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断章3
断章
「おかあさん!」
子供が悲鳴を上げた。
「チェリス!」
母親が子供の名前を呼んだ。
子供の体には白い糸が巻き付いていた。
母親は必死にその糸を取り除こうとする。だが、糸は切れずどんどん巻き付いていく。
「おかあさん……」
子供の声が段々小さくなってゆく。
そして、とうとう子供の声が消えた。
「チェリス!」
母親が子供の体を揺する。が、反応が返ってこない。
「チェリス!」
再び呼びから体を揺するが、かくかくと動くだけだった。
そうしているうちに、今度は自分の体に糸が巻き付いている事に気づいた。
両の手で解こうとしても取れず、どんどん糸が巻き付いて行く。
「チェリス……」
母親も子供と同じ運命を辿る。
「チェリス……」
子を呼ぶ声は、だんだんと小さくなり……
――――聞こえなくなった。