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0日目

『いよいよこの日がやって参りました』


 キャスターの高村さやちゃんだ。私の推しである。今日もお美しい……

 さやちゃんのご尊顔を拝むために毎朝7時に起きて朝の『目が覚めテレビ』を観ていると言っても過言では無い。他に意図は無い。おかげで、毎朝ニュースをチェックしてるにも関わらず私は今の総理大臣の名前も知らない。


 …………はて?


 総理大臣は知らなくても私はそこまでお馬鹿ちゃんでもないので、鮮明に目の前に映るさやちゃんに疑問を抱く……


 私がベッドに入ったのは2023年幕開け直後……除夜の鐘からのスヤァ…をキメたはず。1日8時間睡眠を旨とする私が朝の7時に起床できるはずがない。

 なのになぜ、7時に私は『目が覚めテレビ』を観てるんだ……?


 自宅リビングに相違ない空間で愛しのさやちゃんとハイビジョンを介して対面している私はさやちゃんはなぜヘルメットを被ってんだよ?ということに気づいた。


 テレビでニュースキャスターが深刻な顔してヘルメットを被ってるなんて…それこそ地震とかの災害を報じる時…………


『本日令和5年4月10日午後8時、問題の未確認天体が地球に衝突するとみられるとNASAから正式な発表がありました。天体の大きさは直径10キロにも及び--』


 …………ん?


 さやちゃんの後ろのモニターに映し出されるのは問題の未確認天体とやらの衛星軌道の図……らしい。

 そいつは図の中で地球に向かう点線を正確になぞって直進し……


『ので、本日が地球最後の日です』


 ………………んん?


『皆さん、ありがとうございました』


 ……………………んん?


 …………………………あぁ、そうか。

 これは夢か……

 初夢ですね?

 初夢で高村さやちゃんを拝めるなんて今年はとってもいいことが起きそうですね。



 ……これ



 夢です。

 だって、地球最後の日がこんな雑な感じでお知らせされるはずないもん。

 てか地球最後の日とかイミワカンナイ。概念じゃん、それ。



 …これ、おぬし



 誰だようっせぇな……



 わしじゃ



 だから誰やねん。



 わしは神様じゃ



 嘘である。神様は自分で神様ですとか言わんし。てか自分に「様」付けるとかイタすぎ。この世で電車の座席に鼻くそ擦り付けてる人の次に関わりたくない人じゃん。



 嘘では無い。わしは神様じゃ。おぬしの夢の中から語りかけておるのだ



 黙れ、折角いい気持ちで初夢見てたってのにふざけるな。お前誰だ。



 だから神様じゃ



 名を名乗れ。



 …神に向かってなんと不遜な小娘か…名か……わしに名などないが強いて言うならばあらゆる時空に接続する神……全ての時空そのものとでも言うて--



 いや名前を名乗れって言ってんだよ。



 --……………………じゃあヨ--



 時空さんで。



 時空さん!?



 で?なんスか?折角新年早々縁起のいい夢を見てるのでくだらない茶々入れてくるのやめてもらっていいですか?



 貴様…いい加減に…………まぁいいわ。小娘よ。おぬしに今見せておるのはただの夢では無い



 初夢でしょ?



 そういうことでは無い。先程の光景を見たであろう?あれは現実……正確にはわしが繋げた未来の光景……実際に起こる事なのじゃ…



 …………へぇ。



 反応薄っ、おぬし今の夢ホントに見とったんか!



 なんか地球最後の日とか言ってましたね……



 つまり、そういうことなのじゃ



 ………………



 ………………



 ……………………まじ?



 まじ



 つまり今のは正夢で、今年の4月10日に地球が最後ってこと!?



 ……その日地球に招かるざる客が訪れる…そして人の世は混沌に落ちるであろう……落ちるといいな……



 …………へぇ……………………



 だから、反応薄



 夢だしな……



 正夢言うとるやろがい。いい加減にしないとシバき倒すぞおぬし。人が折角親切で見せてやったって言うのに……



 そんなこと言って、みんなに見せてあげてるんでしょ?



 そんなことないわい。おぬしだけじゃ……



 ほんとぉ?



 ほんと



 …………へぇ。



 もうちょっと嬉しそうにせんか貴様…まぁつまりそういうことじゃから、よろしく



 いやいや……よろしくって……よろしくされてもですね?私にどうしろと言うのですか時空さん。



 それはおぬしが自分で考えるのじゃ……では、その日を楽しみにするがいいぞ…………わしはこれで消える……さらばじゃ…………



 いやちょっと待っ--



 その時、いつの間にか薄ぼんやりと白いもやがかかってた視界が急激にクリアになっていく。

 先程までリビングでテレビを観ていたはずなのに、もやの先には満点の星空がいつの間にか広がっていた。


 そして、燦然と頭上の海原に輝く何万光年先の光たちの隙間を縫うように“それ”は向かってきた…………


“それ”は流れ星に見えた……

 星空を映したみたいに夜闇に輝く地上の星達に向かって、飛来物は光る尾を引いて真っ直ぐに落ちていく…その光は夜空を揺蕩う星々の光が見えなくなるくらい夜の空を真っ白に照らしていた…………



 …………そして--



 うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!

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