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断章4
断章
私はこんな事を望んだのではない。
ではなぜ我の言葉を聞いたか。
お前のする事が、こんな事とは思わなかったからだ。
それは己の甘さよのう。
その言葉は甘んじて受けよう。だが、民を返してくれ。
それは出来ぬな。我の力のもとゆえ。
ならば、私一人を使え。
お前一人で何が出来る。我にさえ縋ったおまえが。黙ってみておれ。自らの領地が徐々に無くなる姿をな。
私には民の代わりは出来ぬのか。
先ほどから何を聞いている。出来ぬと申しているだろう。
では私はどうすればよい。
黙って見ているのだな。それしか出来まい、お前には――――
――――誰か助けてくれ。
カントルイの町が死んでしまう!