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2 チュートリアル開始

視界が戻ると、見慣れた部屋が目に映った。


──ここは俺の自宅だ。


あの自称邪神は不都合な記憶を消したと言っていたが、自宅の事は覚えていたようだった。


特に荒らされた様子も無く、いつものマンション部屋という感じだ。


身体も特に異変は無く肌も人間そのもの。


あれ?さっきの邪神やら白い世界は夢だったのか?


ピロロロロッ


僅かな希望を抱き始めた時、近くで聞き慣れない着信音が聞こえて来た。


足元の黒いスマートフォンが鳴らしていたみたいだ。


手に取って画面を見てみる。


『【チュートリアル開始】』


と表示されている。


淡い希望が崩れ、警戒心と緊張が強くなる。


スマホを持つ手に手汗が出て来た。


やっぱりあの自称邪神が言っていた通り、人類やモンスターと命懸けで戦う事になるのだろうか…。


俺は少しの間の後、決心してスマホをタップした。


【ステータス】


【能力UP】


【ダンジョンマップ】


【配下創造】


【練成】


【ダンジョンリフォーム】


【領域支配】


【アイテム】


【掲示板】


【ツウィター】


【ランキング】


【クエスト】



『【ステータス】をタップしよう』



魔王にもクエストってあるんだな。


他にも気になる項目があるが、メニュー下部に指示が出ていたので、言われた通りにメニューから【ステータス】をタップする。



名前:ナギ

種族:魔王(-)

LV:1

AP:5

DP:400/400

肉体:G

魔法:G

速度:G

創造:G

練成:G

魅力:G

効率:G

情報:G

支配領域:4k㎡

スキル:魔王

    隠密


ゲームのようなステータスが表示された。


ナギは俺の名前だ。


これは俺のステータスということになる。


自称邪神が言ってたように種族が魔王となっていた。


RPGなどで出てくるようなあの魔王を指しているのだろうか。


俺は気になって種族:魔王をタップしてみた。


『種族 どの種類に属する存在かを示す』


『魔王 邪神に生み出されたモンスター、ダンジョンコアの権能と各種アイテムやモンスターを創造出来る』


ダンジョンコア?


そんなものはこの部屋には無い。


ダンジョンコアについては一先ず記憶の隅に置いて、他のステータス項目をタップしてみた。


『LV レベル。個体の成長を示す数値。ダンジョンに登録されている味方以外の存在を殺すことでLV上昇に必要な経験値が入手できる。1LVごとに5APを獲得する』


『AP アビリティポイント。消費することで各成長ステータスを上昇させる。LV上昇時に5AP獲得』


『DP ダンジョンポイント。現在値/上限値。消費することでダンジョンの権能を行使出来る。ダンジョンに登録されている味方以外がダンジョン内で死亡するか、支配領域に応じて自然回復する。上限値は支配領域の面積で決まる』


