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第11話「霊術」

本職もあるため、更新遅めです……。

ご了承くださいませ<(_ _)>

 ただ、しばらく沈黙が続くと、馬車の中で何もすることがないホムタはすぐに飽きて、口を開くのだった。


「あのさ~、シュカが使ってた風術だっけ? あれって他には何ができんだ?」


 ホムタは本当に興味本位で聞いているのだろう。

 知らないことをなんでも聞いてくる子供のように瞳が輝いている。


「風術でできることはそんなに多くないよ。あの時は風の弾を射出したり、突風を起こしたりしたけど、それ以外は自分の武器に風を纏わせるとか、風の壁を生成して防御するくらいかな」


「なあんだ、火術とあんま変わんねえのか……」


 ホムタはもっと面白い話を聞けると思っていたのか、霊術の話題に興味を失ったように見えた。


 ちょっとした悪戯心を抱いたシュカは、実際にその場でそよ風を起こしてみせる。

 そよ風は一直線にホムタへと向かった。


「……!? バカ野郎! この中で風を起こすなよっ! 隙間風みたいで余計に寒くなるだろうが!!」


 ホムタが激しく震えている。

 あまりにも嫌がり、これ以上は暴れ出しそうな気がして風を送るのをやめた。


 シュカがやめたからか、ホムタもそこまで気にしてないようだ。


「……でもあれか。濡れた服をすぐに乾かせるのは、すげえ便利だな」

「服を乾かすぐらい、火術でもできるんじゃないの?」


「はん、火なんか近づけてみろよ。簡単に燃えちまうぞ。遠けりゃ良いってもんじゃねえし、距離感がめちゃくちゃ難しいんだ。少なくとも俺にはできない。だが、ヤヒコならそれができる」


 ホムタ自身はできないのに、ヤヒコができることを自慢気に言う。

 ここまで自分のことを棚上げすると、むしろ潔いとさえ思えた。


「そもそもジストゥスはよく晴れるし、暖かいし、もし濡れてもすぐ乾くんだ。だから、わざわざ火を使わことはねえ。火を使って簡単な料理くらいはできるけどさ、これもまた火加減が難しいしなあ」


「できても、損はしないと思いますが……」


 ヤヒコの反応を見る限り、火術を使って服を乾かしたり、料理したりする人もいそうだ。それよりも別の使い道をする人が多いのかもしれないが。


「あはは。それじゃあ、火術では他にできることはあるの?」

「火だって使い方はあんま変わんねえけど、こうやって指に小さな火を灯すこともできるんだぜ」


 ホムタが指をパチッと鳴らすと、人差し指に小さな火が灯った。ホムタがそれを見せつけてくる。


 せっかく火を近付けてくれるのならと、シュカはその灯火に手を当てて温まることにした。


「はああ~、温まるね~。小さな火でもこれはこれで良いなあ……。火を使えたら、迫力ある戦いがバンバンできるし、本当に羨ましいよ」


 風を使った戦いは火に比べて非常に地味で、大迫力の戦いを見せるのは難しい。


 風も火もお互いに良い所があるため、羨ましがっても仕方無いが、純粋に見た目が派手な術を使って、一度でも戦ってみたいという欲望もあった。


「こうやってずっと小さい火でも点けてれば、確かに寒くねえ。だけどな、最近調子出なくてさ。この寒さが原因なのか、燃費が悪くなってんだよな……」


 そう言ってホムタは火を消してしまった。

 火を消すと、またホムタは寒がり始める。


 そしてまた火をつけて、しばらくすると消してしまう。その繰り返しだった。


 だが、ホムタの隣に座るヤヒコは大人しくしており、寒そうな素振りは見せない。

 表に出さないだけで、実は我慢しているのだろうか。


 わかりやすいホムタとは違って、優秀という簡単な言葉で済ませていけない人物のような気がするのだった。

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