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第9話「ヤヒコ」

本職もあるため、更新遅めです……。

ご了承くださいませ<(_ _)>

「次こそ氷都だな、それじゃあ行くかあ!」


 お気に入りのコートを着れたおかげか、ホムタはかなりの上機嫌だ。


「あれ、氷都に行くには商隊を探した方が良いって聞いたけど……」

「それなら、既に手配しております」


 自慢するわけでもなく、淡々とヤヒコが言う。


「な? ヤヒコは優秀だろ」


 恐縮しているヤヒコに対し、ホムタは自分のことのようにふんぞり返っていた。


 南天の街を回り、保存食や物資等を仕入れたシュカたちは街の北端へと向かう。


 そこには出発準備をしている商隊の男たちが集まっている。

 その中の一つの商隊に近付いていくと、一人の男が立ち上がった。


「お前たちが氷都までの用心棒だな。……にしては、ガキ二人とひょろっとした兄ちゃんだけで本当に大丈夫なのか?」


 ヤヒコが彼らの用心棒を兼ねて氷都へ同行させてもらう話をつけていたようだ。

 商隊をまとめているという男がジロジロとこちらを物色するように見てくるが、あまり良い気分はしなかった。


「それは余計な心配だ。ほら、ちょいと前にさ南門の方で、でっけえ赤い竜巻が発生しただろ。あれをやったのは俺たちなんだ」


 ホムタが自慢するように言う。


「へへ、そりゃ頼もしいなあ。捕まったのも、ここらでは有名な盗賊らしいじゃねえか。あんなことができるなら申し分ねえ。疑って悪かったな」


 商隊長の男はホムタの話を聞いてコロッと態度を変える。

 商隊の人たちの中でも、あの竜巻は話題になっていたのだろう。少年だとしても力のある者なら大歓迎らしい。


 ホムタに続いてシュカが商隊長と握手を交わしていると、急に背後から悪寒を感じた。


「ミコ……」


 それは音も立てず、ホムタの背後に立っていた。

 シュカはその動きを目で追うことができなかったことに驚きが隠せない。()への認識を改めなければいけないだろう。


 ホムタの背後に立つ悪寒の正体、それはヤヒコだった。

 突き出された両手がホムタのこめかみに当てられ、捻りながら押し込まれていく。


「私は! あなたに! 目立つな! と言いましたよね!!」


「ぎゃぁぁあぁぁああ! いだいっ。やめろっで、ヤヒコ!」


 ホムタがじたばたと暴れるが、逃げることはできない。


「いだいって言ってるだろ。本当に、お願いだからやめてくれっ! ヤヒコ様っぁぁ!!」


 見ているだけで自分のこめかみもグリグリと押されているような気がしたシュカは、しばらくの間自分のこめかみを押さえていた。


 実際に多大な被害を受けたホムタのほうは、その痛みが治まるまでのさらに長い時間、こめかみに手を当てていたのは言うまでもないだろう。

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