or The Future Trotsky
♪優しい呪文
きの心種
香水が靡く
口の中 広がる
思い出す あなたの
透明な影
こうやってながむ
狂って転がる
考え出す あなたを
どうしてかなぜ
灰色の曇りの中で
彷徨う稀人
考えてもわからない
でもね知りたいよ
風鈴に重なって
あなたに聞いてみる
風前の叶えを手
わたしは持っているから
こころのドアをばノックする
言の葉の中に
呪いをうつして
考えを読み取ろう
聞こえるかな
あなたの脳 鏡のように
見つめているけど
わからなくて今日もまた
溜息してやる
金色の花を見て
笑顔を出していた
気持ちの葉 まだ枯れて
いないよ輝いている
諦めずいつかかけていく
風鈴に重なって
あなたに聞いてみる
風前の叶えを手
わたしは持っているから
こころのドアをばノックする
さりげない思いほど
大きな芽を出すの
この種はあの空に
どんな絵を描いてくの
楽しみにどこか待っている
こころのドアをばノックする
「MEGUMIちゃん」
「MEGUMIちゃんだ!」
男達は私のことなど忘れたみたいに緑色のBK117を見上げている。ヘリコプターから体を見せているのは歌手のMEGUMIである。デビューした途端たちまち絶大な人気を博した謎多きアイドルであり、彼女の歌を聴いた者は例外なく彼女のファンになってしまうというのだから、驚き桃の木山椒の木だ。
「MEGUMIちゃ……うっ……」
突如、脱獄犯達のほとんどがその場で意識を失ってしまった。まるで尻尾を引っ張られた猫型ロボットみたいに。しかし、数人は起立したままであり、取り残された彼等は我に返ったという様子で一気にこちらへ疾走して来た。
「いい加減目を覚ませっての!」
幸いにも取り残された男達は何れもナチュラルだったので、私は殺人を犯すことなく事態を鎮めることができた。
その後、MEGUMIを乗せたBK117がゆっくりと地上に降り立った。