第2話「海」
本職もあるため、更新遅めです……。
ご了承くださいませ<(_ _)>
しばらく降下を続けていると、シュカの目前に近付いて来るものがあった。
「これが、海……」
海を近くで見ることは初めてで、上空とは全然異なる見え方をすることにまずは驚いた。
手に掬ってみると、ほとんど色が無く、川の水とも見た目は変わらないようだ。
「どうして、遠くからは青く見えてたんだろう……」
サヴィノリアにある川や湖と何が違うのだろうか。
眺めているだけではわかるものもわからない。
シュカの興味は一点に絞られた。
舐めてみたら、何かわかるかもしれない。
「しょっっっっぱ!」
つい好奇心に負けて、海の水を舐めたことを酷く後悔した。
海というのはとても塩辛く、舌がヒリヒリするのだ。
喉を潤すどころか、逆に喉が渇いてしまう。
そんなこともあるのだと、ある意味勉強にはなったが。
「でも、もしこれが毒だったら……」
海の水がシュカにとって毒だった場合、すでに死んでいただろう。
もしものことを想像すると、背筋が冷やりとした。
興味がある、知りたいからといって、何も考えずに行動するのは控えるべきだ。
誰に怒られるでもなく、シュカは一人で反省した。
海の真上を飛んでいると、海中を泳ぐ魚たちがたまに海から飛び出して、その姿を見せてくれる。
シュカと同じ方向に向かって泳ぎ、まるでシュカのことを歓迎してくれているかのようだ。
魚たちの鱗がシャヘルの輝きを反射させて輝きを放ち、それがとても幻想的だった。
そして、数百咫(距離の単位)離れた辺りに、今まで見たことも無いほど巨大な何かが顔を覗かせているのを見つけた。
巨大生物もこちらに気付いたのか、突然水飛沫を上げる。
その光景は圧巻としか言いようがなかった。
付近に巻き上がった膨大な水の量に開いた口が塞がらない。
もう少し近くにいたら、びしょ濡れになっていたことだろう。
そして、飛沫が収まった頃には、巨大生物の姿もどこかへ消え去っていた。
「あの生き物が、どれだけ大きいのか知りたかったけど……」
初めて見る巨大生物は、激しくシュカの好奇心を刺激した。
おそらく、カロムならあれが何だったのか知っているだろうが、シュカの知識には無い生物だ。
あまりにも大きすぎるため、好奇心旺盛なシュカでさえ、不用意に近付くのはさすがに危険だと諦めることにした。
早朝に出発してから、シュカは慣れない長時間の飛行を続けていた。
サヴィノリアにいた頃は、長くても二、三時間程度の飛行が最長だ。
それ以上の長時間飛行をする体力があると思っていたシュカでも、なかなか近付く気配のない大陸の姿を見るだけで気が滅入りそうで、そろそろどこかで休憩をしたくなっていた。
「そんなに都合良く羽を休める場所なんて……」
――あった。
どこか寄る所がないか、シュカが周りを眺めていると、少し先に羽を休めるのにちょうど良さそうな小島を発見した。
そういえば、ゲオルキアまでに幾つか小島が見えてくるはずだと、事前にカロムから言われていた。
おそらく、そのうちの一つだろう。
一刻も早く休憩をしたかったシュカは、見つけた小島を目指して飛行速度を上げた。
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