第3話「合流」
本職もあるため、更新遅めです……。
ご了承くださいませ<(_ _)>
翌日、遅れて到着した羊昭たちと合流すると、子供たちが加わったこともあり、一行はやや賑やかになった。
中には老人もいるため、あまり急いで移動することはできないが、目標である氷都を見据えて、彼らは希望の道を歩んでいく。
琥獣の戦士たちは以降も順調に勝利を積み重ねていった。
戦いでの勝利は氷都への道のりを着々と進んでいることを示し、一歩、また一歩と目的地に近付いているという感覚が彼らの士気を上げる。
始めのうちは皆が勝利を喜び、氷都に向かって突き進んだ。
だが、それは一時の幸福に違いなかった。
目的の地に近付く度に新たな戦いが待ち受け、琥獣の戦士たちの体力と気力を奪うのだ。
度重なる戦いの中で数え切れないほど多くの敵兵の命が失われた。
琥獣の戦士たちが力の限りを尽くして、皙氷の兵士の命を奪っていく。
しかし、敵兵だけを殺し、味方に全く犠牲が出ないというわけにはいかなかった。
次第に集中力が欠け、目に見えて動きが鈍くなっている戦士の姿もある。
そして、後方部隊のシュカたちが活躍する機会も増えてきた。
戦士を保護するための風の障壁、傷を負った戦士の止血援護、直接戦闘に参加することは無かったが、方々で支援を必要とする声が聞こえるようになったのだ。
そういえば、戦いの最中にヤヒコの姿が見えなくなることがあることに気が付いた。
ホムタを護衛するわけでもなく、戦闘に参加しているわけでもなく、どこかへ行っているようなのだ。
戦いが終わる頃には何事も無かったようにホムタの傍に戻っている。
「ヤヒコさん、あなたは戦いの最中にいつもどこへ行っているんですか?」
疑問に思ったシュカが堪えきれずにヤヒコに尋ねた。
「私ですか? ……これは内密にお願いしますね。皙氷の布陣が次はどの辺りに敷かれているのか、逃げた兵士たちはどこへ向かっているのか、個人的に付近の調査をしていたのですよ」
「あ、疑ってしまってすみません。でも、それならコソコソなんてしなくても――」
「そして、ようやく先ほど興味深い発見をしました」
「え……?」
逃亡した皙氷の兵士たちは次の陣、そのまた次の陣に取り込まれているのだという。
それは時間稼ぎのためなのか、戦いが始まって攻撃をした後に逃げて、次の陣に合流し、また待ち構える。彼らの命が続く限り、戦い続けているのだ。
敵兵も疲弊はしているはずだが、その人数差による影響はやはり大きかった。
疲れた皙氷の兵士は交代して休むことができるため、たとえ力で劣っていても、こちらを消耗させる戦法を取ることができる。
さらに厄介だったのは、敵兵の中に氷で作られた兵士も交ざるようになったことだ。
氷術で作られた兵士を倒しても、敵兵の数を減らすことができるわけではない。
術士本体を倒さなければ、氷造兵が延々と生み出される。
氷造兵は遠隔でも操作ができることから術士が近くにいることは稀であり、そのせいで一度の戦いが長期化するようになってしまったのだ。
その後も琥獣の民の戦いは続く。
敵兵を蹴散らし琥獣の戦士たちがまるで不死身のようにシュカは思っていたが、それが思い違いだと判明するのにそう時間は掛からなかった。
幾度と繰り返される全ての戦いに勝利する琥獣の戦士たちでも、氷都がまだ遠いこともあって疲労の色が目に見えるようになってきた。
本当にこのまま氷都に辿り着けるのか、口には出さずとも漠然とした不安を皆が感じていただろう。
それでも彼らは突き進む。氷都に着きさえすれば、この辛い状況もきっと終わるという希望を持っているのだから――。
彼らの心を支えていたのは、馬威と羊昭の二人のリーダーだった。
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