『肉体 身体の力と耐久、スタミナを示す』


『魔法 魔力、マナ、魔法耐性を示す』


『速度 身体速度、発動速度、生産速度を示す』


『創造 配下創造など、ダンジョンの権能に影響する』


『練成 武器、防具、アクセサリーの練成に影響する』


『魅力 容姿、運、説得、交渉に影響する』


『効率 DPコスト、マナコスト、スタミナコストに影響する』


『情報 有益な情報を得られる』


『支配領域 魔王が支配しているダンジョンの総面積』


『スキル 個体が所有する技能、魔法、特性が表示される』


なるほどな、APを割り振って各能力を上げるってわけか。


APはレベルアップで入手出来るらしいから、人間やモンスターを倒してレベルを上げるほど強くなると。


本当にゲームみたいだ。


謎の力で俺の身体とスマホがリンクしているのか、それともこういうただのスマホゲームなのか、まだわからないけどね。


支配領域の数値をみると、俺は4K㎡のダンジョンを所有しているらしい。


実感は湧かないが俺はもう既にダンジョンを支配している魔王というわけか。


DPなんていうのがあるくらいだからダンジョンの権能で沢山出来ることがあるのだろう。


そうなると効率が気になる。


こういうのはゲームなんかでは序盤で伸ばしておくと結果的に膨大な差が付く場合がある。


効率はどのくらいコスト削減してくれるんだろうな。


低ランクだと期待出来ないだろうけど、ランクを上げるとどれくらいお得なのか知りたい。


知るといえば情報だな。


一体どんな情報を得られるのか、という情報を今欲しいよ。


一通りステータスを確認し終えると、画面下部に表示されている『APを割り振ろう』をタップする。


『メニューから【能力UP】を選択しよう』


指示通り【能力UP】をタップする。


『上昇させたい能力をタップしてAPを割り振ろう』


 AP:5

【肉体:G】

【魔法:G】

【速度:G】

【創造:G】

【練成:G】

【魅力:G】

【効率:G】

【情報:G】


このスマホが俺の身体とリンクしていると仮定して、何を伸ばせば良いのだろうか。


取消などのボタンも無いし、一度割り振ったら元に戻れないだろうな。


慎重に考えないと。


1つの選択が俺の将来に大きく影響するかもしれない。


根本的な事から整理してみる。


この世界にはレベルという概念があった上で弱肉強食らしい。


他者との差というのはレベルアップの速度にあると思う。


能力のランク差があれば勝負は明白になると考えているからだ。


現在俺のレベルは1で、全ての能力ランクがGになっている。


アルファベットの逆順にランクアップしていくなら、GからAまで7段階のランクしか存在しないことになる。


1つのランク差が実際の戦闘能力に大きく影響する可能性が非常に高い。


競争相手より如何に早くレベルアップして能力のランクを上げれるかが重要になるだろう。


素早くレベルアップ出来る能力にAPを割り振れば良い話だが、1つ疑問に思う。


配下が敵を殺すと俺に経験値が入るのだろうか。


もし俺が直接殺した時と同じ量の経験値を配下が殺しても貰えるなら、魔王が【肉体】と【魔法】に割り振る必要は一切無くなってしまう。


【創造】に集中してAPを振れば、【肉体】と【魔法】にAPを割り振った時と比較してレベルアップ速度で圧倒的に差が開いてしまうだろう。


だとすると魔王のステータスに【肉体】【魔法】は必要無いが、俺のステータスには存在している。


【肉体】【魔法】が存在しているのは配下が敵を殺しても魔王に経験値が入らないからじゃないかと思う。


まぁ配下が殺しても何も俺は経験してないんだから経験値が入るのは言葉の意味的にもおかしい。


魔王本人が敵を殺さないと経験値が入らないのであれば、それはそれで【肉体】【魔法】が強くなってしまうが、だからこそ【創造】の力を底上げする為に【練成】【効率】【魅力】のステータスがあるんじゃないかと思う。


【創造】を中心に伸ばす場合、配下で敵を弱らせて魔王が止めを刺す育成システムになる。


魔王自身が怪我や死亡するリスクが極端に減り、休息の時間を短縮できるメリットが考えられるが、配下が死ぬと都度補充しなくてはならず強敵と連戦出来ないデメリットも考えられる。


もし即回復する手段があるならば、怪我で休息を取ったり連戦出来ないリスクを恐れる必要が無くなるから【肉体】【魔法】を伸ばす方が有利だが、配下も即回復出来るから【創造】が見劣りすると断言出来ない。


回復に回数やコストの負担があるのなら、耐久に優れた盾役の配下を集中的に回復させれば良いかもしれない。


では魔王自身特化が良いのか、配下特化か、それとも両方上げる万能型か、何がベストだろうか。


こういう事は早合点せず、もっと様々な角度で考えるべきだ。


もし俺が配下特化の道を選んで敵の魔王自身特化と長期戦になった場合はどうだろう。


俺が前線に出ると確実に敵の魔王に狙われる。


俺は安易に前線へ出れなくなり経験値が入らない状況が続くのに対して、魔王自身特化は前線に出まくって経験値を稼ぎ差が開く。


その場合配下特化の俺は敗北するだろう。


魔王自身特化にすると主戦場に出続ける為、ヘイトが高くなるし死亡リスクも高くなる恐れがある。


更には敵の罠に掛かると上手く撤退出来ず一度の敗北が死に繋がる可能性も考えられる。


配下特化にすれば、戦いに敗北しても魔王が死にさえしなければ配下を補充して再編成出来るし、怖い戦場に出なくて済む。


きっと多くの魔王は死のリスクを恐れて配下特化を選ぶだろう。


俺はどうだろうか。


もし魔王自身特化の方が強くなるのならば迷わず【肉体】【魔法】を中心に伸ばす。


生きる為に死のリスクを負う覚悟はある。


だが現時点では実際に検証してみない事には分からないことが多い。


本当に魔王自身特化の方が強くなるという保証が無い。


【情報】を上げても欲しい情報が手に入るか不明だ。


…。


検証したい事をまとめてみる。


一つ、敵の装備アイテムは奪えるのか。


二つ、単位時間あたりの配下生産量


三つ、回復手段と蘇生手段の有無とレアリティ。


四つ、格上相手に少しでもダメージは通るのか。


五つ、バフの有無とバフの性能。


六つ、範囲攻撃の最大範囲。


七つ、魔法や遠距離攻撃の射程範囲。


八つ、チート級スキルの有無。


九つ、種族差と個体差の度合い。


どれもAPを振る前に知りたい事だが、チュートリアル中の今は前の画面に戻れない。


配下創造や他の機能を使えず検証できない状況だ。


結局俺は憶測で決めるしかないのか。


悩みに悩んだ末、俺の出した結論は…魔王自身特化だった。


意を決して【肉体】をタップする。


APは5から4に減っているのにタップした【肉体】がGランクのままだ。


次のランクアップまでに必要なAPが2以上なのだろう。


ランクアップするまで【肉体】をタップする。


「おっ!上がったっ!」


 AP:2

【肉体:F】

【魔法:G】

【速度:G】

【創造:G】

【練成:G】

【魅力:G】

【効率:G】

【情報:G】


どうやらG→Fは3AP必要だったみたいだ。


そうなると残りのAPを他の能力に割り振ってもランクアップしないし、【肉体】に割り振ってもランクアップする訳無い。


残APは一旦保留にしておくことにして次のチュートリアル『ダンジョンをリフォームしよう』を進めるのだった。

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