表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/32

16 モンスターが攻めて来た

俺は荒野のダンジョンを出て東へ飛んでいる。


淀川を越えて枚方へと侵攻するつもりだ。


ファイアストーム!!


進行方向に人類の集団を見つけると片っ端からファイアストームを撃っていく。


そろそろマナが減って来たな。


一旦道路に降りると離れた距離から青いオーラに包まれた氷の(つぶて)が飛んで来た。


俺は軽く避け、アイスバレットを撃って来たおじさんに魔王の剣を振るう。


ロングスラッシュ!!


俺に気付いて逃げるおじさんを遠くから斬る。


「うわぁっ!?足がっ!」


ワザと足を斬り飛ばし動けない状態で生かしておく。


斬られたおじさんが痛みにもがく中、俺は魔法を発動する。


マナドレイン!


おじさんから青い光が噴き出し、俺に吸い込まれていく。


身体に流れていたスースーするような謎エネルギーが満たされていく。


不思議な感覚だ。


いつも魔法を使っている時はあまり感じられなかったが、マナドレイン中はマナの存在を強く感じられた。


ピポポピポポ


マナドレインが終わったタイミングでスマホが鳴った。


あれ、こんな着信音だったっけな。


不思議に思い、スマホを見るとコウヤからの電話だった。


すぐに受話器のマークをタップして応答する。


「どうした?」


「ナギ様、申し訳ございません!私めの不甲斐なさ故に貴重なナギ様の僕を半分失い劣勢の状況に陥っておりますっ」


「何っ!?お前が居て半壊だと!?」


コウヤの【魔法】ランクFで倒せず劣勢になるような相手、もしくは集団が俺のダンジョンに攻めて来たとうことだ。


「さ、左様にございますっ、私への懲罰は後程必ずお受けしますが、現在ナギ様のダンジョンコアが危機的状況に御座います故、何卒早急にご帰還願いますようご連絡致しましたっ」


俺は全速力で飛翔しながら通話する。


「1分程で着く!何としても持ち堪えろ!!そしてコウヤは絶対死ぬなっ!!」


「か、必ずっ!!」


通話を切断し、自分のダンジョンがある西へと爆進する。


スマホで俺のダンジョンマップを見ると、ダンジョンコアの部屋の入口付近で5つの赤丸と8つの青丸が入り乱れ交戦しているようだった。


まさかこのタイミングで力のある存在が攻めてくるとは。


考えられるとしたら俺がまだ攻めていない西側、つまり茨木方面か。


くそっ、まずは全方位で暴れて近くに強者が育たないようにするべきだったか。


まだ世界が生まれ変わって1時間50分程度しか経過してないから大丈夫だと決めつけていたな。


俺の予想では2時間を越えてから目立つような強者が湧く流れだった。


予想が外れたな。


反省していると、俺の森ダンジョンに到着した。


そのまま全速力で交戦中のダンジョン中央へと飛行する。


魔王の剣を構えて闇のオーラを刃に纏わせると、侵入者が見えた。


ロブスターの殻を装備している人型のモンスターが中心となったモンスターの集団だ。


周りにやたら腕と(はさみ)が大きい青い蟹のモンスターが2体おり、ザラザラしていて硬そうな灰色の皮膚を持つ巨大なカエルのモンスターが2体居る。


5体のモンスターがコウヤと巨大な黒いアリを攻撃している最中だった。


ロングスラッシュ!!!


最大射程距離の30m付近から斬撃を放つ。


堅牢そうなロブスターの殻を斬り裂き背中から青い血が噴き出す。


俺の斬撃が貫通せず止まっただと!?


だとするとあのロブスターのモンスターはランクD~B相当だ。


深手を負わせることが出来たのを見るとランクDぐらいか。


5体の侵入者が一斉にこちらを向く。


近くのコウヤに当たる恐れがあるので魔法は使えないし、範囲攻撃のブレードダンスも使えない。


ブリンク!!


俺は侵入者達の背後へと瞬間移動した。


イリュージョン!!


6人の分身が出現し俺が7人になった。


侵入者が急に増えた俺に動揺する中、俺は剣技を使う。


パワースラッシュ!!


