第13話「決心」
本職もあるため、更新遅めです……。
ご了承くださいませ<(_ _)>
「この国に限った話ではありませんが、どうやら悪しき考えを持つ者が紛れているようです。その者たちは世界に混沌をもたらそうとしています。私たちの国にも同様の存在がいるのは明白。シャンでは二十年前から既にその者の影響を受けている可能性が高いでしょう。国の中枢まで支配されていることもあり得ますし、氷王でさえ疑わしき人物の一人です。正確な情報は、もう少々お待ちください」
卑怯なことが大嫌いなシュカは、ヤヒコが言う悪しき考えを持つ者たちの存在が許せなかった。
それはホムタも同じ気持ちのようで、その人物がこの場にいたら掴みかかってしまいそうな勢いだ。
「もしわかったら、すぐに教えろよ? 俺がぶっ飛ばしてやるからな――って、ん? なんかあそこ、人が集まってんな」
ホムタが指差したのは先ほど出て来た馬威の家の辺りだ。
そこには琥獣の民の大人たちが集まっている。
何が起こるのか知るべく三人が近付くと、その人だかりの中心にいるのは、つい先ほどまで話していた馬威であり、声を張り上げていた。
「我らはもう、我慢の限界を迎えた! これまで砦に対して抗議の声を上げてきたが、奴らは決して聞き届けてくれなかった……。貴重な戦力の羊昭たちが戻って来てくれた今、我らの痛みを愚蒙な王とその民草に直接届けてやろうではないか!」
その話を決意した表情で静かに聞いていた周りの大人たちが一斉に賛同の声を上げ、ついに我々の力を思い知らせる時が来たと同調していく。
一見狂気に見えるが、それだけ彼らの苦しんだ時が長かったという証拠でもあった。
「やっぱり、僕は戦いを、止められないのか……!」
シュカは今にも戦いへと踏み出してしまいそうな彼らを見て歯を食いしばり、じっと我慢する。
もし今飛び出したとしても、熱くなってしまった彼らを止めることはできないし、シュカでは力で押さえつけることもできないだろう。
「まあ、落ち着けよ」
そんな時にホムタが肩を掴んで制止してくれる。
そのおかげもあってか、少しだけ力を抜くことができた。
「琥獣の民がもう戦うしかないっていうのは理解してるけど、それが本当に正しい選択……だと思う?」
「そんなの、俺だって知らねえし……」
シュカがもう飛び出さないと悟ったようで、ホムタがその手を離した。
いったい何が正しくて、間違っているのだろうか。
戦うこと、戦わないこと、彼らの想いを聞いた今、どちらが良いか選ぶこともできない。
自分でも答えを出せない中途半端さが自身を苛立たせる。
しかし、このまま戦わずにいれば、移住しない限り食糧が尽きて彼らは滅びてしまうだろう。
それでも、戦いで命を落としてしまえば、死という意味では同義だ。
彼らが戦いを選ぶ根本には、馬威が言っていた琥獣の民としての誇りがある。
このまま終わるわけにはいかないという確固たる信念を感じた。
だからこそ、シュカも戦いを止めることを躊躇させられたのだ。
「砦を攻め落とすのは明朝だ。皆、今日はしっかり休養を取ること。羊昭たちは休めた後に追って合流してくれ。砦はあくまで通過点であり、目指すべきはあの忌々しき氷の都だ」
馬威の話が終わると、集まっていた大人たちがそれぞれの家に帰って行く。
彼らの顔は痩せ気味のそれに反して、確かなやる気に満ち溢れていた。
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