第12話「アドバイス」
本職もあるため、更新遅めです……。
ご了承くださいませ<(_ _)>
「初めて見た時から気になってたんだけどさ、その翼があるからシュカは飛べんのか、風が操れるから飛べんのか、どっちなんだ?」
「んー、原理はどうだったっけ……。物心ついた時にはもう空を飛んでたし、風術も使ってた気がするし……」
それは非常に困る質問だった。当たり前のようにどちらもできていて、それを疑問に思ったことが無かったのだ。
ジュナの時はどうだっただろうか。彼女もほぼ同じ時期にどちらもできるようになっていた記憶がある。
「もしかすると……どちらも一緒にできるようになるのかも?」
「なんだよそれ。じゃあさ、じゃあさ、碧空の民ってのは、みんなシュカみたいに翼が白いのか?」
興奮して聞いてくるホムタは、本当に子供みたいだ。
「そんなことはないよ。みんなそれぞれ色が違うんだ。この純白の翼が救国の英雄と同じ色っていうのが僕の誇りなんだよね」
シュカはその翼をはためかせて、昔を懐かしんだ。
「へえ、俺は最初にシュカの翼を見ちゃってっから、白以外って想像できねえや。にしても、英雄と同じ色って縁起がいいんだな。……でもさ、やっぱり空飛べんのは不公平だ」
碧空の民に興味を示してくれたと思っていたら、また飛べる話に戻り、ホムタはムスッとしている。
そうやって他愛もない話をしていると、いつのまにか盗人を捕まえた時の話になっていた。
「ホムタの術ってさ、あまり上手くは言えないんだけど、なんだか無駄が多い? ような感じがしたんだ。あんなに強大な力をどこに秘めているのかも気になるけど、傍から見てると、もう少し丁寧なほうが良かったりするのかなあ……?」
そう言い切れる自信は無いものの、シュカ自身が感じたままを伝えた。
自分ができているかはさておき、テムや忠猫といった強者と比べてみたのだ。
二人共洗練された動きの中で無駄なく術を繰り出していたが、ホムタは無理矢理力を放出しているように見えた。
「ぎゃははははっ。前に同じようなことをヤヒコにも言われたっけなあ。二人揃って言うなら、きっとそういうことなんだろ。俺も力の使い方をちょっとは気を付けねえとな。具体的にどうすれば良いかはさっぱりわかんねえけど」
シュカの意見を真剣に聞いていたホムタは、繰り返し頷く。
いったん自分の中では決着をつけたようで、今度はシュカの術について気付いたことを話し始めた。
「シュカはなんか気持ちが揺れてるって感じ……? それが術にも影響してんじゃねえか?」
ホムタならではの言葉遣いでそのまま続ける。
「あー、ビクビクしてるっていうか、恐る恐るっていうか、何を不安がってるんだ?」
疑問形で言われても困るシュカだが、ホムタが言いたいことはわかる。ホムタが言う不安と自分に自信を持てないことはほぼ同義だろう。
しかし、どうしたら自分の力に自信を持てるようになるのか、シュカには思い浮かばない。
長年抱えてきたこの悩みを解決するのは、決して容易なことではないのだから。
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