7人の俺が同時に侵入者へと斬りかかる。


ブシュウウッ


俺が狙ったロブスターのモンスターは首が飛び血を噴き出しながら倒れるも、弱体化されている分身の俺に斬られた他のモンスターは傷が浅かった。


1体葬ったぞ、こちらが優勢だ!


畳み掛けるためにスタミナを消耗するスキルを使う。


レイジパワー!!


俺の全身に赤いオーラが吹き荒れて体が一回り大きくなり、力が溢れ出す。


不意を突かれた後、態勢を反転させて蟹とカエルのモンスターが反撃してくる。


カエルの口から大砲のように泥が放たれ、ヒットした分身の俺が吹き飛ばされる。


俺は蟹の(はさみ)を躱しつつ剣技をお見舞いする。


トリプルスラッシュ!!


高速の剣が3回周囲を斬り、2体の蟹と1体のカエルを一瞬で真っ二つにした。


最後に残ったカエルの首目掛けてパワースラッシュを放つ。


ブシュウウッ


切断されたカエルの首から紫の血が噴出し、亡骸が地面に倒れた。


ポンッと俺の分身達が消え、レイジパワーのオーラも消すと、コウヤに駆け寄った。


「コウヤ!無事か!?」


「も、申し訳ございませんっ!ナギ様の貴重な僕を私は…」


「コウヤの状態を聞いてるんだ、無事か?」


「は、はいっ、私は軽傷で済みました」


「ふぅ、なら良かった…今回の事態は俺のミスだからコウヤが気に病む必要は無い」


コウヤの眷属化に400DPもしたし、経験値を全部吸わせてるんだからな。


死なれたら俺が大損する。


本人には言わないけど。


「と、とんでもございません、私めがもっと早く侵入者の強さに気が付いていればこんなことには…」


「いやいや、俺が西も攻めていれば良かったんだ、全方位攻めると侵入者が減ってコウヤが育ちにくくなっただろうがこんな危機的状況にはならなかったさ」


「そんなっ、ナギ様に落ち度はございませんでしたっ、私の不甲斐なさで…」


「何にせよ俺の言付け通りにコウヤが生き残ってダンジョンコアも守られたんだ、問題は無いさ」


「しかし…」


「そういや、そこのデカい(アリ)はもしかして元ワームか?」


「…は、はいっ、少し前に死体を喰い漁るワームが進化して(アリ)のモンスターになりました」


早いな。


死体を食べるだけで経験値を獲得出来るというのはやはり優秀だ。


(アリ)となった配下のステータスを確認しようとスマホを操作すると、メッセージが表示されていた。


『進化が可能になりました、このメッセージをタップして進化先を選んでください』


俺は指示通りメッセージをタップする。


【グレーターデーモン 肉体と魔法のバランスが良い種族】


【ジン 魔法が得意な種族】


【イフリート 火属性が得意な種族】


【ベリアル 強靭な肉体を持つ種族】


【アザゼル 特殊な特性を持つ種族】


【ソウルコレクター 伸び(しろ)がある種族】


これは悩むな。


候補の種族は3つだ。


グレーターデーモン、アザゼル、ソウルコレクター。


グレーターデーモンは俺の成長方針と合ってるから候補に選んだ。


この説明を読む限りだとステータスに表示される能力と種族の能力が別々に設定されているように思う。


同じランクの能力同士でも種族が違えば強さに差が生じるんじゃないかな。


俺は【魔法】と【肉体】の能力を上げているからグレーターデーモンは適していると言える。


アザゼルは特性が強いなら魅力的だと思う。


ソウルコレクターの伸び代というのも気になる。


アザゼルとソウルコレクターのスキルを知れたらな…。


チラッとコウヤを見る。


「?如何なさいましたでしょうか?」


「いや、何でも無い…」


コウヤはまだ【情報】を伸ばしてないから頼れない。


どうなるのか想像出来るのはグレーターデーモンだけだ。


まぁここで一か八かの賭けに出るような事はしなくて良いか。


俺は決心して【グレーターデーモン 肉体と魔法のバランスが良い種族】をタップしたのだった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