8 レベルアップと魔法
警官達を倒して俺はレベルアップしていた。
名前:ナギ
種族:魔王
LV:2
AP:7
DP:30/400
肉体:F
魔法:G
速度:G
創造:G
練成:G
魅力:G
効率:G
情報:G
支配領域:4k㎡
スキル:魔王
隠密
レベルアップしたことでAPが5増えたな。
これで能力を上げることが出来る。
一方で俺の配下は全員レベル1のままだ。
これは俺が止めを刺しているからだろう。
ワームは【暴食】で経験値が多少入っているとは思うがまだレベルが上がっていない。
今は俺のレベルアップが最優先だから配下のレベルは上がらなくても大丈夫だ。
気にせずAPを割り振ろう。
メニューから【能力UP】をタップする。
AP:7
【肉体:F】
【魔法:G】
【速度:G】
【創造:G】
【練成:G】
【魅力:G】
【効率:G】
【情報:G】
今回からはどの能力を上げるか迷わない。
魔王自身特化の方針でやると決めている。
俺は【速度】を3回タップし、続いて【魔法】を3回タップした。
これでAP割り振りは完了だ。
ステータスをチェックしてみる。
名前:ナギ
種族:魔王(-)
LV:2
AP:1
DP:30/400
肉体:F
魔法:F
速度:F
創造:G
練成:G
魅力:G
効率:G
情報:G
支配領域:4k㎡
スキル:魔王
隠密
マジックウェーブ
マジックバリア
よし、ちゃんと【魔法】と【速度】がランクFに上がってるな。
しかも魔法を習得したみたいだ。
これは【魔法】のランクを上げたからだろう。
画面をタップして各説明を見る。
マジックウェーブ 魔法の波を発生させる。当たるとダメージを受ける。
マジックバリア 魔法の障壁を展開する。
「攻撃魔法だ!」
おっと、嬉しさのあまり口に出してしまった。
攻撃手段が増えるし、効率良く敵を倒すことが出来るからこれは嬉しい結果だ。
早速試し撃ちをしてみよう。
なんとなく魔法の使い方が本能で分かる。
俺は木に向かって念じる。
マジックウェーブ!
念じると同時に不思議な力が身体から抜け、青い光の波が木に衝突する。
バキンッ
バキッバキッバキッ
目の前の木がへし折れるも青い光の波は止まらず進行方向にある木々を折り倒していく。
「おおーっ、範囲攻撃じゃないか!」
今後1対多で戦う事が多くなるだろうから範囲攻撃は必須だった。
この序盤で習得出来たのはデカいな。
続いて俺の周囲に念じる。
マジックバリア!
俺を中心としたドーム状の透明な膜がスッと展開された。
どのくらい耐久性があるんだろう。
「スライム、このマジックバリアに向かって溶解液を噴き出せ」
スライムの溶解液がマジックバリアに直撃するも、通さず雲散した。
溶解液は人間の顔を簡単に溶かす威力があるのに完全防御してしまったな。
「ブラウニー、ストーンバレットをこのマジックバリアに向かって撃て」
ブラウニーが生成したストーンバレットがマジックバリアに向かって高速で直進する。
マジックバリアにストーンバレットが直撃して威力が落ちるものの中には入って来た。
「うおっと」
簡単にストーンバレットを避けることが出来た。
だが、マジックバリアは完全にブロックしてはくれなかったな。
これは俺とブラウニーの【魔法】ランクが同じFだからか?
他にも検証してみないとまだわからないな。
マジックバリアに頼るのは止めた方が良さそうだ。
【魔法】特化型の魔王やモンスターの魔法攻撃は簡単に通るだろうしな。
物理はどうだろうか。
「ワーム、このマジックバリアを食い破れ」
ワームの鋭い顎がマジックバリアを貫く。
が、頭ごとすり抜けてしまった。
物理は防げないか。
注意しないとな。
ピロロロロッ
魔法の確認が終わったタイミングでまたスマホが鳴った。
スマホを確認すると、今度の侵入者は15も居るみたいだ。
俺自身は奇襲ばかりでダメージも疲労も無いから連戦可能だ。
丁度良い。
魔法の力を試せる良い機会だ。
俺はほくそ笑みつつ、侵入者と戦う前に警官達を倒して獲得したDPでブラウニーを2体創造した。
前衛のスライムを増やすより、前衛と後衛のバランスを意識してブラウニーを増やした。
これで迎撃組の配下はスライム×2、ワーム×1が前衛、ブラウニー×3が後衛の小隊になった。
「侵入者を迎撃する!全員俺に付いて来い!」
配下に命令を下し、俺達は侵入者達の居る南西へと進む。
「軽いなっ!」
【速度】の能力を上昇させたおかげで身体が軽く移動速度が大幅に増していた。
配下達が全力疾走で付いて来ているのに対し、俺は少し早歩きしてるだけだ。
【速度】のランクGとFではかなりの差があることを実感した。
もし負けることがあっても相手より【速度】のランクが高ければ逃げ切れる。
敵の【速度】ランクが高ければ逃げられてしまう。
偵察要員なんかは厄介だな。
【速度】の重要性について考えていると、もう侵入者の集団を発見した。
侵入者は中年の男女15人だった。
また人類か。
まあどこの魔王も俺と似たような状況だろうし、初日からモンスターは攻めて来ないだろうな。
木に隠れながら侵入者を観察すると、全員丸腰だった。
全員が魔法に特化していると考えられなくも無いが、ダンジョンに侵入してるのに警戒しなさ過ぎるのを見るに恐らくまたシステムを理解していない帰宅目的の連中だろう。
中には元ご近所さんも混じっているかもしれないが俺は人間関係の記憶を消されてしまったので気にしない。
何でまだ帰宅しようとする人間がいるんだろうな。
実際にモンスターとか見たら流石にこの世界に起きた事を理解するだろ。
俺は皆殺しにしているが、他のダンジョンとかで情報を持ち帰れた人も居るんじゃないのか。
時間的な問題なのか知らないが、情報共有が遅れてるように感じる。
俺のスマホにある【掲示板】と【ツウィター】が人類側には無いのだろうか。
何にせよ俺にとっては有難い状況だがな。
考え事をしていると中年侵入者達がマジックウェーブの射程範囲に入った。
配下はまだ待機させておく。
俺の魔法が配下に当たるかもしれないからな。
先頭に照準を合わせて念じる。
マジックウェーブ!!
青い光の波が高速で中年達の肉に衝突し弾き飛ばした。
「う゛わ゛ーっ!!?」
15人全員が後ろに飛ばされ地に倒れている。
これが魔法の力か。
攻撃範囲が広い。
横幅10mはあるし進行方向に直進するから奥行の範囲は威力が殺されない限り広がる。
中年の1人を見ると捲れたシャツの隙間から抉れた腹が見えた。
威力も申し分ないな。
呻き声を上げてうずくまる中年達に向けて追撃を念じる。
マジックウェーブ!!
地面ごと中年達を弾き飛ばしながら青い光の波が突き抜ける。
侵入者達の身体は骨を無視してグニャグニャになり地面に転がった。
敵全員が戦闘不能になったのを確認して俺は石斧を構える。
ハイスピードで侵入者達に襲い掛かり、1人ずつ首を刎ねていったのだった。