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夢の世界とアガーレール! 第二部 ―青空かすむ怠惰の魔女―  作者: Haika
第二部 ―青空かすむ怠惰の魔女―

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次こそは、勝利の瞬間を収めたい!

 あの奇妙なバイオームは、また時間がある時に立ち寄ろう。

 今はサンドラさんもいる事だし、早くあの暗黒城の問題に片を付ける事の方が先だ。


 なんて、前まで自信を喪失しかけていた一護衛が言うのもなんだが、今の僕はいつも以上のやる気に満ちていた。

 危険地帯へのゲートが再び閉じられ、王宮に戻った僕達は他住民に妖精の件をフライングしないよう、今回の出来事を報告する。特にノアとキャミの2人には最優先で、サンドラの能力の活用法を伝えたものだ。


「なるほど! サンドラさんの開花で、チアノーゼの魔法を無効化しようという作戦か! 魔王級の技も花に変えられるのなら、一気にこちらが有利になるな」


 と、ノアが納得した表情で指パッチンをした。

 キャミはというと、僕達が出かけている間に、自分達のギルド内で集めてきたのだろうガラクタや木材を見つめながら、考える仕草で顎をしゃくっている。

 ガラクタなんか集めて、一体どうするんだ? と疑問を抱く人もいるかもしれないが、長いこと交流のある僕からすれば「あーあれか!」とすぐ察せるものであった。


「もしかして、DIY…?」

 僕は念のため、自ら立てた予想を口にする。

 すると2人とも縦に頷いたので、答えはYESであった。


「フェブシティから持ってきてもらった素材や、この大陸で採掘できる鉱物、あと木材等を使って、元きた世界と同じものが作れると思ってね。幸運なことに、あのジョナサンがスマートフォンを持ってきているから、電波の仕組みについてもおさらいが出来る」


「なるほどね。その様子だと、これから作るのはパッケージかな?」


「一応、そのつもりだよ。仲間特有の能力を、俺達もシェアできるようなイヤホン型デバイスを開発したい。丁度いいタイミングでサンドラさんも解放されたところだし、従来のテレパシーと透視の機能に加え、『魔法無効化』も使えるようになれば、それが理想かな」


 と、笑顔で答えるノア。

 それだ。サンドラとノアだけでなく、僕達仲間全員がその「魔法無効化」を駆使し、敵が出す強力な魔法を「お花」に変えられれば、どれだけ心強いことだろう。


「キャミはずっと何か思い悩んでいる様だけど、どうしたの?」

 僕は次に、キャミが資材を見ている様子を気にかけた。

 よく見ると、積まれている資材の山の横に、あの泉の岩で見かけた様な、ぐにゃぐにゃの線や丸の文字らしきものが書かれた紙が置かれている。


 未だ謎だらけのその文字。きっと、この天才赤毛のイケメンくんが解いちゃうのかもね。


「王宮に頼んで、地下博物館に展示されている石碑の文字を手書きでコピーしてもらった」

「そうなんだ? それ、解読できそう?」

「いや、まだだ。情報が少なすぎる。だから、博物館の改装工事が終わり正式にリニューアルオープンするまでの間に、他にやれる事をやろうかと」

「そうか」

「あ。セリナに、折り入って頼みがある」


 え? と、僕はキャミのその切り返しに驚いたものだ。

 サンドラの能力やDIYの件で、僕の方から話しかけたわけだけど、まさか頼まれるとは思っていなかったから。一応OKだとして、キャミからの頼みはこうであった。


「パッケージ開発の資料が欲しい。ジョナサンの、スマートフォンを持ってきてくれ」




 ――――――――――




「はい、チーズ♪」

 パシャリ!


 という、機械的なシャッター音が広場から木霊した。

 一体、何の撮影が行われているのやら… なんて、僕がキャミに頼まれ探していたスマートフォンを早速見つけたわけなのだが、そこではサリバとイシュタが楽しそうに、そのスマートフォンで自撮りをしていたのであった。


「おーい、早く返してくれよー。俺も使いたいんだよー。ネットもNINEもないけど」

 と、四阿にはその持ち主であるジョンもいるのだが、手指にはグルグルと包帯が巻かれていて不自由だからか、すごく退屈そうである。僕は挨拶した。


「やっほー。サリイシュ楽しそうだな、もうそのスマホ使い慣れたの?」

「うん! これ1台で、好きな写真が何枚も撮れるから、もう楽しくて楽しくて。あとはこれを、編集アプリに移してキラキラに加工♪ っと」


 と、引き続き慣れた手つきで画面をタップしていくサリバだが、もうやる事が完全に現代っ子のそれ。

 異世界の、それも和風ファンタジーの世界観でスマホいじりという、何とも不思議な光景だが、文明の利器に頼りがちなのはどこの世界も一緒なんだろうなとしみじみ。

 ところで、


「それなんだけど、キャミに今から持ってきてほしいって頼まれたんだ。これから、俺達が魔法を使うのに役立つマシンを発明するからってんで、そのための資料が欲しいんだと」

「「えー」」

「マジか! その感じだと、もしかしてパッケージ?」


 と、ジョンも察しが良いもので僕はコクリと頷いた。

 すると、サリイシュがしょんぼりとした表情で、イシュタがスマホを持ってこういう。


「これ、また使えるようになるよね? 合成に使われて、原型を失うとかないよね!?」

「いや、そんなの俺が一番困るんだが!?」


 と、ジョンからのキレッキレなツッコミ。

 ケガで療養中とはいえ、こうして外に出て、イシュタからスマホを返してもらうために動いていける辺り、根本は変わらず元気そうで安心した。



 というわけで、あっさりジョンからOKをもらい、僕達は来た道を戻る事に。

 サリイシュは先の撮影で遊び疲れたのか、一軒家へ戻っていく姿を見たけど…


 妖精さんの件、教えておくべきだったかな。

 いや。とにかく、今は剣を持ちつづける生活よりはマシということで。




 ――――――――――




「やっほ~♪ セリナ久しぶりだね~」


 キャミ達のいる祭礼ギルドに戻り、ジョンがスマホをノアに提示している所で、次に顔を出してきたのはマリア。

 海辺での食料調達を終えたのか、彼女が荷台で運んでいるケース内には、これでもかと大量の魚が入っている。海に入ってからのビリビリ技で魚達を感電→捕獲したんだろうな。


 マリアはノア達が何をしているのか、すぐに気づいたようだ。


「お!? その感じ、もしかしてパッケージ作り!?」

「うん。この世界でも、パッケージの開発に必要な素材が手に入る事が分かって、急ピッチで作業を進めている所だよ。この移行作業さえ済めば、あとは皆の力を借りるだけ」

「そっかぁ、楽しみ~! ところでジョナサンさ」


 と、ここでマリアがこの場を去ろうとするジョンに話しかけた。

 ジョンが「お?」と振り向く。マリアは、ノアがコード接続している最中のスマホの画面を覗いているのだが…


「あなたのスマホ、どうして画像ファイルがアゲハだらけなの? 一体何枚撮ってるのさ」

「え!? あ、ホントだー!! て、いや違う違う、俺じゃない! 誤解だ! あの若者2人だよ写真撮りまくったの!! あいつらぁぁ~!!!」


 と、ジョンが赤面に慌てる。この場にいる僕達は大爆笑した。

 僕も気になって画面を覗いてみると、確かにフォトの一覧がずらーっとアゲハの姿ばかり映されている。確実にサリイシュの仕業だ。マリアも一応は分かっているみたいだけど。


 にしても凄い数だな。僕がジョンの立場なら、アゲハも少しは断れよと思ってしまう。


(つづく)

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