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第6話「自信」

本職もあるため、更新遅めです……。

ご了承くださいませ<(_ _)>

 シュカがサヴィノリアに戻ってから、早くも二週間が経った。


 薬師と家族に止められた結果、氷魂草を取りに行く使節団に加わることはできなかった。

 だが、その想いはテムが代わりに引き継いでくれたようだ。


 使節団が運んできた氷魂草は国中の薬師たちのもとに運ばれ、大規模な特効薬作りが行われた。

 そして、急いで作成された特効薬はドルナやカロムのような若者たちが苦しむ民に届ける役を担ったらしい。


 彼らの活躍のおかげもあって、炎呪に苦しむ碧空の民の姿は一人もいなくなった。


 幸い炎呪によって亡くなった民はいなかったが、それでも自国が絶対に平和だと信じていた碧空の民に与えた衝撃は小さくなかっただろう。


 国の調査によると、炎呪を引き起こした原因は古代霊術の一種だったという。

 不審死を遂げていたという老婆が関与している可能性があり、引き続き調査が行われている。

 

 しかし、その目的などは謎に包まれたままだった。

 今思えば、ヤヒコから話を聞いた()()()()()()()()()という可能性もあったのだろうか。


 時間が経過するごとに、炎呪に苦しんだ民もいつも通りの生活に戻り始め、街の様子はすっかり何事も無かったかのように活気を取り戻している。


 身体の調子もすっかり良くなったシュカは、とある場所へ向かうことにした。

 そこはテムと何度も特訓した草原地帯だ。


「お、やっと来たか」

「テム、また無理言ってごめん」


 旅立つ前は特訓を最後にしようという話だったが、シュカが頼み込んでもう一度特訓に付き合ってもらうことにしたのだ。


「気にするな。俺だってシュカがどれくらい強くなって帰って来たのか、気になってたんだ。だから、今日こそ楽しませてくれよ」


 テムが剣を持っていない左手で挑発の仕草を見せる。

 今までのシュカなら、それだけですぐに熱くなっていたかもしれない。


「それは僕にもわからないけど、今日は勝たせてもらうつもりだよ!」


 シュカは地面を蹴り上げて距離を一気に詰める。

 そして、迷うことなく剣を一閃した。


 だが、その短剣は止められてしまう。

 簡単に止められてしまったように思えたが、テムの腕もかなり震えている。

 さらに彼の顔からも余裕が消えていた。


「おお! ちゃんと自信つけてきたみたいだな。だけど……まだまだだっ!」


 そう言ってテムが力を込めると、握っていた剣が風を纏い始める。


 シュカが身じろぎする間もなくそれは突風になり、剣が弾き返されてしまう。

 その衝撃を上手く利用して、一度距離を取ることにした。


「大丈夫。僕の力は、こんなもんじゃない……」


 危険な旅を経験したからこそ、シュカは多くのものを得た。

 それは決して強がりではない。


 さすがに馬威や冷備、忠猫のような強者には敵わないが、自分の実力に自信を持つことができた。

 今ならテムにも勝てる気がしている。


「テム、ここからが本番だから!」


 一度深呼吸をして気持ちを切り替えたシュカは全身に力を巡らせる。


 身体の中心から溢れる力は自分のものとは思えない。

 それは碧空の護り手に借りたあの力に似ている気がした。


「ふーん、そろそろ俺も本気を出さないとヤバそうだな」


 感心しているテムの様子も瞬時に変わった。

 戦いを楽しんでいるような雰囲気がありつつも、真剣な表情になっている。


 それからお互いに相手の様子見をして飛び出すタイミングを計る時間が続いたが、合図もなく一斉に距離を詰めた。


「今日こそは、勝つよ!」


 せめてテムと互角に戦えるようにならなければ、大切な人を守ることなどできない。

 あの時のように碧空の護り手が力を貸してくれるとは限らないし、自分の力で守れるようになりたかった。


「俺だってなあ、負けるわけにはいかないんだよ!」


 二人が振るった剣がぶつかると、甲高い音を響かせた。

 剣が衝突する度、技をぶつけ合う度、周囲に暴風が吹き荒れる。


 周囲の小動物たちは巻き込まれないように木々の陰に隠れたらしい。


 七転八起の覚悟を決めて臨んでいたシュカは、何度吹き飛ばされてもしつこく立ち上がり、テムに向かって行く。


「僕はまだ戦える!」

「引き際も肝心だぞ?」


 引くことは考えない。

 決着がつくまで諦めずに自分の力を出し切るつもりだった。


「これで最後にするから。今出せる全力でっ!」

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