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〈1〉子狼3兄弟

 朝日が昇ってきた気配がして、目を開ける。ググッと丸まっていた体を伸ばして、隣を見る。右にはくかーっとお腹を出して、よだれを垂らしながら寝ている子狼が、左にはスピスピと鼻を鳴らして眠っている子狼がいた。


「おおーい、もう朝だよ。早く起きてー」


 隣にいる2匹を叩いて言うと、左にいた子狼は、すぐに起きた。


「…ん…おはよう、ルーク」

「おはよう、セオ」

「…父さんと母さんは?」

「もういないよ」


 そんなことを言いながらも、パシパシと叩き続ける。


「…ギルは、まだ寝てる?」

「うん、手伝って」


 今度は2匹で叩き始める。すると、今度は反応があった。


「うぅ……あと、5分……」

「ダメだよ。もう母さんも父さんも起きて巣穴にいないよ?」

「じゃあ、せめてあと1時間だけ……」

「もっと悪くなってる!!」


 一向に起きる気配のない子狼――ギルに、僕とセオは顔を見合わせる。


「どうする?

 このままじゃ、ご飯がなくなっちゃう」

「…ギル、置いてく?」

「いやいや、そうしてもいいけど、そうしたらギルが拗ねる」

「…拗ねたギル、面倒臭い。

 …鼻塞ぐ?」

「そうしよう!」


 ギルの鼻に前足をのせる。もちろん、口を開けないように、セオに閉めてもらってる。


「…………ブハァッ!!」


 ギルがもがき始め、目がカッと開く。そして、それと同時に手をサッと退ける。


「おい!!いつも鼻塞ぐなって言ってるだろ!!」

「だって、ギルが起きないから」

「だってじゃねぇ!!他にも方法があるだろうが!!」

「…ギル、他の方法だとあまり起きないでしょ。

 …これだと確実だし」

「グッ……!!あれ、母さんと父さんは?」

「もう外」

「ゲッ!!飯食べられなくなるじゃん!!」

「…だから急いだんだよ」

「早く行こーぜ!!」


 3匹揃って外に向かう。


 僕の名前はルシエル。少し前を歩いている子狼が、ギリアム。隣を歩いている子狼が、セオラン。僕たちは兄弟で、ギルが1番上、僕が真ん中、セオが末っ子なんだ。


 僕たちの巣穴は、洞窟の中にある。この洞窟にはたくさんの生き物が暮らしていて、一緒に住んでいるんだ。


 洞窟から出ると、僕たちの何倍もありそうな黒い狼と、それより少し小さい銀色の狼がいた。その2頭を見つけた僕たちは、その足元に駆け寄った。


「ギル、ルーク、セオ。今日はいつもより少し遅かったわね」

「ギルがいくらやっても、起きなかったんだ」

「…5分て言ってたのに、1時間になってたし」

「あらあら」


 銀色の狼がクスクスと笑う。僕たちの母さんだ。おっとりしていて、いつも僕たちの相手をしてくれる。

 その隣にいる黒い狼が、僕たちの父さん。無口であまり喋らないし、見た目もちょっと怖いけど、とっても優しいんだよ。ご飯を毎日捕ってきてくれて、時間が空いていたら一緒に遊んでくれるし、よく毛づくろいしてくれるんだ。


「ほら、ご飯だ」


 父さんが用意してくれたご飯に3匹で群がる。ご飯を食べ終わったら、食後の運動として洞窟の入り口周辺を駆け回って遊ぶ。今日は追いかけっこをした。その後、父さんについて行って狩りの仕方を教えてもらう。ギルが凄く張りきってた。狩りを終えてご飯を食べたら、今度は巣穴の中でお勉強の時間だ。母さんは物知りで、色々なことを教えてくれる。他の生き物のことだったり、食べられる草についてだったり……。そうそう、人って生き物についても教えてもらった。


「今日は私達の種族についてよ」

「種族?」

「ええ、正確にはステータスについてね。ステータスというのは、生き物全てが持っているその生き物の情報よ。体力だったり、魔力、あとは素早さや防御力なんかも記されているの」

「俺たちにもあるの?」

「そうよ。ステータスは、私達にとってとっても大事なもの。他にも名前や種族、年齢に職業、あとスキルや称号なんかも載ってるの。何故大切か分かる?」

「強さが分かるから……?」

「そうね、それもあるわ。他にもあるんだけど、わかるかしら?」

「…個人情報がバレる」

「正解よ!個人情報というのはとっても大事。これがバレたら、すぐに誰だか特定できちゃう。だから、今日は自分のことについてしっかりと把握しときましょう」

「わかった!!」

「はーい」

「……ん」


 母さんの言葉に、僕たちは大きく頷いた。

主人公は2番目に生まれた子狼でした!!


次はルークたちのステータスです。

親であるフェンリルとケルベロスも子どもたちの種族をよくわかってません。

なんとなくそうだろうな、程度です。


さて、ルークたちの種族はなんでしょうか?

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