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後始末

本日2話目

「流石にここまでしたらもう大丈夫かな」


 見上げたところにあるのは、かっちこちの氷像と化したラミア・ドラゴン。


 リーゼの水のブレスによってずぶぬれになっていたところに、凍らせたからもう動けないであろう。


「ゴブリンたちも全滅し終えましたからね」


 襲ってきていたゴブリン同盟もすでに全滅し、ゴブリンの死体や肉片などがあたりに散らばっていた。





 冒険者たちも被害はゼロではなかったものの、戦死者は出なかったようである。


 しかし・・・ここまでのゴブリンの群れはさすがに例にはなかった。



「このラミア・ドラゴンが仕組んだことかな?」

「でも、どうやっていたのかまではわかりませんよね」



 氷像と化し、うごかなくなった彼女を見上げて疑問が口から出た。


「・・・しゃべってもらうには溶かせばいいのだけれども」

「そんなことをしたらすぐに魔法で反撃されるわよね・・・」


ここで粉々に砕いて完全討伐をすることもできるのだが、その砕いた瞬間に魔法で反撃されたら怖いしな。


 なので現状維持ということでルミナスが氷精霊とやらにお願いして冷やしたままにしておいた。


「というか、この現状の方がねぇ」

「やりすぎた?」


 リーゼがてへっと照れる。いや、褒めてないからね。


 水のブレスによって水が土壌にしみこみ切らずにあふれ、洪水とまではいかなかったものの、湿地帯へとあたりは変貌していた。


 沼みたいだな・・・・。


「淡水の方じゃからまだいいが、海水の方じゃったら塩害被害が出ておったな」


 それを考えたらまだましなほうか?






 とりあえず、冒険者たちと共にギルドに戻って報告した。


 あと、詳しく報告をするため、間近で戦っていた僕らはギルドマスターに報告しに行った。




「なるほど・・・ラミア・ドラゴンも出たのか」

「ええ、何とか氷漬けにしましたが・・・」


 神獣種なので、そう簡単には死んでいないだろうが溶かされでもしない限り動けないであろう。


「念のため、ルミナスの精霊魔法で氷漬けの状態を保っていますが、夏場などは厳しいかと」


 さすがに夏の暑さなどを考えたらどこかに保管でもしない限り溶けそうである。


「それにしても、まさか神獣種とは・・・」

「そもそもどうしてここに来たんだろうね」


 神獣種のモンスターはかなり強力であるのだが人と出くわすのを避けて、普段は何処かの秘境とか山奥とかにいるらしく、こうして都市の近くまで出てくるのは非常に稀であるのだ。


「ゴブリンの群れをけしかけてきたのがラミア・ドラゴンなのは良いとして・・・その目的が読めないんですよね」

「人里を襲って滅ぼそうとしていたとか?」

「・・・それなら、ゴブリン以上に強力なモンスターを従わせたほうが良い」


 それは言えることである。


 今回はあの大量の群れに脅威はあったが、ゴブリンは本来弱めのモンスターである。


 魔物使いで従魔にすることがあっても、鍛えて強く出来る。


 だが、今回のはそこまで鍛えておらず、ほとんど野生のものと変わらなかったのだ。


「幻術とかで従わせられるぐらいじゃから、他の種族・・・例えばオークとか、バッファロリンとか、ワーウルフなどの群れをつくるモンスターでも可能なはずじゃろ。そっちの方が強さ的にもそこそこじゃしな」

「というか、人を見ていろいろ考えているようなそぶりがあったのが気になるんですよねぇ」


 ハクロのつぶやきにふと気が付く。


 確かに、無駄に攻撃はせずにまるで見定めているかのような感じであった。


「ふむ・・・もしかすると・・・」


 と、ギルドマスターが何か思いついたようである。


「何か思いついたんですか?」

「ちょっとした予想だよ。はずれてもいないような感じがするし・・・」


 考え込んでいるようだけど、何を思いついたのだろうか?


「取りあえず、その凍り付いたラミア・ドラゴンを直接見に行きたい」




 というわけで、そこまでギルドマスターを案内することになった。


 念のために、アルテミスに大量の氷結薬も作ってもらって・・・。







「これがラミア・ドラゴンか・・・」

「まだかっちかちに固まっているのじゃ」


 日も暮れて、あたりが暗いのでアルテミスが発光薬とかいう光る薬品であたりを明るくしている。


 結構役に立つよねその薬。どうやって光るのかの説明がいまいちわからないけどそれなりに明るい。



「こうしてみると、なかなかきれいな人だな・・・・」

「人ではないですけどね。でも、やっぱりどことなくプレッシャーが感じられます」


 モンスターとしての本能なのか、警戒しているハクロたち。


 やはり種族の格差として圧倒的に上のラミア・ドラゴンに畏怖を覚えてしまうのだろう。


「というか、この状態でもまだ生きているのかな?」

「・・・氷精霊たちには死んだら溶かすように言っているのよね」


 溶けていないところを見ると、これでも生きているのか・・・・。


「ふむ、間違いなくラミア・ドラゴンだけど・・・・神獣種が本当に何でここに来たのかの理由について、少し予想ができた」

「本当ですかギルドマスター?」

「ああ、というかこれは・・・・原因として考えられるのは一つしかないだろう。おそらくだが、モンスターとして・・・魔物使いに惹かれた可能性がある」

「惹かれた・・・?」

「あー・・・なんかわかったような気がします」

「・・・同感」

「ウミュウミュ」

「納得できるわね・・・私はモンスターではないけど」

「納得かも」

「可能性としてはあるじゃろうな。神獣種とは言え、モンスターじゃし」


 ん?なんでみんなこっちを見るのかな?


 物凄く納得したかのような顔で見られているんですけど。


「モンスターが従魔になるときには、本能的にというか、魔物使いに惹かれてくる場合があるんだよ」

「ということは・・・魔物使いに惹かれてここまで来たのか?」


 にしては、なんでゴブリンたちで襲ってきているんだよ。


「人の数が多すぎたせいかのぅ?魔物使いは主殿以外にもこの都市にはおるから・・・」


 つまり、惹かれたことは惹かれたが、人の数が多すぎたので間引きしようとして・・


「ゴブリンを集めて、この都市に襲撃をかけたという事か?でも、それだったらその肝心の魔物使い自身が死ぬ可能性もあったんじゃ・・・」

「その可能性まで考えぬはずがないか・・・・ちと考えが甘いかのぅ?」


 何か考えが足りないような・・・



「とにもかくにも、詳しいことは彼女に聞いてみるしかないね」


 ギルドマスターがそう言った。


 

何気に仕切っているギルドマスター

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