一瞬の幸せ、一生の後悔
気付いてた。
あなたはとっくに私に冷めてるってこと。
悔しくてたまらない。
こんなにもこんなにもあなたを思い続けたのに。
でも、ここから居なくなればいい。
いっそ全部忘れさろう。
あなたも私のこと忘れてね。
ありがとう。
ーToo young to dieー
ここのところクラブに通い始めた。
慣れない喧騒をよそにカウンターの壁側の席に座る。
飲めないお酒なんて飲んで。
気になる彼がいる。
もともと友達のキナに誘われて半年前に始めて来た。その時に彼に出会った。一目見たときから心を奪われていた。これが一目惚れなのかと悟った。
それからは月に2回くらいのペースで通っている。
彼はいつも奥の大きなソファで1人高そうなワインを飲む。その姿は実に美しく思う。
うっとりしてると、男から声をかけられる。
「ねぇ、お姉さん。一緒に飲まない?」
あの彼じゃない。けれど、まぁいいか。
『ええ、もちろんいいですよ。』
と私は笑顔で振る舞った。
「最近よく君を見かけるからさ、気になって。ありがとう。」
『いえいえ。そこまで来てないですけど...。』
えっ。気配消してるつもりだったのに...。この人鋭い。
唐突にこの男が言い出したのは、
「お姉さんさ、あの奥の人気になってるんでしょ?あの人はやめたほうがいいよ。」
そう言ってこの男はロックグラスの中の氷をカラカラと音を鳴らして回した。
『どうして...?』
気になってつい本音が出てしまった。聞いて後悔するのにな...
「俺、あいつに抱かれたことがあるんだ。」
衝撃的だった。世の中には知らなくていいことだってあるのに知ってしまった。
『ええ!?えっ、あっ、そうなんだ...。』
大きな声を出してしまった...。慌てて口を塞ぐ。幸い、クラブ内はうるさい為誰も気にしていなかった。
「あいつは、1人のに執着しない。自由で気ままな奴なんだよ。お姉さん、絶対に恋に落ちてるよね?多分、今日初めて出会ったような奴なんかに言われても何の説得力もないと思うけど...。」
『へぇ、そうなんだ...。』
この言葉を心に留めておけばよかった。
後々後悔するのにね...