの人がスライムを指示をだすと、再生しながら突っ込んで来る。
それに対し、僕は多めの小石を握り、スライムに向けてぶん投げる。
「『加護30% フルンティングスマッシュ』っ!!」
バババババッ!―――パパパァンッ!
『 』
「なっ!」
小石をまるでショットガンのように投げつけ、広範囲に攻撃し、風穴だらけにして、スライムはバラバラにする。
「っ!」ダッ
そのまま僕は、黒いフードの人に向かって接近し、攻撃する。
「なっ!?く、来るなぁぁぁ!!」
「『加護80%』っ!」ピィィィィ....
ジュルッ...
「何っ!?」
『っ!』ダプンッ!
なっしまった!?スライムが下から集まって、取り込まれた!?
(ぐあぁっ!息が....それに皮膚が焼かれるように痛いっ!)
「ふっ....ふふふ、ははははっ!これで貴様は終わりだ!これで我々の目的がまた一歩近づく!」
我々....もしかして、まだ仲間がいるのか!?
「さてと、目的は達成したのも当然だし、私はこの場をさるか....ゆっくり消化されながら朽ちるがいい」
まずい!逃げてしまう....このまま帰させて.....たまるかぁぁぁっ!
(『加護......100%』っ!)ピィィィィッ!
「....ん?」
僕は最後の力を振り絞り、中指に100%の力を高め、放った。
(『アスカロン.....ショットォォォォッ』!!)
ドコォォォォォンッ!
「なっ、なにぃぃぃっ!―――ぐあぁぁぁぁっ!!??」
『!?―――』
その衝撃は、取り込んだスライム諸共その場にあった木も広範囲に吹き飛ばし、僕は倒れる。
「ぐっ...ああぁ....やっと抜け出せたけど.....い、意識が.....――ッ」
僕は、100%の反動とスライムの毒の影響で目を瞑った.....
(うぅ....ごめん、カロメ....アンナ....ドレットさん.......)
―――
――
ー
「.....ん?」
僕が次に目が覚めると....
「あぁ...やっと目が覚めたね」
「うわっ!?め...メモリー!?」
ドアップで見つめていたメモリーの姿に僕は驚いた。
意外と綺麗な人だから、そんなに近づいてたら恥ずかしい....////
「うん、君が侵されたこの毒は聖女には侵蝕するのに時間が掛かるから早めに対処できてよかったよ....あと、崩壊している指も治してあげたよ」
「あ、ありがとうございますメモリー....だけど何故ここに?あなたは確かとある村で作物の病気のことを...」
「ん?....あぁ、それはこの小鳥が教えてくれたよ」
と、メモリーが指を出すと、小鳥が停まる....あっ確かこの小鳥は....
「もしかして....怪我をしていた小鳥か?」
「....なるほど、差し詰め、この小鳥の命の恩人が大変な状況になっていたから、私にくちばしをつついてまで来させたと言ったところだね」
「そうだったんですね....ありがとう、助かったよ」
と、僕は笑顔で小鳥にお礼を言う。
『っ!』
喜んだのか、小鳥は満足そうな感じで飛び立っていった。
「ふふ....」
「....やっぱり、前に出会ったパンドーラとは全く別な感じだね....これも『天能』のおかげなのかな?」
「うむっ....そ、そうですよー....あはは....」
今はそういうことにしておくか...ハァ~...あっ、そうだった!
「そういえば、あの黒いフードの人は!?」
「残念だけど、私が来た時には、その人はいなかったよ」
「そ...そうですか.....」
くっ...残念だったなぁ....
「――そうえば話変わるけど、結界の調査はどうしたの?」
「.....あぁっ!まだでした!」
しまった、あの黒いフードの人で頭いっぱいだった!?
「....君って意外とおっちょこちょいね」
「す、すみません....」
「ふふ....まぁ人間、少しだめなところを見せれば愛着が湧くともいうし、いいんじゃないかい?....パンドーラ君?」
「そ、そうですかね....あはは――えっ?」
今、なんて言いました...?
「こういった方がいいのかな?―――初めまして、『正義 正式』君?」
「....えっ?」
な....なんで、本当の名前のことを知っているんだ!?
オマケ
カロメ「君、別に『天能』の能力にいちいち詠唱みたいなこと言わなくてもいいいんだぞ?」
パンドーラ「えっ?でもなんか、ついつい言っちゃうんですよね....」
カロメ「....流石に自分の名前を入れるのはダサいぞ?」
パンドーラ「そ...そうですか....(バルムンクって元々聖剣の名前が由来なんだけどな...)」
カロメ「うっ...そんな露骨にしょげなくても....まっまぁ、君がカッコいいと思ったらいいんじゃないか?」
パンドーラ「そうですか?...ならこんど、『アスカロン』で新たな必殺技を考えときますね!」
カロメ「.....えっ?」
これがのちに『アスカロンショット』の爆誕である。